山里の記憶0


山里の記憶 序



2007. 3. 4



山里の記憶 序

 だいぶ前から考えていたことがありました。                  

 山里で暮らす人々の知恵や技を紹介し、その逞しさや繊細さを伝えることは出来ない
だろうかと。今までも様々なアプローチを考えてきました。瀬音の森の活動や、森林イ
ンストラクターの活動もその一部であったかも知れません。様々な活動の中で自分らし
いアプローチとは何だろうと常に考えていたように思います。           

 自分らしさを考えているうちに、昨年から描き始めた絵がやっと人前に出せるレベル
になったことや、その顔彩(がんさい)の色合いがとてもソフトで柔らかいことも合わ
せ、絵に描いて表現することは出来ないかと思うに至りました。          

 山里の、特にお年寄りの技や心を取材して、絵と文章と何枚かの写真で残す。   

 ここにこんな人がいて、こんな事を考えて、こんな技を持っているんですよ、と。 
そして、こんなにも元気に、こんなにも淡々と日々を生きているんですよ、と。   
 山里に暮らす人々の応援歌として、山里を出た人々へは故郷や父母を思い出す触媒と
して見て頂けるようなものに出来たらいいなあと思っています。          

 ごく普通の人々の暮らしと技。隣のおじいちゃんやおばあちゃんの事を描くように山
里の暮らしを描きたい。そして、「私達はあなたのことをずっと記憶していますよ」と
エールを送りたい。「山里の記憶」どこまで伝えることが出来るでしょうか。    

 どうか絵の神様のご加護がありますように。                  

                         2007年3月4日 黒沢和義