ヤマトイワナ探釣会:木曽


式部さんの案内で荒川水系渓流保存会のヤマトイワナ探釣会が開催された。



7月30日朝5時、木曽川の支流林道ゲートの前で式部さんが待っていた。今回の探釣
会は安谷さんの呼びかけで荒川水系渓流保存会のメンバーによるもので、参加者は安谷
さん、須崎会長、書上さん、厚目さん、関根さん、kazuyaさん、石川さん、式部さん、
kurooの9名となっていた。探釣会の目的は(1) 木曽川・飛騨川水系のヤマトイワナの
形態などを調査する。(2) 上記区域における渓畔林の現状についての認識を深める。と
なっていた。ヤマトイワナ生息域に詳しい瀬音の森会員の式部さんに案内をお願いして
実現した探釣会だった。                            

朝5時、木曽川支流の入り口で沢割りの話し合い中です。 まだ朝早いので毛鉤への反応はない。

暗い中で身支度をして挨拶もそこそこに沢割りをする。私と会長と石川さんが「足弱チ
ーム」として最下流を割り当てられた。すぐこの下から釣り上がる形になった。午前5
時半、いよいよ探釣開始。集合時間昼までの釣りが始まった。会長が餌釣り、石川さん
がフライで私がテンカラという三者三様の釣り方でヤマトイワナ探釣が始まった。この
川は岩が全て花崗岩で構成されていて、ゴーロの河原が明るく開けている。上空に余計
な神経を使わなくて済むのが有り難い。                     

須崎会長が餌釣り、石川さんはフライでイワナを狙う。 木曽での第一号。20センチほどのイワナです。

交互に先行しながら釣っていったのだが、魚の反応が無かった。午前7時少し前にやっ
と私の毛鉤にイワナが掛かった。20センチくらいのヤマトだかニッコウだか分からな
い、どちらとも言えるような魚体を携帯水槽でカメラに納め、一同の意気が大いに上が
った。次のイワナも私の竿に出た。8時ころだった。これもやはりヤマトだかニッコウ
だか・・??という魚体だった。今度は石川さんのロッドが大きくしなった。良型のア
マゴがネットに納められていた。会長は餌の川虫がいなくて苦労していた。飛んでいた
小さい蛾を活き餌にして淵に投げたら、大きなアマゴが飛び上がって一気にその蛾を飲
み込んだ。活き餌釣り大成功!すごい事があるものだ。この1匹で会長は大満足。  

続いて釣れたのもイワナ。ヤマトイワナというには微妙な斑紋。 石川さんは良型のアマゴを釣った。


私もアマゴを釣った。 さらにもう一尾。これはなかなか良型です。後方は釣りをする二人。


水面に羽ばたく蛾を餌に大物を釣り上げてご満悦の会長。 花崗岩にへばりついて咲いているサツキの原種。


エメラルドグリーンの淵が続く。魚は手前から奥に走る。 やっと釣ったヤマトイワナ。


石川さんとダブルヒット!石川さんのヤマトイワナ。 どうだ、釣ったぜ。

その後、私と石川さんのダブルヒットもあり、数は少なかったものの楽しい釣りが出来
た。川沿いの林道から声が聞こえたと思ったら、上流に行っていた健脚グループが帰っ
てきたところだった。我々もすぐ脱渓し、林道に上がった。みんなでいろいろ話しなが
ら林道を歩き車に到着。午後は「赤沢自然休養林」で森林観察会を行うことになってい
たので、そのまま車を走らせて休養林に向かった。                

会長「船頭ではありません。あんま釣りです。」 上流組(健脚組)と一緒に車に帰る途中です。


赤沢自然休養林にてトロッコ電車の時間待ち。 トロッコがやってきた。

この自然休養林は森林浴発祥の地と言われており、様々な散策路を使って木曽の森林を
勉強できるようになっている。午前中いっぱい渓流を歩き回っていた我々は誰も散策路
を歩こうと言わず、林内を走るトロッコ列車に乗って上流を目指した。林内を流れてい
る赤沢は50年もの間禁漁となっているヤマトイワナの渓流である。森林管理署が中心
になって整備されたこれらの環境はリクレーションや学習の場として多くの人々に利用
されている。この日も川で水遊びを楽しむ家族連れや森林内を散策しているグループな
どで大にぎわいだった。それにしても、この川で泳ぐのは寒いのではないかい??  

トロッコ列車に乗って子供のように笑顔で。 終点の駅。

偏光メガネなどをかけた怪しいおじさんグループと化した我々は、周囲の健康な人々と
異なる一種異様なオーラを発しながらトロッコ列車に乗り、周辺でトロッコ列車に向か
って手を振る人々に「ニヤッ」と笑ったり、皇太子殿下のように手を振ったりして怪訝
な顔をされたりしていた。どうも健全な観光地は我々には居心地が悪い。      

終点からは歩道を歩いて下ります。 途中にあったヒノキの倒木更新樹。生命のたくましさを感じます。

木曽5木(ヒノキ・サワラ・ネズコ・アスナロ・コウヤマキ)の実物を見比べたり、倒
木更新の様子や、床堰(丸太を流す木のダム)の基礎や、ヒノキとヤマグルマの格闘や
、花崗岩を流れる川の白いイワナを眺めたりしながら始発点まで歩いて下りてきた。ゆ
っくり回っても様々な解説板があるので楽しい場所だ。夏休みの学習と遊びの両立が出
来る環境としてお勧めできる場所とも言える。秩父にもこんな施設があったらなあ、と
は全員の感想だった。入川のトロッコ道をトロッコで走ったらどんなに素晴らしいだろ
うか・・・誰かが「始発の列車は釣り師で一杯になるんだろうね〜」で、一同大笑い。

クロベの巨木。クロベを材にするとネズコになる。 シロモジの葉。


マルバノキの葉。 ここはチェーンソーを初めて使った場所だそうです。


床堰の基礎。ここに木で矢倉を組んで木のダムを作り丸太を流す。 ヤマグルマがヒノキにからみついています。長期間の格闘です。

本日の宿泊は近くの民宿「赤沢荘」。場所柄釣り人の利用が多いのではないかと思う。
3つの部屋に荷物を置き、交代で風呂に入る。そのうちバスの団体が到着して宿は急に
にぎやかになった。宿前の渕でイワナが餌を無視すると釣りから帰った人が大騒ぎ。ど
う誘っても餌には見向きもしないようで、よほどスレているのだろう。夕飯の時間は我
々とバスの鮎釣り団体で広間が一杯になってしまった。ビールを飲み、大いに食べ、大
いに語り、また部屋に帰って飲み、語り・・・私は前夜の寝不足がたたってあっという
間に寝床に直行となってしまった。                       

釣り人御用達の民宿「赤沢荘」 持ち込みの球磨焼酎と持参人の式部さん。旨かった。


赤沢荘の夕食メニュー。腹一杯になりました。 夕食の我がチーム。ビールが進みます。

翌朝はにぎやかな団体さんの騒ぎ声で目が覚めた。朝5時からお酒を飲んで騒ぐのは止
めて欲しいものだ。まあ、バスで来ているという事は、こういう飲み会が楽しみで来て
いるのだろうから野暮な事は言わないが、せめて他の客に遠慮くらいはしてくれよ。 

部屋に帰って飲む我がチーム。 朝、川の入り口で沢割り中です。

朝食後、昨日と同じ川に向かう。違う川もあったのだが、時間が遅いことと、日曜日だ
という事もあり先行者がいるだろうと考え、様子の分かる昨日の川にしようという事に
なったものだ。皆、昨日の釣りで釣査には満足していたようで、それほど貪欲になって
いなかった。全員で集合写真を撮って、林道を昨日の脱渓点まで歩いてから入渓。今日
は式部さんと石川さんと私の3人が最下流に入った。               

林道入り口で集合写真を撮りました。 林道で見たヒノキ林。低木がしっかり生えています。


列状間伐の様子。この間伐方法を見たのは初めてだ。 河原を軽やかに歩く式部さん。今日は餌釣りです。

フライの石川さんとテンカラの私が川の左右に分かれて先行し、式部さんが後ろから続
く形だったが、一番先に釣れたのも、一番大きなイワナを釣ったのも式部さんだった。
二人が通過した淵で上げたヤマトイワナは30センチ弱という大きさだった。目の当た
りにしたヤマトイワナはあまりに魚体が細く貧弱だったが、寄生虫による何かの病気を
持っていたのかもしれない。次に石川さんがイワナを釣り、私が最後に釣った。その上
流はすでに別のメンバーが入った跡があり、アタリも無さそうだったので脱渓して木曽
の釣りは終了となった。帰りは各自三々五々自宅を目指した。午後4時東久留米帰着。

式部さんが釣った泣き尺イワナ。細いですね、病気かな? イワナをリリースする式部さん。満足そう。


石川さんが執念で上げたイワナ。 私が執念で上げたイワナ。これが最後の写真です。

式部さんの二日間の案内とお骨折りに感謝いたします。ありがとうございました。