涼を求めて


猛暑の中での釣りだったが・・


 8月の連日の猛暑に体の調子もおかしくなったようで、1日だけ涼を求めて渓流に行っ
てきた。行ったのは那須のホームリバー。珍しく駐車場には車が一台しかなかった。川は
渇水しているが、思い切って奥に入ることにした。林道を1時間歩き、前回脱渓した場所
から入渓することにした。第三の橋がその場所だ。今日は多分人は入っていないはずだ。

二つ目の堰堤。水の少なさがよくわかる。 第四の堰堤。これも渇水状態を表している。

 1時間歩くと汗が噴き出すが、川に入って冷たい水で顔や手を洗うとすぐにスッキリす
る。東京が信じられないくらい渓流は涼しい。水に浸かった足は冷たくて痛いようだ。と
にかく気持ちいい。川の水を両手ですくって口に入れる。なんと美味い水だ。冷たい水で
喉を潤すと頭がスッキリした。やはり渓流はいい。河原の日陰に腰を下ろして仕掛けの準
備をする。今日は急がなくていい。心に言い聞かせながらゆっくり支度する。     

水色は綺麗だが、魚も毛針を見切って来る。 なんとかヤマメが釣れてボウズは免れた。

 入渓早々瀬で魚が走り、先行者がないことを知る。渇水していてポイントは限られるが
ゆっくり釣り上がる。淵に定位しているヤマメに毛針を振るが、見にきてゆっくり帰って
ゆく。魚はいるが12番のデカイ毛針は確実に見切られている。遊ばれているが、これも
釣りの楽しみの一つだ。ああ・・デカイヤマメだった。               

いいヤマメが釣れた。素直に嬉しい。 なんと渓畔林が美しいことか。

 上流に遡行しながら竿を振る。瀬の流心で反応があり、いい型のヤマメが釣れた。これ
でボウズがなくなりホッと一安心。周りの景色や涼しさを楽しむ余裕ができた。強烈な日
差しと日陰の暗さで水面の毛針が見にくいが、焦らず遡行する。涼しい風が顔に気持ちい
い。渓畔林が涼やかで緑が美しい。光を通した緑が水面に輝くようで見ていて飽きない。

いいヤマメが釣れてニッコリ自撮り。 こういう渕には魚はいるが釣れない。

 なんということのない渕でイワナが釣れた。毛針に飛びつくように釣れてくれた。こう
いう魚がいるから嬉しい。                            
 広い渕でイワナの影が見えた。沈んだ岩の陰で上流に向かって定位している。こちらに
気づいていないようだ。ゆらゆら動くイワナの影に向かって毛針を飛ばす。何度か上を流
れたのだが、イワナの影が消えた。「気づかれたか??」と思って立ち上がり、少し奥に
毛針を飛ばしたら、いきなり大きな手応えがあり、そのイワナが釣れた。大きなイワナで
「尺か?」と思ったのだが、竿のグリップより少し短かった。9寸(27センチ)のイワ
ナだった。今期一番の大物だ。これは嬉しかった。このサイズが釣れると満足感が凄い。

イワナが釣れた。 こんなポイントだった。


粘って粘って釣れたイワナ。 いい型のイワナだった。

 ちょうど昼近かったので休憩する。大きなイワナを釣った余韻で気分良く腰を下ろすこ
とができた。ベストザックを脱ぎ、背中からお握りを出して食べる。コンビニのお握りだ
が、河原で食べると実に旨い。透明な川の流れを眺めながらお握りを食べる。     

綺麗な川を前にして休憩。 おにぎりを食べる。

 一休みして午後の釣り再開。気分良く遡行する。大きな岩が水中から出ているポイント
に到着。ここは昔28センチのヤマメを釣ったポイントだ。上流から毛針を流すと岩陰か
らヤマメがスイッと出て来る。しかし、ゆっくり毛針を眺めてゆっくり帰ってゆく。再度
流すと、また出て来てスイッと消える。三度目は出てこなかった。まあ、この水量では見
切られるわな、と自重気味の笑いがこぼれる。                   

大きな岩のポイント。今回は釣れず。 綺麗な川が心を洗ってくれる。

 大きな広い渕で大きな魚の影が横に動いた。これはダメかなと思いながら何度か毛針を
流すと、いきなり大きな手応えで先ほどの影と思われるイワナが釣れた。岸に引き上げて
もビンビン跳ねていて捕まえられない。そのうちに毛針が外れた。でかいイワナを逃して
はならじと両手で捕まえる。慌ててカメラを出して写真に納める。いやあ、これは嬉しい
イワナだった。逃げられなくてよかった。                     

いい型のイワナが釣れた。 いやあ、逃げられなくてよかった。

 上流の二股を左に向かう。大きな岩陰から毛針を流すと大きな魚が跳ねたが毛針にはか
からなかった。腹の色からすると大きなイワナだったようだ。こういう場面が多かった。
 5番目の堰堤が見えて来た。大きな渕を高巻きして堰堤下の流れ込みに気になる渕があ
った。岩陰が流れ込みになっている、その影の部分に毛針を飛ばすと、いきなり大きな手
応えがあった。魚がぐんぐん引っ張ってすぐに上がらなかった。足場も悪かったので慎重
にあげると大きなヤマメがかかっていた。綺麗で太いヤマメだった。24センチから25
センチはあるだろうか。今期一番大きなヤマメだ。これは嬉しかった。        

透明な流れは深さがわからない。 二股上の岩。ここで大きな魚をバラす。


こんな流れが上流へと続く。 大きな手応えでヤマメが釣れた。


今期1番の大物ヤマメ。嬉しい。 大満足の笑顔。

 堰堤を高巻き、上流を目指す。堰堤上のなんてことない渕の上に倒木がかかっている。
「こんな場所にはいないよな・・」などと思いながら、何気なく投げた毛針を上げようと
したら何やら重い。「あれっ??」と思いながら竿をあおるとなんと大きな手応えだ。一
気に抜きあげたら、なんと大きなイワナが釣れていた。まさかこんなところで、こんな大
きなイワナが釣れるとは驚いた。イワナは9寸以上ある大物。素晴らしい。      

何気なく釣れた大イワナ。 こんなポイントで釣れた。

 さらに上流へと遡行したのだが、川の対岸にいきなり大きな落石があった。大小4つほ
どの落石が川に落ちて大きな音とともに水柱を上げた。これには心臓が止まる思いがして
びびった。これ以上行くなという啓示に思えてここで脱渓することにした。落石の音は本
当に心臓に悪い。                                
 上がった林道には頭ほどの落石がゴロゴロしている。こんなのに当たったら即死だ。足
早に林道を歩いて危険地帯を抜ける。いい釣りをした後なので足取りも軽い。     

気分良く林道を歩く。 第四の橋が崩れていた。


巨大なトチノキが素晴らしい。 林道から覗き見る流れが美しい。

 気分良く林道を歩いていたのだが、徐々に足が痛くなって来た。左足が痛い。腰のナガ
サを抜いて枯れ木を切って杖を作った。足をかばうように杖をつきながら歩く。これで随
分楽になった。「俺もついに杖を突いて歩くようになったか・・」とも思うのだが、足が
痛いのではどうしようもない。1時間半歩いて車に着いた時はホッとした。      



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