ACLアウェー全北戦


アジアチャンピオンズリーグ準々決勝の第2戦もレッズが勝った。


9月26日(水)全州ワールドカップスタジアム:ACL準々決勝2nd:全北現代モータース


9月25日、午後2時半。羽田空港の国際ターミナルの全日空カウンターでチケットを
受け取る。これから韓国の金浦空港へ出発だ。同じツアーの河野さんと同席し、いろい
ろ話しながら短い飛行時間を楽しんだ。韓国は近い。3時間ほどで金浦空港に到着し、
ここでインチョンからの河手さんと合流し、チョンジュを目指す。ガイドのイさんが楽
しい方で4時間ほどのバスの長旅も苦にならなかった。韓国は明日までの秋夕(チュソ
ク)の3連休で、高速道路が渋滞している。ソウルへ向かう反対車線は100キロ以上
も渋滞していた。明日、試合が終わってソウルに帰るサポーターにとって、とんでもな
い苦難の道になりそうだ。                           

夜の金浦空港。羽田から韓国に来たのは初めてだ。 チョンジュ到着。ホテルの還元看板。

11時ころチョンジュに到着。ミニスーパーで缶ビールを買ってホテルに向かう。ホテ
ルはチョンジュ市内のコアリベラホテル。ツアー会社の添乗員が迎えてくれて、ここが
選手や関係者と一緒のホテルだと教えてくれた。こんな幸運な事があるなんて驚き、歓
迎の看板が出ていることにも納得。まさか我々の為に出した看板じゃないよね、などと
話していたところだったのだ。チェックインして部屋に行く。テレビでKリーグの試合
をやっていたのでビールを飲みながら見ていたが、そのうち寝てしまった。     

途中で買ったKAS REDビールを飲みながら。 朝、部屋の窓から見る景色。

朝7時に起きてシャワーを浴び、散歩に出る。チョンジュは朝鮮王朝発祥の地で、歴史
の町とも呼ばれている。様々な史跡と韓屋(ハノック)と呼ばれる古い家並みが広がる
町でもある。この散歩については「旅」のコーナーでレポートしたい。3人で9時半に
待ち合わせていたので一旦ホテルに戻り休憩した。約束の時間になったのでエレベータ
ーに乗った。うっかりボタンを押し忘れてエレベーターが7階まで上がってしまった。
まいったなあ・・と思っていたら乗り込んできたのが何と「坪井!」そして次に乗って
きたのが「達也!!」体が緊張で固くなる。呼吸が浅くなって頭が真っ白になってしま
った。                                    

心の中で「こんな機会は二度と無いのだから、何か話しかけなければ・・・」と焦って
いる。やっとの思いで口を開いた「お疲れさまです。選手の皆さんは何時頃出られるの
ですか?」今から思うと陳腐な質問だが、これしか頭に浮かばなかった。それに対して
達也がこっちを見ながら「う〜〜ん、5時ごろかなあ・・」と答えてくれた。エレベー
ターがロビーに着いたので「頑張って下さい」と送り出した。選手の朝食の時間だった
ようだ。その後も続々と選手がエレベーターから下りて食堂の方に向かって行ったが、
さすがにもう話しかける事は出来ず、見送るだけだった。ロビーにいた二人と一緒にな
って「おおワシ、でけえ!」とか「都築だ、ギシだ、ノブヒサだ・・・・ああ」などと
すっかりミーハーサポになっていた。                      

ホテルの遠景。 選手バス。右がレッズ、左がチョンブク。

3人で選手バスの前で写真を撮り、散歩に出かける。目的はコンナムルクッパ。ここの
名物はビビンバなのだが、朝からやっている店は少なく、秋夕(チュソク)で休んでい
る店もあるので、もう一つの名物を食べようという事になったのだ。「ウェンイチブ」
という名のその店はすでに並ぶ人がいるほど人気店だった。店内は人でごった返してい
たが、元気な女将さんが鮮やかに仕切り、すぐに座ることが出来た。あっと言う間に出
てきた「コンナムルクッパ」は爽やかな辛さと大量のコンナムルが美味しかった。付け
合わせもコンナムルもすぐにお代わりが出てきて、すぐに腹一杯になってしまった。 

コンナムルを食べる。本当に美味しかった。 お店の名前は「ウェンイ・チブ」元気な女将さんでした。


ホテルに立てられていたACLの看板 チケット。チョンブクカラーのグリーンになっている。

昼過ぎまであちこち回っていろいろ見学した。この詳細も「旅」のコーナーで書きたい
。試合会場に行く前に腹ごしらえをしようと入った食堂は待望のビビンバの店。ここの
ビビンバはじつに美味しかった。ツアーでやってきた赤サポがどんどん入ってきて、日
本語が飛び交う店内の様子もなんだか不思議な光景だった。レッズサポのパワーはすご
いと実感した。2時になったのでホテルに戻り、レプリカに着替える。いよいよ戦闘開
始だと気合いを入れホテルを出発する。スタジアムが見えてきて更に気持ちが高ぶる。
チョンブクサポがいっぱい並んでいるのを見て「けっこういるねえ・・」と感想。しか
し、南門に回ったらとんでもない数の赤いサポーターがならんでいるにビックリ。駐車
場にはソウルから来た大型観光バスが60台以上ズラリと並んでいる。列は2重になっ
てスタジアム片面を往復している。いったい何千人いるのか・・・         

スタジアム到着。バスから降りる。 何という長さの列。いったい何人いるのか。


スタジアム正面で記念写真を撮る。 入り口をチェックしたら1箇所しか開けていなかった。

バスから降りてすぐに列に並ぶが、開門しているはずなのに列が全然動かず、これで入
場出来るのかが逆に心配になってきた。列から離れて門を見に行ったら、何と一箇所し
かゲートを開けていないのだ。これでは何時間かかるか分からない。まったく嫌がらせ
としか思えない開門だ。ぶつぶついいながら列に戻る。もう諦めて並ぶしかない。その
うちに動きが早くなったので助かったが、この時は本当にキックオフに間に合わないん
じゃないかと心配した。列待ちの途中でGGRの司会をしているジエイランがいた。みん
なが代わる代わる並んで写真を撮っているので、我々もお願いして写真を撮ってもらっ
た。ジエイランは本当に可愛い。いい記念になった。               

1時間かけてやっと折り返し地点。 ジエイランと記念写真を撮った。可愛かったなあ・・・

やっと入場した時はすでに中心部は一杯で、我々は端の方に席を求めるしかなかった。
まあ、どこでも同じなので空いているところに席を決め、すぐに旗を取り出して振り始
めた。ベンチでポンテとワシントンがゲームか何かしている。横でネネが超リラックス
して座っている。チョンブクサポはゴール裏が三千人くらいだろうか、レプリカを着た
人は少ない。不人気チームとは言えホームなのだから、もう少し気合いを入れて欲しい
ものだ。河手さんがビールを買ってきてくれた。飲みながら旗を振り続ける。バックス
タンドも徐々に人が入ってきた。旗竿持ち込み禁止という話だったが、みんな普通に持
ち込んでいるのが可笑しかった。そういう自分も同じだが。            

席からゴール裏中心部を望む。遠い・・・ チョンブクゴール裏とバックスタンド。

審判団が場内チェックに回ってきた。レッズサポは立ち上がって拍手と歓声で迎える。
審判団が何と手を上げて応えてくれる。ますます盛り上がるゴール裏。そのうちに何と
審判団がレッズサポをバックに記念写真を撮り始めた。いくら何でもそれはまずいんじ
ゃないの?と思ったが、審判が好意的であればそれに越したことはない、案の定、韓国
人の関係者が急いでチョンブクサイドへと誘導する。その関係者に向かって4人揃って
の写真を撮ってもらう審判団。笑ってしまった。チョンブクサイドでも気を使って写真
を取っていたが、韓国人はこういうのに敏感なんだよね。まいいか。

選手が出てきてアップを始めた。 チョンブクゴール裏で発煙筒が焚かれてビックリ。

都築が出てきた。盛大な拍手と歓声で迎える。チョンブクからはブーイング。一気にテ
ンションが上がってきた。選手が出てきてアップが始まる。旗を大きく振り続ける。こ
のスタジアムのオーロラビジョンは選手紹介も表示しないし、時間表示も無い。何だか
情けないKリーグの次節の案内を流すだけ。こんなんでいいのか??ところが、いきなり
正面のスタンドに発煙筒の光が!「えっ、ここ発煙筒オッケーなの?」なんて思ってい
たら、今度は下段で5〜6個の発煙筒が焚かれた。何とレッズのゴール裏でも何本もの
発煙筒が焚かれている。いやはや海外の試合はこれだから楽しい。そのうちにチョンブ
クサポからはロケット花火が上空に向かって連射された。「何でもありなんだ・・」ち
ょっと新鮮な気分でそんな光景を見ていた。                   

こちらのゴール裏でも発煙筒が焚かれている。おお! チョンブクゴール裏はたくさんの発煙筒が焚かれいる。

応援のスタートはウオーリア。チョンブクサポからブーイング。バックスタンドの観客
みんなこっちをポカンと見ている。声を限りに叫び、手を叩く。選手がセレモニーを終
えてピッチに散る。緑のピッチに赤のシャツと白のパンツが美しく映える。今日は永井
と達也のツートップだ。ワシントンが怪我なのか・・ちょっと心配になる。キックオフ
の笛が鳴り、試合が始まった。そして前半3分、平川のクロスをDFがかぶり、ボールが
ポンテの前に出た。ポンテがシュート!、GKが弾く!、達也が詰める。右足一閃、ボー
ルはゴールの右隅に吸い込まれた。「やったあ!達也だぁ!」「よおし先制だぁ!」誰
かれとなくハイタッチ。スタンドは大歓声に包まれた。              

達也の得点に大喜びのゴール裏。 バックスタンドもだいぶ埋まっている。3万人くらいか。

その後も攻め続けるレッズ。チョンブクはファールで止める展開が続く。イエローカー
ドが出るたびに大歓声。それにしても悪質なファールが多い。審判も流しすぎなんじゃ
ないだろうか。前半途中でゼ・カルロが出てきて荒れた様相が更に激しくなる。とにか
く選手が怪我をしないようにと願うばかりだった。レッズはワンタッチでボールを回し
相手との接触を避けるようにしているのだが、チョンブクの選手は足を狙って蹴ってく
る。Jリーグだったら前半で2〜3人退場になっていてもおかしくない状態だった。 

後半も同じ展開だった。必死で声をだしながらも、冷静な選手に心の中で驚いていた。
あの闘莉王が口を切られても我慢しているし、長谷部も冷静だ。山田などは必死に蹴っ
てくる2番をたしなめるような態度まで取っている。頼もしくなったなあ・・それが本
当に嬉しかった。こんな相手と同じレベルに落ちることはない。やり返すのではなく、
軽くいなす。レッズの選手が成長した証拠だ。そして後半21分に勝利を確実にする追
加点が生まれた。コーナーキックのボールが4番のチェ・ジンチョルに当たって相手ゴ
ールに飛び込んだ。達也を削り続けた4番の自業自得の「ざまあみろゴール」だった。

勝負を決める2点目が入って大喜びのレッズサポ。 試合終了。無数のペットボトルがピッチに投げ込まれている。

これで試合は決まった。足にタックルに来るチョンブク選手を交わしながらボールを回
し、終了の時間を待つ。永井の惜しいシュートがあったり、伸二の相手をあざ笑うよう
なボール扱いがあったり、やけになったサポが発煙筒を焚いたり、水入りペットボトル
やビール瓶を投げ込んだりといろいろあったが、試合はそのまま終わった。審判とケン
カして7番が退場になったのはよく分からなかった。それよりもバックスタンドから我
々に向かってビール瓶やペットボトルが投げ込まれてきたので恐ろしかった。警備員は
見ているだけだし、まったく対処しようとしない。切れた人が詰め寄って抗議するが反
応無し。ずいぶんと民度の低いアウェー体験をしてしまった。ピッチには無数のペット
ボトルが投げ込まれて転がっている。あれは判定への抗議のつもりなんだろうか。  

選手がゴール裏にやってきて挨拶。大歓声で迎える。 スタジアムから外に出る。

選手がゴール裏にやってきた。拍手と歓声とバンザイで迎える。「赤き血のイレブン」
を歌う。そしてサイスタで封印していた勝利の歌「WE ARE DIAMNDS」を歌う。マフ
ラーを高く掲げて精一杯の声で歌う。この至福のひととき。この瞬間は何もかも忘れて
しまう。勝った。アジアの4強になったのだ。あと二つでチャンピオンになれる。様々
な想いを込めて最高の気分で歌った。                      

「はやく帰って下さい」という場内アナウンスに笑いながらバスに戻る。参加者が笑顔
で続々と集まってくる。今日の祝勝会は酒代をツアー会社が持ってくれることになって
いる。さあ、祝勝会場のプルコギ屋さんに出発だ。チョンジュワールドカップスタジア
ムの照明がバスの車窓から遠ざかって行く。おそらく、ここに来ることはもう無いだろ
う。勝利の余韻に浸りながらバスの揺れに身を任せる。至福の時間。        

祝勝会はプルコギの店で思う存分飲んで騒いだ。 お店の外で記念写真。


翌日の新聞は審判の判定で負けたと書いてあった。



■AFCチャンピオンズリーグ 決勝トーナメント準々決勝 第2戦         
●9月26日(水)19:00(日本時間も同じ)/韓国・全州            
全北現代 0-2 浦和                              
・得点者:'3 田中達也(浦和)、'66 オウンゴール(浦和)          


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