縄文杉に会いに屋久島へ 3


朝日に染まった縄文杉はまるで呼吸しているようだった。森の神に会えた気がした。


10月8日(日)行動予定                            
5:00 起床:朝食                              
6:00 出発                                 
9:00 大株歩道入り口着                           
10:30 楠川歩道分岐点                            
11:30 辻峠(ここから白谷雲水峡を下る)                   
12:00 白谷小屋(大休止:昼食)                       
15:00 白谷広場着                              
16:00 タクシーにて宿へ                           

翌朝は暗いうちに起きた。山口さんが晴れていたら縄文杉に当たる朝日が良いから早く
起きて見るといいよと教えてくれたのだ。ヘッドライトを頼りに縄文杉の処へ行く。撮
影隊がわらわらと動いている。どうやらずっと撮影していたらしい。邪魔にならないよ
うに隅に移動して夜が明けるのを待つ。やっと空が明るくなってきた。周囲が見渡せる
くらいに明るくなってきた。どこからか鳥の声が聞こえてきた。森が目覚める時間だ。
ぞわっとするような気配を感じて縄文杉を見た。その瞬間の感情を何と表現したらいい
だろうか・・・。最初は誰かのカメラの赤外線スコープが当たっているのかと思った。
次は縄文杉自身が光を発しているのかと思った。頭が混乱していた。縄文杉の表面にポ
ツリと赤い光が浮かび、徐々にそれが強くなってくる。まるで息をしているかのように
赤い光が強くなってくる。呆然とその変化を見続けていた。まるで縄文杉に命が吹き込
まれていくような感覚に鳥肌が立っていた。                   

命が宿った縄文杉。

はっと思って振りかえると山の彼方から朝日が昇ってくるところだった。晴れた日に朝
日に染まる縄文杉が見られる。雨の多いこの島では珍しい事なのだと思う。何て運がい
いんだろうか。この瞬間の縄文杉は他では絶対に見ることが出来ない。この場にいる我
々だけのものなのだ。昨日の第一印象とはまるで違う生命体がそこには存在していた。

こんな縄文杉は見たことがない。今ここにいる人間だけの縄文杉だ。 振りかえると朝日が昇っていた。

明るくなって登山者も増えてきたので東屋に戻り、急いで朝食を食べてテントを撤収し
た。今日は1日歩いて白谷雲水峡まで行かなければならないのだ。縄文杉に別れを告げ
て下山の途についた。ゆっくり下っていたせいか、大王杉の周辺に来たときには登って
くる登山者が次々にやって来るような状態になっていた。みんな朝4時頃から歩いてき
たのだと思うと感心するばかりだ。ところが困った事になった。登山道は登り優先で、
すれ違う時下る方は待たなければならないのだが、延々と登る人が続くのだ。時間が予
定よりもどんどん遅くなっていく。こんな事態は想定していなかったので、少々あわて
た。昨日歩いたエスケープルートを今日も歩いて時間を詰める。しかし、ウイルソン株
からはまた下山の足止めをくらう羽目になってしまった。いやはや日帰り登山者の多い
ことよ。まるで団体の遠足のようだ。                      

テン場の東屋を片づけて行動開始。 逆さ杉。どうしてこんな杉が出来るのか、じつに不思議だ。


大きな切り株にもぐり込んで観察している杉谷さん。 やっとの思いで大株歩道まで下って、ほっとひと息。

何とか大株歩道まで下り、時間を確認すると予定よりも1時間ほど遅れている。そこか
ら先はすれ違いも楽なので急ぎ足になった。午後4時に終着点の白谷雲水峡にタクシー
を呼んであるのであまり遅れるとまずいのだ。楠川歩道分岐点に着いたのが11時半、
ここで昼食を摂る。気持ちは焦っているがここから辻峠までは登りなので足のギアをチ
ェンジしなければならないので小休止した。疲れてきた足をストレッチで伸ばす。充分
な身支度をして登りに入る。しかし、ここから辻峠までの登りはじつに快適だった。ま
ず人がいない。若い広葉樹林帯を歩くので明るいし、木漏れ日がきれいで楽しい。苔む
した雰囲気が徐々に強まってくるので白谷雲水峡への期待が高まって足も軽くなる。登
りの疲労を危惧したのがウソのようであっという間に辻峠まで登ってしまった。   

辻峠への分岐点で休憩中。ここからは登りになるのでストレッチをした。 辻峠への登りは明るく快適な樹林帯の道だった。


辻峠に到着した。周囲は白谷雲水峡の観光客でいっぱいだった。 道が下るにつれてコケが増えてきた。まさにもののけ姫の世界だ。

峠は混んでいた。縄文杉を見に行く人達とは明らかに違う種類の人達が大勢たむろして
いて、パックのお弁当を食べていた。何だかどこかの公園のような感じだった。峠を越
えて来る人は珍しいらしくずいぶん驚いた顔をされた。休憩するような場所も無く、そ
のまま雲水峡へと下って行った。しばらく急な下り坂を歩きながら何処がもののけの森
なんだろうね、などと話していた。また、何だか人の多い場所があった。何人もの人達
が代わる代わる写真を撮り合っている。通り過ぎて振り返って見たら「もののけの森」
の看板があった。あわてて戻って我々も写真を撮る。上から来たら全然分からない看板
というのも困ったものだ。映画に出ていた「木霊」のぬいぐるみを木の上にわざと置く
というバカな事をする人間がいる。まったく困った事だ。手が届かない処だったので撤
去することも出来なかったのが腹立たしい。ディズニーランドじゃないんだから。  

「もののけの森」の看板。上から来ると分からない。 この景色が白谷雲水峡だ。緑の絨毯が一面に広がっていた。


白谷小屋前で休憩中。だいぶロスした時間を取り戻した。 白谷雲水峡の案内看板を見ながら。

結局白谷雲水峡で休憩することなく白谷小屋まで下って休憩した。けっこう険しい道だ
ったが目の前を行き来する人の軽装な事に驚かされる。白谷雲水峡を管理された公園の
ような感覚で登っているらしい。良いのか悪いのか・・・。グループはほとんどガイド
さんが付いている。ガイド料で一人当たり1万円取るらしい。中にはガイドらしいこと
もせず、ただ歩くだけの人もいるらしい。この島で育ってガイドをしている人と、本州
から新しく移住してきてガイド業に進出している人達との間で確執があるらしい。確か
にこれだけの観光客がいれば仕事の種には困るまい。ただ、本来の屋久島の自然にとっ
て何をどうすれば良いのかというコンセンサスだけでも持っていて欲しいものだ。ガイ
ドを頼まなかった我々が口にすべき事でもないのだが・・・。           

飛び石で川を渡る。増水していたらどうなるのだろうか。 バリバリ燃えるからバリバリの木。秩父では見られない。


激しく飛沫を上げて落ちる飛竜の滝。 滝を見ている3人。

白谷雲水峡は縦に長い区域だ。地図やガイドブックで見るよりもずっと険しい。橋のな
い川を2箇所ほど渡るのだが、雨が降っていたらどうなってしまうのか。予想よりも厳
しい山歩きを強いられただろうことは充分に想像できる。この3日間晴天だったことは
何よりの天からの贈り物だった。白谷広場上にある巨岩で寝ころんで青空を眺めながら
、また飛竜の滝の飛沫を浴びながら楽しい山歩きが出来たことを感謝した。白谷雲水峡
の茶屋前にはすでにタクシーが来て待っていた。山口さんの代理の方で我々が行くと喜
んで荷物を運んでくれた。少し早く着いてしまい登山客から乗せろ乗せろと交渉されて
困っていたらしい。来てくれて良かったと笑っていた。バスが来るまでまだ2時間もあ
るのだから登山客が交渉したくなるのも分かるが、予約なしのタクシーがここに来るは
ずもない。つくづく予約しておいて良かった。今回も山口さんに感謝。4人集合して記
念写真を撮り白谷雲水峡を後にした。                      

白谷広場近くには巨大な岩があって寝ころぶと気持ちいい。 水源の森百選の石碑を前にして記念写真。お疲れさまでした。

10月9日(月)行動予定                            
8:00 朝食                                  
10:00 タクシーにて空港へ                          
11:35 屋久島空港発                             
15:20 羽田空港着:荷物を受け取り解散:帰宅へ                

文章略                                    

屋久島の事なら何でも・・お世話になった山口さん。



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