蔵王の釣り


野村さんと蔵王に行った。秘境の沢での釣りだった。


 7月30日、野村さんと山形へ釣りに行った。朝五時半に迎えに来た車に荷物を積み込み
所沢インターへと向かう。所沢から白石蔵王まで高速をひた走る。途中の佐野サービスエリ
アで休憩し朝飯のサンドイッチを買う。土曜日とあってサービスエリアは車を停める場所に
苦労するほど混んでいた。スズメにパン屑を投げて餌付けして遊んだ。         
 晴れて暑くなりそうな予感が漂う高速道。ひたすら走って8時ころに白石到着。車は脊梁
山脈目指して走る。目指す場所は蔵王山だ。                     
 蔵王エコーラインを走り、目的の場所に到着した。スノーシェードの裏に車を停め、ここ
から歩くと言われた。見ると草ボウボウの林道が目の前にある。野村さんは「ここから一時
間歩くんだよ」と言う。すぐに身支度を調え、歩き始める。              

こんな所に? と思う場所に車を停めて身支度する。 藪の林道を一時間も歩く。全身汗まみれになった。

 暑い日射しが照りつけ、汗がダラダラと流れる。野村さんは草をかき分けながら黙々と歩
く。足の動きを追い、ひたすらその後を追う。背中から尻に汗が流れる。もうそろそろ限界
かと思った時だった。「着いたよ。ここだよ」と野村さんが足を止めた。        
 小さな堰堤の上を支流が流れ込んでいる。この支流を釣るのだという。なんとすごい川を
知っているものだと感心した。ここまで歩いてくる人はいないだろう。         
 汗びっしょりだったので服と肌着を脱いでコンクリートの上に広げて乾かす。裸の上半身
を川の冷たい水で洗いやっと人心地ついた。昼のお握りを頬張りながら周囲を見渡す。本流
は奥にある温泉が流れていて、真っ赤で魚はいない。この支流だけ魚がいるらしい。   

 ひと休みして、岩をよじ登りながらの釣りが始まった。岩陰からキャストした毛鉤に魚が
反応したがアタックには至らなかった。しかし「魚がいる……」と竿を握る手に力が入る。
 その上に淵でイワナが釣れた。青白い水から上がったイワナはなんだか白っぽくて細長い
イワナだった。次の淵でも小さいイワナが釣れた。                  
 定位しているのだが反応しないイワナを野村さんに狙ってもらうが、やはり無反応だ。こ
の川独特の餌を待っているのか、毛鉤には反応しないイワナだった。          

イワナが釣れた。こんな川にもイワナがいる事がわかった。 水色が白っぽい。これは温泉の成分が流れ込んでいるから。


野村さんも釣り支度。余裕なのか疲れているのか?? 大きいイワナが釣れた。26センチあるが、何となく細い。


この水色では餌が少ないからイワナも細いのだろう。 取りあえず大きなイワナを釣ったので満足。

 上流へと登る。岩を登って行く感じがイワナ釣りらしい雰囲気を醸し出す。ぽつりぽつり
と釣れるのだが、そう数は多くない。カーブの淵でやっと野村さんがイワナを釣ったので写
真に収める。なんだかホッとした顔をしていた。                   
 開いた瀬で26センチのイワナが釣れた。同じ場所で何度もトライしてくるイワナがいる
のだが、どうしても釣り上げられなかった。小さいイワナが毛鉤をつついているのだが、咥
えるところまでいかない。「へたくそ〜」とつぶやくがチビイワナの勝ち。       

野村さんがロッドを振る。何故か釣れない。 いいポイントなのだが魚が出ない。野村さんが首をかしげる。


野村さんがイワナを釣った。 どうだい? 野村さんのどや顔。いい型のイワナだ。


小さいイワナが釣れた。このサイズが多ければ川は生きてる。 この日一番のイワナ。26センチだが、これは太かった。

 突然雨が降ってきた。ウインドブレーカーを着て釣りを再開するが、すぐ先の所で「ここ
が最終地点なんだ」と言われた。二股の左沢から温泉水が流れ込んでおり、こうの上流は魚
が生息していないとのこと。結局26センチを頭に5尾のイワナに遊んでもらった。   
 下りは登山道があるので、そこを下る。川を下るより安全で速いので助かった。堰堤まで
下りてひと休み。後は草をかき分けて林道を下るだけだ。熊よけの声を発しながらひたすら
歩く。車に戻ったときは疲れて足がプルプルしていた。                

藪の林道を走るように下る。足がプルプルしてくる。 藪の中で自分撮り。少しピンぼけ。

 野村さんが連絡した蔵王温泉の旅館に向かう。冬はスキー場になる温泉街の一角。老舗の
安い旅館に素泊まり。宿の温泉で汗を流し、温泉街へ夕食を探してブラブラ歩く。この温泉
街の雰囲気がなんとも言えず良かった。合宿の高校生団体が動き回るのを目で追いながら、
そば屋で冷やし中華を食べる。土産物屋で宿呑みのビールと酎ハイ・つまみを買う。ようや
く暗くなってきた温泉街は赤提灯も見えて何だかいい感じ。宿に戻って再度温泉に浸かり、
至福の地ビールを飲む。さて、明日はどこに行くのやら。               

野村さんが連絡した今夜の宿。素泊まり。 宿の前に共同浴場があった。


共同浴場の源泉。触ったら熱かった。50度くらいありそう。 近くのそば屋で夕食。冷やし中華を食べる。




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