紀伊半島一周・那智勝浦まで


熊野から那智大社・那智の滝を経て那智勝浦まで走った。



 昨夜は湯の峰温泉に泊まった。世界遺産の「つぼ湯」は団体さんが交代で使っていて入
れなかったが、宿の温泉がとても良かったので大満足。朝風呂も快適だった。     
 朝食で特別だったのが「お粥」だった。温泉で焚いたというお粥は温泉の香りがお米を
溶かした口当たりの良いお粥だった。ここでなければ食べられない味だ。シンプルな朝食
に箸が進んだ。                                 

朝の湯の峰温泉街。こじんまりしたいい感じの温泉街だ。 今日も良い天気で青空が広がっている。


宿泊した宿の部屋。狭いけどシンプルでいい部屋だった。 朝食は豪華だった。特に温泉で炊いたお粥は絶品だった。

 9時半にチェックアウト、山越えの道を走って「大斉原」(おおゆのはら)を目指す。
昨日参拝した熊野本宮大社の近くなのだが、昨日は時間がなかったので回れなかった場所
だ。すぐに到着して車を降りると寒いのであわててウインドブレーカーを着込む。   
「大斉原」は明治23年まで本宮大社が鎮座していた場所だ。大洪水で壊滅的な被害を受け
、山の上に遷座されたという。古代の昔から熊野本宮大社への参拝は誰でも川を渡らなけ
れば参拝できなかった。自然のみそぎを受けなければ参拝できない場所にあった。   
 神聖な場所には誰もおらず、充分に神聖な空気を味わった。広い芝生に立つと身が引き
締まる思いがする。大いなる気配を全身に感じ、自然に背筋がまっすぐになる。来たかっ
た場所に立ち周囲を見渡すと、巨木に囲まれた聖地は遠くからの旅人をやさしく包み込ん
でくれた。                                   

大斉原(おおゆのはら)入り口の鳥居をくぐる。 欄干のない小さな橋を渡って聖地へと向かう。


きれいに整備された土塁が見えて来た。空気が変わる。 立派な石碑が建っていた。


元社殿が建っていた場所には小さな社が建っている。 明治まではこれが熊野本宮大社だった。


川沿いには大きな堤防が築かれている。大鳥居が見える。 真下から見上げる大鳥居。高さ34メートル、幅42メートル。


背筋がシャンと伸びる空気に少し緊張して写真を撮る。 土塁をふり返りながら大斉原(おおゆのはら)を後にする。

 次に向かったのは那智駅。駅前に世界遺産情報センターがあり、ここで那智全般の勉強
をする。昔は京都から16日掛けて那智までたどり着いた事を知る。火祭りのビデオなどで
那智を学習し、近くの補陀洛山寺に向かう。境内の大楠で写真を撮り、お寺さんの中を見
させてもらう。係の人の丁寧な明るい解説に、平安時代から続いている由緒あるお寺だと
いう事をつい忘れてしまう。補陀洛渡海の船が展示されており、信仰のリアルさを感じた
。熊野という土地ならではの信仰なのだろう。補陀洛渡海の実践にどんな意味があったの
か。今となっては想像するしかないが、信仰の力というものが今とは比べものにならない
くらい大きいものだった事は熊野に来て大いに感じる。これは、ここに来てみて初めてわ
かった事だ。                                  

世界遺産情報センターのポスター。きれいだ。 横に黄色いポストを見つけたので記念写真。珍しい色だ。


火祭りの松明。ヒノキで宮大工が作り上げる工芸品だ。 京都から16日掛けて熊野詣でをしていた昔の人々。


浜の宮王子跡に建っている鳥居。この先に補陀洛山寺がある。 浜の宮王子跡の看板。那智詣での海岸拠点だった。


境内にある巨大なクスノキ。二本の根はひとつだ。 大クスにへばりつくカミさん。まるでセミのよう。


補陀洛山寺の本堂。 補陀洛渡海をしたという舟を再現した写真。


ご朱印を頂いて本堂から出て来るカミさん。 補陀洛山寺、不思議なお寺だった。

 熊野那智大社に向かう。昨日の疲労が足に残っていたので大門坂を歩くのはやめて表参
道から参拝する。それでも473段の階段は足にくる。那智大社に着いて後方を振り返ると
巨大な山塊が目の前にそびえる。なんという高さに作られた社殿なのか。強風が吹き上げ
、五色の旗と日の丸が真上に吹き上げられている。                 
 参拝を済ませ熊野牛王神符を求める。これで熊野三山それぞれの牛王神符を手に入れた
ことになる。今後の人生で牛王神符を使う場面が来るのかどうかわからないが、いざとい
う時の守り神になってくれれば嬉しい。                      
 境内にそびえる巨大な楠の胎内くぐりを行う。健康長寿に御利益があるそうだ。楠の胎
内くぐりとは驚いた。500円の護摩木を求め、心願成就の願いを書いて奉納する。   

表参道473段の階段を登る。 そろそろ終点かというところに建っている大鳥居。


やっと手水舎。 まだ石段が続く。


こんな階段が最後にある。なんてこった。 那智大社境内の大クス。胎内くぐりが出来る。


八咫烏の像と一緒に写真を撮る。 御懸神社に参拝するカミさん。


胎内くぐりをした。健康長寿に御利益があるのとのこと。 こんな大きなクスノキが境内にあるとは…

 続いて那智山青岸渡寺に参拝する。このお寺は西国三十三観音霊場の一番寺となってい
る。堂内に入った瞬間、豪華な造形と内部の精緻さに圧倒された。中に入ってしばらく動
けなかった。気配、圧力、見つめられる力、歴史と時間、人々の声や影、圧倒的な実在感
などなど強く強く胸に迫ってくるものがあったが、あれは一体なんだったんだろうか…。
 簡素な神社と豪壮なお寺の対比が如実に感じられる場所。明治時代までは那智大社と一
体で、神仏習合の修験道場として栄えていた。神も仏も同体だという信仰で、元来の日本
での信仰の形だった。京都から歩いて16日かけて最後にたどり着く那智大社と那智の滝。
はるかな昔那智の滝にたどり着いた人々はいったいどれほどの感動を受けたのだろうか。
車でぴゅんと来てしまう現代ではそれを想像することは難しい。           

西国33箇所観音霊場の第一番寺にあたる青岸渡寺。 中に入った途端に足がすくんだ。歴史に圧倒されたか。


柱一本にも歴史の重さを感じる。 扁額の見事さ。これだけでも圧倒される。


美しく豪華な内陣。一見の価値がある。いや、必見だ。 外は質実剛健の佇まい。そのギャップがすごい。

 神妙に参拝を終え、那智の滝を目指す。那智の滝までの下り坂が長かったこと。ツルツ
ルに踏みならされた巨石の石段がここを訪れる人の多さを教えてくれる。老若男女が、善
名善女が杖を片手にふうふう言いながら石段をわたる。平安時代から続いている滝への道
。下りきって見上げる岩壁に完璧な姿を見せる那智の滝があった。神の姿と言われる滝は
どう賞賛しても言葉足らずになりそうだ。じっと見上げて言葉をなくす。       
 一生に一度は見るべきだという那智の滝が目の前にある。中程のしぶきが上がる場所を
じっと見ていると手を合わせて滝行をする行者の姿が見えてくる。神の滝と言われる所以
だろう。いつまでも見ていたい美しい滝だ。                    

三重の塔が見え、その先に……あこがれの那智の滝が。 三重の塔が美しい。


道の横に桜が咲いていた。 ピカピカの石段。今までどれだけの人が歩いたのか。


ひたすら石段を歩く。長かった。 やっと、ここを下れば滝に会える。


那智の滝が見えた。 やっと、ここまで来る事が出来た。


滝見の会談を登るカミさん。 那智の滝落ち口。


滝見台で記念写真。手に持っているのは那智大社の牛王神符。 滝の中央付近。僧侶が滝行をしているように見える。


いつまで見ても飽きない那智の滝。とにかく美しい。 滝見台でカミさんの写真を撮る。


那智の滝をふり返り、後ろ髪を引かれる思いで歩く。 滝の外に出ると普通の山が見えて、何だか不思議な感じがした。

 車に戻る途中で駐車場横のお店に入る。お茶と「お滝もち」を求め、冷えた体を暖める
。お土産も買って、駐車代金の替わりにする。車に戻ったのが2時だった。      

駐車場横の店に入り、休憩をする。 「お滝もち」を食べて温かいお茶を飲む。生き返る心地。

 今日の宿は那智勝浦なのでまだ時間がある。昼食と夕飯を兼ねた食事に串本へ向かう。
秋山さんから紹介してもらった「萬口」が明日は休みのため、今日行くことにした。勝浦
から串本まで往復60キロ、「鰹茶漬け」を食べるために走る。            
 三時半に到着して店に入り、鰹茶漬けをいただく。噂通りの美味に大満足。店内にはた
くさんの色紙が飾ってあってびっくり。旨い店はみんな知っているということだ。   

串本駅。勝浦から往復60キロ。目指す店はどこだ? 地元の人に聞いて見つけた「萬口」。


店の名物「かつお茶漬け」旨そうだ。 カミさんも満足そう。


食べる順番にルールがあり、その通りに食べる。 最後のお茶漬け。本当に旨かった。

 串本から勝浦まで戻って宿を探す。ナビが消えてしまったので勘で走る。遠くに大きな
建物が見えたのでそこに向かって走っていたら、なんとその建物が目指す宿だった。  
「かつうら御苑」、大きな温泉宿だ。駐車場には大きな観光バスが何台も停まっている。
チェックインすると五階の一番端の部屋。全室オーシャンビューの部屋とのこと。案内の
人が「ここから那智の滝が見えるんですよ…」と指さす。じっと見ていると山の中にかす
かに浮かぶ那智の滝が見えた。温泉の名前が「滝見の湯」というのはこれを差してのこと
らしい。                                    

部屋の窓から見える海。あの山の一箇所に那智の滝がある。 右側の海。内海なので波は静かだ。

 休憩してから温泉に向かう。団体客の流れと時間をずらすと快適な温泉を楽しめる。夕
食は先ほどの鰹茶漬けで充分。風呂上がりのビールが飲めればそれだけでいい。今日もよ
く歩いたのでぐっすり寝られそうだ。                       


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