ついにJ1悲願の初優勝!


15年間待った優勝の瞬間がやってきた。最高の選手、最高の仲間に乾杯!


12月2日(土)J1:第34節:ガンバ大阪戦:サイタマスタジアム2002

11月23日(木)サイスタ甲府戦の朝、「父死す」の連絡が入り、スタジアムに行く
支度の途中だったのを急遽秩父の実家へと向かった。翌日が通夜、葬儀はFC東京戦の
ある日曜日だった。味スタでの戦いで優勝が決まる可能性が高かった。遠く秩父からレ
ッズの優勝を祈っていたのだが、その日は結局決まらなかった。お清めが終わって帰り
支度をしているとき「レッズがきっと待っていてくれたんだよ」という妹の声が胸に浸
みた。もし葬儀と優勝が重なったらと複雑な思いだったのが、そのひと言で吹っ切れた
。そして今日、こうして最終戦を迎えた。ガンバ大阪との優勝決定戦だ。泣いても笑っ
ても今日の結果で優勝がどちらかに決まる。                   

浦和美園駅からスタジアムまで続く赤い旗の列。 私も旗を振りながらスタジアムまで歩く。


途中にある歩道橋が赤い横断幕で覆われていた。 南門には「共に闘い、共に頂点へ」の看板が掲げられている。

浦和美園駅前には赤いフラッグがかけられている。サイスタまでの通路はLフラッグが
立てられ、歩道橋は赤い横断幕で覆われている。青い空に映える真っ赤なフラッグが決
戦の興奮を盛り上げる。スタジアム前ではサポーターが声を枯らして今日の戦いに全て
を込めようと叫んでいる。スタジアム前広場は赤い人でごった返している。休憩所の空
いた席に座り、ケバブサンドを頬張る。スタジアムの2階広場でガンバサポーターが決
起集会を開いているのが見える。彼らもまた必死なのだ。3点差を付けて勝つ以外に彼
らの優勝は無い。しかし、それを充分にやってのける力を持っているからイヤだ。レッ
ズの方が優勝の確率は高いが、過去肝心な所で負けているだけに不安は大きい。   

ゴール裏はすでに立錐の余地もなく真っ赤に染まっている。 ガンバサポも気合いが入った応援を続けている。


選手のアップが始まるとスタジアム中で旗が振られる。 スタメン発表で興奮がピークに達する。

スタジアムに入るとバックスタンドの真っ赤なサポーターが目に飛び込んできた。ガン
バのサポーターも勢揃いして声を出している。ガンバの選手が登場すると全体から地鳴
りのようなブーイングが沸き起こる。レッズの選手が登場すると割れんばかりの歓声と
無数のフラッグが激しく振られて、決戦の興奮が高まってくる。サポーターもこの一戦
にかける思いが大きい。持参したLフラッグを力いっぱいに振る。これが少しでも選手
の力になるならと、思い切り振る。スタメン発表で興奮は最高潮に達する。一人一人の
名前を叫び、フラッグを振り、今日の試合を託す。                

旗の海が広がる。 「威風堂々」が歌われる。全員が立ち、拳を突き上げる。

選手がピッチから去り、一時の静寂が訪れた。その時「威風堂々」が聞こえてきた。そ
して信じられない光景が展開された。全員が立ち上がったのだ。誰に指示された訳でも
なく、誰に呼びかけられた訳でもなく、指定席の常連達が皆立ち上がり、拳を突き上げ
「威風堂々」を高らかに歌っている。何と言うことだ。こんな事は想像もしていなかっ
た。ゴール裏は全ての人が両側の人と手を繋いでかざしている。スタジアム全体が立ち
上がって歌う「威風堂々」。鳥肌が立ち、声が裏返ってしまう。涙が流れてきた。この
一戦にかける思いがこんな形で現れたのだ。普段はビールを飲んでいる人も、携帯をし
ている人も、話し込んでいる人もみんな立ち上がって拳を突き上げて歌っている。これ
が浦和レッズの底力なのだと実感した。                     

バックスタンドのビジュアル。素晴らしいのひと言。 我々メインスタンドは白い旗を振る。

そしてファーストインプレッションの高音がスタジアムに鳴り響き、選手が入場する。
席に置かれた白い旗を思い切り振る。目の前のバックスタンドに浮き上がったのは、鮮
やかな浦和レッズエンブレムだった。6万2千人が選手を奮い立たせるために実施した
ビジュアルパフォーマンスは素晴らしいものだった。この場に立ち会えた事が嬉しかっ
た。緑のピッチに散った選手達にはどう見えているのか。ワシントンがサークル上で両
手を挙げて感極まった表情で周囲を見回している。我々の思いはきっと選手達に届いて
いるに違いない。                               

試合開始のホイッスルが声援で聞こえない。 先制された嫌な雲行きを振り払ったポンテのゴール。

試合開始の笛が声援で聞こえない。選手がピッチを走り始めたことでそれを知る。この
一戦にかける思いをウオーリアに乗せてピッチへと送る。試合は先行しなければならな
いガンバが吹っ切れたように攻勢をかけ、レッズがそれを受け止める形で展開していっ
た。ズルズルと下がり、セカンドボールがことごとくガンバに拾われる悪い流れが続く
。嫌な流れだなあ・・とスタジアム全体が悪い空気に包まれてきた時だった。21分、
案の定マグノアウベスに先制点を決められてしまい、6万人の溜息とつぶやきがスタジ
アムを覆った。確かに選手の動きが悪かった。何か怖がっているような動き出しの悪さ
は、守りに入った負けパターンそのものだった。                 

しかし、強烈なポンテの一発が空気を一変させた。ワシントンのスルーパスに反応し、
ワンタッチでシジクレイを交わし、ゴール左に鮮やかに決めたシュート。目の前で雄叫
びを上げるポンテに総立ちとなり、大歓声が爆発した。この1点は大きかった。この点
を境に選手の動きがまるで変わった。呪縛を解き放った猛獣のような動きに変わった。
その勢いが前半終了間際のワシントンの得点を生んだ。ポンテの鮮やかなクロスに合わ
せたワシントンの2点目でスタジアムの6万人は優勝を確信した。ハーフタイムにコン
コースですれ違うサポーターは誰もがニコニコと笑っていて、今日の試合を楽しんでい
るようだった。                                

ワシントンが鮮やかに2点目を決め、俄然有利に。 ハーフタイムに広げられた3枚のデカ旗。サポも集中している。

後半もレッズの勢いが続いていた。ガンバは遠藤を投入して流れを変えようとしたが、
あまり効果的では無かった。ボール保持率が上がっても怖さは感じなかった。遠藤には
縦への鋭さを感じられなかった。シジクレイが肉離れで外へ出ている間に、アレックス
のクロスを闘莉王が折り返し、ワシントンが頭でねじ込んで3点目。これで勝負あった
。ワシントンは得点王を手中にする得点だった。あとはもう守るだけ。1点取られたも
のの、大勢に影響なく、歓喜の瞬間を迎えた。ワシントンがいち早く両手を突き上げて
、それから主審の両手が上がった。スタンドは総立ち、待ちに待った優勝の瞬間だ。 

ワシントンが試合を決める3点目をねじ込んだ。 待ちに待ったタイムアップの笛が鳴った。レッズJ1初優勝。

みんなが叫んでいた。両手を突き上げていた。カミさんと抱き合って飛び跳ねた。ピッ
チでは選手が抱き合っている。15年間夢に見ていた優勝の瞬間だ。俺たちが日本一に
なったのだ。                                 

喜ぶ関係者と選手。 ピッチでは表彰式が始まった。


表彰台の上に並ぶ選手達。 キャプテンの山田が鬼武チェアマンからJリーグ杯を受ける。


歓喜の記念写真。これが優勝のメンバー。浦和の勇者達。 場内一周が始まった。選手一人一人の名前を叫ぶ。


南ゴール裏。 バックスタンド。


優勝セレモニーを見守る。 Vサインのこねこさん。


勝利の歌を全員で歌う。 最高の瞬間に立ち会えて大満足。


夕焼けもきれいだった。 優勝の余韻に浸るサイスタ。

歓喜のセレモニーが始まり、長い長い浦和の夜へと続いていった。         

12月2日(土) 2006 J1リーグ戦 第34節                    
浦和 3 - 2 G大阪 (14:04/埼玉/62,241人)                
得点者'21 マグノアウベス(G大阪)、'27 ポンテ(浦和)、'44 ワシントン(浦和)
、'59 ワシントン(浦和)、'78 山口智(G大阪)                


追記                                     
サイスタでの全ての優勝セレモニーを見届け、勝利の歌を高らかに歌い、夕焼けを眺め
ながらスタジアム前でしばし休憩。旗を振りながらイオンに移動し、レストランで乾杯
し、優勝セールでカミさんのバッグを買う。イオンはニコニコ顔の赤い人でいっぱいだ
った。その後、浦和に移動。駅前の優勝報告ネオンを横に見ながら「居酒屋 力」を目
指す。力の前はサポーターでごった返していて、通過するのも難しいくらいだった。あ
ちこちで旗が振られ、歌が歌われていた。誰もがハイタッチで行き交い、歓声が響いて
いる。いやあ、優勝っていいもんだ。心ゆくまで赤い人波に漂っていた。      

浦和駅前のネオンサイン。 「酒蔵 力」の前で大混雑に翻弄される。


県庁へのパレード残照。発煙筒の光が浦和の街を照らす。 まだまだ騒ぎたりない赤い人たち。


歌とコールが延々と続いている。 さすがに終電近くなって警察から解散命令が出された。



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