お伊勢参り3


皇大神宮(内宮)参拝とおはらい町通りの散策。



タクシーは外宮から内宮への参道になっている道を選んで走ってくれた。道の両側には
石の灯籠が並んでいる。江戸時代、全国から来たお伊勢参りの人々が歩いていた道だ。
タクシーで10分ほど走り、内宮前に到着。すぐに参拝はせずに、しばし内宮参道をブ
ラブラ歩き。外宮と違って大勢の観光客がいてにぎやかだった。外宮を参拝してから内
宮を参拝するのが順序と言われているが、ここにいる人達がみな外宮を参拝していたと
はとても思えない。外宮参拝を省略した人も多いのだろう。天照大神(アマテラスオオ
ミカミ)の人気はすごいものだ。牛銀の仲居さんに美味しいと聞いていた松阪牛コロッ
ケを食べてから参拝に向かった。                        

五十鈴川鳥居。ここから神域になる。 五十鈴川には宇治橋の橋桁を守るガードが建っている。


宇治橋は右側通行で渡る。 神域は空が広く明るい場所から始まった。

五十鈴川にかかる宇治橋を渡って神域に入る。宇治橋は俗世と神域を分ける境界になっ
ていて、ここから域内は右側通行になる。外宮は左側通行だったのだが、何が違うのだ
ろうか・・? 玉砂利の道は広く、右手には公演のような広場があり、とても明るい。
火除橋を越えて手水舎で手を清めて、一の鳥居をくぐると森が深くなる。五十鈴川の河
畔に作られた御手洗場(みたらしば)で川の水に触れ、禊ぎのまねごとをする。ここは
徳川吉宗の母、桂昌院が寄進したものだ。二の鳥居を過ぎて神楽殿へと向かう。両側に
クスノキとスギの巨木が覆い被さるように迫ってくる。鬱蒼とした暗い照葉樹の森が続
く。あまりの太さに目を奪われてしまう。この参道を歩きながら、両側の木々に嬉々と
しているのは私ぐらいのようだ。                        

放し飼いの鶏。人になれている。 五十鈴川の清流で禊ぎをする御手洗場(みたらしば)。


神楽殿から正宮の方向を望む。森が深い。 正宮を階段下から見上げる。

木の写真を撮りながら正宮の下に着く。正宮の写真は階段の下からしか撮れない。衛士
がじっと監視している。巨石の階段を登り参拝に向かう。正宮はスギの巨木に包まれる
ように静かにそこにあった。二礼二拍手一拝の型どおりの参拝をした。会社の盛運、社
員の健康、家内安全、交通安全・・・様々な願い事を考えていたのだが、この時の頭の
中は真っ白だった。そんな願い事は何も思い浮かばなかった。そんなものなのだろう。
正宮の隣には外宮と同じように式年遷宮の敷地が同じ広さで広がっていた。     

正宮で参拝。これは本殿の外の外の外の門。 隣の式年遷宮敷地。


隣の敷地から正宮本殿が見えた。唯一神明造りの本殿。 荒祭宮(あらまつりのみや)を参拝。

深い森の中、荒祭宮を参拝し、参集殿で休憩した。この参集殿でビデオを上映していた
ので何気なく見ていたら、式年遷宮の紹介ビデオで、思わず見入ってしまった。式年遷
宮という名称は知っていたが、具体的にどんな事をするのか知らなかったので、とても
良い勉強になった。20年に一度の社殿建て替えのための選木、切り出し、運搬が全て
お祭りとして運営され、全国からの参加者が嬉々として携わっている様は圧巻だった。
どの顔も神宮の役に立てる喜びに満ちていた。日本人が大好きなお祭りは神社に奉納す
る神事だったことを今さらのように思い出し、これはお祭りの親玉みたいなものだと実
感した。確かに日本人の原点の一つがここにあることは間違いない。ビデオを見ていた
らあっという間に1時間がたっていた。                     

大楠の木。幹の巨大さに圧倒される。 このケヤキも素晴らしかった。


宇治橋を渡り、俗界へと戻ってきた。 参道にあたる「おはらい町通り」を散策する。

宇治橋を渡り、俗世間へと戻ってきた。その足で「おはらい町通り」を散策する。様々
な古い店が軒を並べ、昔ながらの参道を作っている。昼も過ぎていたので「わらじや」
に入って、伊勢うどんと手ごね寿司セットを食べた。伊勢うどんのもったりとした柔ら
かさが癖になりそうだ。濃い色のタレだが薄味で、じつに美味しい。手ごね寿司はカツ
オのづけ丼のような感じ。「すし久」で食べれば良かったと反省。干物屋で一目惚れし
たアジの干物を衝動買い。自宅まで発送してもらった。ブラブラと歩いていたら目に飛
び込んできたのが「赤福本店」の文字。さっそく入店して、一人前3個の赤福餅を注文
し、店内の柳畳に上がり、お茶を頂きながら食べる。作りたての赤福はじつに美味しか
った。餡や餅の再利用で叩かれた赤福だが、人気はすごいもので、入れ替わり立ち替わ
り、客でごった返していた。                          

すし久の趣ある外観。 あの「赤福本店」でひと休み。


作り立ての赤福餅は美味しかった。 五十鈴川を望む座敷でお茶を頂いた。

この通りの建物は同じ様式で建てられていて、銀行や郵便局も同じ作りをしているのが
面白かった。赤福が作ったという「おかげ横町」をブラブラ見て歩く。これといったも
のは無く、普通に通過してしまった。平日だから空いていたが、休日だと凄い人出にな
りそうな横町だ。「おはらい町通り」を通り抜け、駐車場の先にもう一つの目的地、猿
田彦神社がある。そこにはアメノウズメノミコトも祀られていると聞いていた。   

銀行の建物。 郵便局もこんな建物になっていた。

猿田彦神社は大きな社殿を堂々と構え、立派な佇まいだった。逆にアメノウズメノミコ
トを祀る左瑠女(さるめ)神社は小さな小さな社で、その対比が不思議だった。猿田彦
は天孫ニニギノミコトが高天原から日本に下るときに道案内をした神様で、アメノウズ
メノミコトは天照大神に仕えていたが、天孫降臨の付き人として猿田彦との交渉役をし
た神様だ。高天原から下った神様のわりに扱いが悪い。なぜだろうか・・・     
猿田彦は国つ神からすれば裏切り者とも言えるはずだが、まあ、勝ち馬に乗った訳だか
らこのくらいの扱いになることは分かる。アメノウズメノミコトは・・・?手柄も色々
あったはずなのに。天照大神が嫉妬深い神様だということなので嫉妬でもされたのか。
男神に人気のある若い女神だったから、そういう事もあるのかもしれない。     

猿田彦神社の入り口。 堂々たる神社。左瑠女神社は写真を撮るに忍びなかった。

猿田彦神社の参拝を終え、タクシーで伊勢市駅まで戻る。コインロッカーの荷物を出し
、電車の時間を確認して切符を買う。運の良いことに一時間に一本の電車に間に合い、
鳥羽へと向かった。今日の宿は鳥羽駅近くの「胡蝶蘭」。リムジンで迎えに来てくれる
という宿だ。30分ほど電車に揺られ、鳥羽駅に到着。駅前に止まっていたリムジンに
声をかけると運転手さんが笑顔で迎えてくれた。リムジンに乗ったのは初めてだが、中
には座席が4つしかなく広い広い空間を独占するのは気持ちいいものだった。でも、た
だそれだけ。リムジンは5分でホテルに到着し、フロント係が出迎えてくれた。今日一
日雨に降られなかった事を感謝しつつホテルにチェックインした。         


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