勝負弱さ露呈、ガンバに負ける


11月12日(土)アウェー万博ガンバ戦を観戦に大阪遠征をした。


05年Jリーグ第30節:ガンバ大阪:万博

11月12日(土)朝9時3分発のぞみの車内で買ったばかりのカツサンドと缶ビール
を取り出して朝食が始まった。今日はガンバ大阪との首位決戦に参戦するために大阪に
向かっているのだ。現在3位の浦和レッズが優勝するためには、何としても今日の試合
に勝たなければならない。無理してチケットを入手し、応援のために遠征する。万博は
初めての参戦となるので勝手が分からないが、行けば何とかなるだろう。同じ車両にも
赤い人が何人も乗っているので心強い。                     

新大阪からは京都線で茨木まで行く。快速に乗れば15分くらいで茨木に着く。ここで
も大勢の赤い人が歩き回っている。スタジアムは歩いてでも行けるようだが、確実に行
くためにシャトルバスに乗る。乗り場にガンバを応援する幟が立っていた。さすがにガ
ンバの地元だけあって、街のあちこちに応援の青い幟旗が立っている。シャトルバスの
料金は210円で、乗客の半分くらいはレッズサポだった。スタジアムまでは約15分
くらいかかっただろうか。まあ、歩いても25分くらいの距離かと思う。      

茨木駅に掲げられていた案内看板。 スタジアムに向かうシャトルバス。


バス停に立てられたガンバを応援する幟旗。街中にも沢山あった。 スタジアム前、ガンバボーイの巨大バルーン。

万博競技場はガンバのサポーターでいっぱいだった。レッズサポは反対側に並んでいた
のだが、その数が半端ではなかった。Aアウェイ自由席とSBアウェイ席が一緒に並ばな
ければならない仕組みになっているため、並びの列はグングン伸びていた。スタジアム
から列を辿っていくと歩道橋を越え、国道ぞいに続き、高速を越え・・・結局試合開始
3時間前に着いたのに1キロ以上も遠くに並ぶしかなかった。後ろにも列はどんどん伸
びている。この試合にかけるサポーターの思いが、この行列を作っていると思うと尚更
今日の試合が重要だと再確認された思いがした。                 

当日券売り場。本日はチケット完売のため誰もいない。 レッズサポーターの入場待ちの並び列がどこまでも続く。


ここが最終点。なんと高速道路を越えている。 やっと歩道橋まで近づいた。


これがSB席チケット。 やっと入り口が見えてきた。長かったなあ・・・

入場開始から亀のような歩みでスタジアムまでたどり着き、やっと入場できたのは試合
開始の1時間前だった。SB席はまだガラガラだったので、なるべくゴール裏に近い場所
に陣取る。腰を下ろしてピッチを眺めると、暖かい日差しの中に緑色のピッチが鮮やか
だった。名古屋の瑞穂球技場と似たようなスタジアムだ。腰が落ち着いたので昼食にす
る。新大阪駅で買ってきた鯖の棒寿司とスタジアムで買った揚げたこ焼きを食べる。ど
ちらも美味で、これからの戦いに大いに力を与えてくれそうだった。        

席から見るゴール裏。すでに満席状態になっている。 ピッチの眺めは瑞穂球技場に似ている。


売店は人が少なくスムーズに買い物が出来た。 揚げたこやき300円なり。美味しかった。

ボーイズマッチが行われている。なかなか白熱した勝負だった。今どきの小学生は技術
も体力も向上しているのに驚かされた。この中の何人かはきっとガンバユースを目指す
のだろう。彼らにしても満員のスタジアムで試合をするなどということはあまり経験出
来ないだろうから、よい記念になるだろう。こうしてサッカーの底辺が広がっていくの
かと思うとワクワクする。ちびっ子選手が挨拶に来たときは快く拍手をしてあげた。 

選手がピッチに現れ、アップが始まった。みな体は軽そうだ。前回の試合から中8日と
いう時間がどう作用するか。ガンバは今週2回も延長PK戦を戦っているから、体力は
限界に近いだろう。前半からガンガン攻めて相手の足が止まるまで攻め続けて欲しい。
いよいよスタメンの紹介になった。アウェーのスタメン紹介は簡単なので忙しい。今日
は啓太と都築が累積で出られない。酒井と山岸に頑張ってもらわなければならない。 

Lフラッグが掲げられた。風になびく赤が美しい。 バックスタンドもフラッグを掲げる。

角田さんのアジテーションに続いて応援が始まった。今日はバックスタンドも一体にな
って声を出す。最初から飛ばしていく。声も良く出ているし、手拍子も思い切りやる。
試合開始のホイッスルは聞こえなかった。選手がキビキビと動き出し、一進一退の攻防
が始まった。右サイドの永井が生き生きと駆け上がる。チャンスはあるのだが最後の詰
めが甘い。しかし、動けないはずと思っていたガンバの選手の動きがいい。レッズの選
手よりも2割り増しくらいで動いているようだ。最初のチャンスはレッズだったが、徐
々に押し返されてくる。大黒、フェルナンジーニョ、アラウージョのカウンターが鋭く
怖い。流れが徐々にガンバの方に傾きつつあった。                

試合開始からレッズが攻める。しかし、徐々に押し返される。 得点されて旗色が悪くなってきた。

前半29分のことだった。アラウージョからパスを受けたフェルナンジーニョがドリブ
ルでゴールに突進する。坪井が交わされてシュートがゴール右隅に決まった。いつもな
らシュートミスで終わる角度だったが、何故かレッズ戦ではそれがゴールに入ってしま
う。先制点はガンバに入ってしまった。スタンドはすぐにウラワレッズコールで選手の
背中を押す。今日は落ち込んでいる時間など無いのだ。動け!走れ!点を取れ!!  
しかし、選手の動きが良くならない。ガンバの選手に走り負けている・・・     

1点先行されてハーフタイムになってしまった。ギド、流れを変えてくれ!!

思えばギドの補強は正しかったのだろうか。パスを組み立て、相手の壁を崩すという戦
術は相手がいつも守りに徹している状態を想定している。こちらのフォワードが常に相
手ディフェンスの裏に走り込むという前提で成り立つ戦術だ。ところが今のレッズには
相手ディフェンスの裏に走り込む選手はいない。相手はペナルティエリアの前で網を張
り、囲い込んでボールを取ればいい。攻めているようでいて最後のシュートは距離のあ
るシュートになるのでキーパーも対処しやすい。今日ほど達也の存在が大きかった事を
痛感した日は無い。達也がいればこそのレッズの戦術であり、攻撃だったのだ。   

今週2回も延長PK戦を戦っている相手に走り負けているようでは基本的な戦いの質が
違っているとしか思えない。相手を圧倒する運動量で戦う前に、相手フォワードのケア
に全体が引き下がってしまい、いざ攻めるときに人数が足りない。何かが違っている。
ジェフやガンバの試合を見ていると、とにかく走る。サッカーは走ることが全てだとい
わんばかりに走る。走り勝つことがチャンスにつながり、フィニッシュにつながってい
るのだ。レッズの選手にはそれが欠けている。勝負弱いと言われる所以はそんなところ
にあるのかと思う。ギドの采配が物足りなく感じるのは選手の才能を信じきっている点
だ。もっともっとギリギリのところまで追い込んで走り込ませなければ、今のJ1で勝負
強くなることは出来ない。                           

アレウラワのロングコールで声が枯れてきた。 試合終了・・・勝たなければいけない戦いに負けた。

全体に押し気味の試合だった。シュートも打った。でも点が入らなかった。逆にガンバ
はアラウージョがカウンターから決定的な2点目を取った。これで勝負が決まったかに
見えたが、レッズはすぐに三都主のフリーキックで1点を返し、その後怒濤の攻めを重
ねた。カニのヘッドも、闘莉王のヘッドもギリギリのところで相手キーパー藤ケ谷に押
さえられた。点が入ってもおかしくなったが、点は入らなかった。そして吉田さんの手
が高々と上がり、試合終了のホイッスルが鳴った。勝たなければいけない試合に負けて
しまった瞬間、スタンドはシーンとして誰も声が出なかった。           

アラウージョのヒーローインタビューを聞きながらスタジアムを後にした。茨木駅まで
の長い道をサッサと歩く。前の人をどんどん抜きながら、ひたすら歩く。負けたという
現実から逃げるように早足で駅に向かって歩いた。無言で電車に乗り、新大阪の駅で新
幹線乗り場に向かう。予約してした座席を30分早いのぞみに変更して待合室に向かう
。構内には赤い人が一杯だったが、みな一様に沈んでいた。レストランに入り、カレー
と生ビールを注文した、つもりだった。ウエイトレスのおねえさんが怪訝そうに聞き直
してきた。注文したつもりだったが、喉がつぶれていて声が出ていなかったのだ。  


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