05年Jリーグは準優勝で幕


12月3日(土)雪の新潟ビッグスワンで最終戦を観戦した。


1203:05年Jリーグ第34節:アルビレックス新潟戦:ビッグスワン

今年のJリーグ最終戦、レッズはアウェーの新潟戦となった。Jリーグは最終節まで大
混戦になっていて、5チームに優勝の可能性が残されていた。レッズに限って言えば、
セレッソとガンバが勝たない限り、自分が勝てば優勝出来る3位だった。鹿島も千葉も
得失点差でレッズを上回ることは出来ない。他力本願ではあるが、充分優勝の可能性が
ある状態なのだ。12月の新潟に優勝の望みをかけて大勢のレッズサポーターが乗り込
むこととなった。                               

天気予報は暴風雪から曇り時々雪へ変わっていた。私も考えられるだけの防寒対策をし
て家を出た。朝8時、上野の新幹線乗り場にも赤い人がちらほら見え、新幹線にも大勢
の赤い人が乗っていた。そして大宮駅からは本当に大勢のレッズサポーターが乗り込ん
できた。サッカーを知らない人は「いったい何なのだろうか??」という表情で赤い人
達を眺めている。レッズのサポーターは家を出る時から試合は始まっていると考えてい
るので、胸を張って赤い服を着ている。団体客ではないのに、それぞれが同じような格
好をしている。普通の人にはいったいどういう風に見えているのだろうか。     

浦佐駅での雪景色。これを見て少々ビビッた。 バス待ちの列。赤い人がいっぱい。

途中の湯沢で外に広がる雪景色に、車内には歓声ともうめき声ともつかない声が広がっ
た。「雪だ・・・」これから向かうビッグスワンの天気はどうか・・せめて強風と雨は
勘弁して欲しいところだ。窓の外に雪を見たら急に気持ちがそわそわし始めてしまった
。雪の中で長時間の並びは厳しいなあと、一人参戦の心細さを考えてしまう。一緒に行
けるはずだった藪澤さんが仕事で行けなくなって、一人で行くことになっていた。話し
相手のいない並びは正直つらい。                        

新潟に着いた新幹線からは大量の赤い人が吐き出されて、改札は大混乱になっていた。
横にあった売店でお酒と弁当とお茶を買って時間をやり過ごす。長い列に付いて改札を
出て、南出口のシャトルバス乗り場に向かう。ここでも赤い人の長い列が出来ていた。
隣の競馬場行きのバスを待っているおっちゃん達が、あきれたように我々の長い列を眺
めていた。シャトルバスはすぐにやってきてラッキーな事に座ることが出来た。料金は
片道250円で往復券となっていた。バスが走り出すと同時に雨が降ってきた。この雨
の中で並ぶのか・・・と、ちょっと憂鬱になる。なんだか風も強そうだ。      

自由席の並び列。交差点を曲がってまだまだ先へ続く。 やっとビッグスワンが見えてきた。

新潟駅からまっすぐ南に走り、一度右折してそのまま走るとビッグスワンが見えて来た
。単純な道なので歩いて帰ることも出来そうだ。ビッグスワンに到着する前に、周辺に
並んでいるサポーターの列が見えた。スタジアムからずいぶん遠くまで列が伸びている
ようだ。バスから降り、屋根のあるところで身支度を整える。セーターを着てホッカイ
ロを腰に2枚貼り、オーバーズボンを履いて、スパッツを装着する。ネックウオーマー
を付け、マフラーを巻き、手袋をして長い長い並びの最後尾に向かって歩き出した。 

これがビッグスワン。今日初めて見るスタジアムだ。 スタジアム前で三々五々くつろいているレッズサポ指定組。

列は500メートルくらいだっただろうか。万博の時よりも短かったし、運営側の配慮
か、早く動き出したのでそれほど待っている時間は無かった。冷たい風が頬に痛いよう
だった。徐々にビッグスワンが近づいてきて、最終戦の実感が高まってくる。入場もス
ムーズに行われ、急いでゴール裏の席を確保に向かった。ところが、席取りが大部分の
席で行われていて、座る場所が無い。しばらく階段で待つうちに、空いた席が偶然出来
たのでそこに座った。ゴール裏参戦は今年初めてなので、どうにも要領が分からない。
やはり指定席の方が気分的には落ち着けるかも知れない。グループの席取りは大きな問
題になっているようだが、実際に行ってみて良く分かった。でもまあ、始まってしまえ
ば立ちっぱなしだし、階段でもまったく問題ないのであまりグチグチ言う事でもない。

やっとの思いで端っこに席を確保し、ゴール裏を眺める。 席から見るピッチの様子。まだ何も無い。


席に座って弁当を食べる。名前は良いが、味は冷たくて・・ 練習が始まるとゴール裏も活気づいてくる。

ゴール裏の熱気は凄かった。ときおりみぞれが降るような寒空の下、爆心地は全員上半
身裸という熱さ。見ているこっちが風邪を引きそうになるが、この熱気は確実に全体に
伝わっていった。今日は最後まで声を出し、出来る限り跳ねようと決心した。最後の試
合をゴール裏で締めくくれるのはサポーター冥利に尽きるというものだ。まして、今日
は勝たなければならない試合で、勝てば優勝出来るかも知れないという試合なのだ。 

選手入場はゴール裏全体で後押しをする。声を限りに叫び、手を叩く。

選手入場時から声の圧力はMAXだった。浦和レッズカンペオンに始まり、ウイアーレッ
ズコールが会場を圧倒した。自分の出している声がまったく聞こえないシンクロ状態が
続き、これが浦和のゴール裏だと実感した。新潟の応援はまったく聞こえない。試合開
始早々から選手もサポーターも全力だった。あっという間の前半4分だった。フリーキ
ックのこぼれ玉を誰かが押し込んで先制!!オーロラビジョンの再生で堀之内だったこ
とが分かって大歓声が上がった。よおし、先制したぞ。さあ次だ。更に応援のボルテー
ジが上がる。                                 

今日の新潟は何だか変だった。みんな下がってしまい、エジミウソンが孤立してしまっ
ている。ファビーニョがボランチの位置にいるようでは怖くない。それだけレッズの攻
撃が厚かったということも言えるのだが、新潟の守備のまずさに助けられたような前半
だった。前半14分、待望の追加点はポンテのフリーキックだった。遠くのゴールに何
という事無く吸い込まれていって2点目。ゴール裏はもうお祭り状態。周辺の人とハイ
タッチを交わし大歓声を上げる。今日の試合の入り方は最高だ。前から前からチェイス
して次のパスをカットする。浦和の攻撃ばかりが続く展開で、新潟はカウンターも繰り
出せずに単発の攻めしか出来なかった。今日のレッズは強い。           

試合が始まった。今日のレッズは最初から新潟を圧倒していた。

2点のリードでハーフタイム。カミさんから携帯に連絡があり、レッズが首位にいる事
を知った。直後、アナウンスがありゴール裏が大歓声に包まれた。「このまま行けば優
勝だ!」「優勝だよ!」歓声が広がり、ハーフタイムはあっという間に終わった。優勝
出来るかも知れないという思いは確実に応援をヒートアップさせていった。後半開始早
々から声を限りのウオーリアが選手の背中を押す。圧倒的な声の力で選手の後押しをす
ることしか出来ないのだから、悔いのないように全力で叫ぶ。その結果が優勝につなが
れば最高だ。                                 

1点目は堀之内だった。2点目はポンテだった。 3点目のマリッチで勝利を確信した。

後半15分だった。岡野がフリーで打ったシュートがマリッチ目がけて飛ぶ。マリッチ
がヒールで瞬間にコースを変え、ボールが手品のようにゴール角に飛び込んだ。旗が振
られ大歓声の中、マリッチはゴール裏に向かって胸のエンブレムを叩いてアピールする
。マリッチコールがゴール裏にこだました。試合は決まった。今日の新潟には3点を返
す力はない。あとはリマのフリーキックを注意するだけだ。ポンテのポスト直撃の惜し
いシュートがあり、歓声が上がる。ゴール裏はお祭り状態だ。岡野に替わって永井が入
り、歓声が更に大きくなる。永井が軽やかに右サイドで踊る。新潟は後手後手で、いつ
もの面影は無い。最終戦だからなのか、監督が退任するからなのか、解雇が発表された
後だからなのか、いずれにせよ今日のレッズの敵ではなかった。          

山田の4点目が決まり、アレ浦和の大合唱がゴール裏を包む。 試合終了の笛が鳴った。勝った。

後半35分、山田の4点目が決まり、ほぼ試合が決まった。直後のリマのフリーキック
が今日の新潟唯一の得点チャンスだったのだが、都築の空を飛ぶようなファインセーブ
でクリアされて終わった。松村さんの両手が上がり、試合終了。さて他会場の結果は?
と思って選手を見ていたら、一様に下を向いていたのでセレッソかガンバのどちらかが
勝ったのだという事が分かった。まあ、自分たちは出来るだけの事をした結果なのだか
ら受け入れるしかないだろう。それよりも今は雄々しく戦った選手達を讃える時間だ。
ゴール裏に来た選手に声をかけ、手を叩く。旗が振られ、選手のコールが行われ、勝利
の歌が歌われた。他会場の結果がオーロラビジョンに出て、ガンバが優勝した事を知っ
た。セレッソは勝てなかったようだ。レッズが2位になって終わったことになる。  

勝利の歌を全員で歌う。これが優勝だったらどんなにか良かったことか。

ホームの新潟は我々の勝利セレモニーが終わるのを待ってくれて、自分たちの最終戦セ
レモニーに入ってくれた。その心配りが有り難かった。ゾロゾロと帰る仲間達を見送り
、私は反町監督の挨拶を聞いていた。新潟にとって、Jリーグにとって無くてはならな
い存在で、将来を嘱望されている監督だ。その手腕は賞賛に値する。拍手で反町監督を
送り、ビッグスワンを後にした。                        

バスを待つ長い列を横目に歩いて駅まで帰る。風は強く冷たいが、最終戦が終わった余
韻を楽しみながら歩くのがいい。バスは渋滞するし、混むし、こんな日は歩いた方が楽
しい。駅までは30分くらいだったろうか。駅のコンコースには赤い人が溢れ、みどり
の窓口では「本日の東京行き新幹線指定席は満席です!」駅員が絶叫していた。これを
聞いて顔色が変わった。「しまった。帰りの切符買って無かった。」まさかこんなに早
く全席売り切れるとは・・・レッズサポでありながら迂闊だった。自由席も乗れるかど
うか分からないとのこと。今日中に帰ることはあきらめざるを得なかった。     

さて、家に帰れないと電話して宿捜し。駅前のホテルはワシントンも東横インも満室で
断られ、繁華街から少し奥まったビジネスホテルに何とかシングルを確保し、疲れた体
を休めた。ひと休みしてホテルで勧められた魚の美味しい店に向かった。ところが教え
られた3店とも赤い人で一杯で入れない。まったく恐るべしレッズサポ。仕方がないの
で、普通の居酒屋で一人祝杯を上げた。05年Jリーグは2位で終了。お疲れさま。 


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