瀬音の森日記 98


炭焼き体験教室



1999. 12. 12


明日はいよいよ炭焼き教室という事で、指導をお願いしていた守屋さんに電話をする。
ところが、守屋さんから「明日は窯開けが出来ない!」と言われてしまった。さあ困っ
た、窯開けが今回の勉強会のメイン行事なので一瞬真っ青になってしまった。守屋さん
の都合で、窯あけのローテーションが狂ったらしいのだ。明日はまだ熱くて、とても窯
あけできる状態ではないというのだ。                      

すぐに参加者に連絡する。場合によっては中止になるかもしれない・・・あと1時間で
出発しなければならないという時に、とんでもない事態になってしまった。わたるさん
、澤田さん、吉瀬さん、telさんと連絡を取ったが、皆さん参加してくれるという事に
とりあえず胸をなでおろす。ところが、今日から行くといっていた渡部さんと連絡が取
れない。ええい、現地で探して話すしかない。                  

気がかりを残しながら車で秩父に向かう。芦ヶ久保のセブンイレブンで4時まで待った
が、それらしき車は通らない。宿に荷物を置いて明日の打ち合わせの為に守屋さんの家
に向かった。ところが、途中の山道に数台の車が止まっているのを発見。みるとFCANP
のステッカーが貼ってあるではないか!ここにいたんだ。喜んで待っていると、水をく
んで戻ってくる人影、渡部さんと澤田さんだった。良かった良かった。ホッとした。 

訳を話して了解してもらう。そして、守屋さんの家に行き明日の打ち合わせをする。窯
あけは出来ないので、焚き火を囲みながら炭の話をしようという事にした。段取りを考
えるのも大変だが、これは致し方ない。その後、薪を下のキャンプしている人達に差し
入れした。この寒い中、河原でキャンプする人達というのは、私から見ると尋常ではな
いが、見ていると実に楽しそうで羨ましくなってしまった。            

さて、明けて12日、朝7時半に宿を出るとすでにわたるさんとtelさんが来ていた。
すぐに山に向けて出発。telさんはバイクで来ていて寒そうだ。今日はこの冬一番の冷
え込みだという事だ。畑は霜で真っ白になっている。               

途中、武甲山を見る。この山は秩父の名山だが、石灰岩で出来ている事が不幸だった。
山を上から削られて見るも無惨な姿を朝日にさらしている。この山を削った石灰岩でセ
メントが作られ、全国の建築物が作られるのだ。秩父はこの山を削って生きてきたと言
っていい。その武甲山のふところ深く林道が走り、最奥に守屋さんの住まいがある。 

途中でキャンプしていた人達に声をかけて先に行く。林道の終点に建つ守屋さんの家は
そこだけ不思議に朝日が当たっている。風がないのでじつに暖かい。支度をして、やや
下の方にある炭焼き小屋に向かう。さっそく広場で焚き火をして参加者はその回りに集
まる。昨年作っておいた薪がこんなところで役に立った。参加者はわたるさんの子ども
達を含めて14人という人数で、焚き火をぐるりと取り囲むにはちょうど良い人数だ。

炭の勉強会はまず資料の配付から始まった。炭焼き窯の作り方、内部構造、薪の詰め方
などをあらかじめ作っておいた資料で勉強する。そして、実際に窯の前に行って守屋さ
んからの説明を聞く。窯がほのかに暖かい。横に積んである次回立て込み用の薪を見て
その多さに驚く。炭になると材積が半分くらいになると聞き、また驚く。参加者は驚き
と発見の連続だった。                             

次に実際に窯に詰める薪の作り方を教わる。簡単に言うと「薪割り」だ。90センチの
長さ、太さ30センチの広葉樹の丸太をどうやって炭にする太さに割るか?渡部さんが
「や」を使った薪割りに挑戦。最初はとまどったが、すぐに要領をつかみ夢中になって
いく。他の人もつられて、さながら薪割り教室になったようなありさま。      

私はブリ縄での木登りに挑戦するが、縄が短くて失敗。縄は7メートルだったが、最低
10メートルは必要だという事が分かった。次回、再度挑戦したい。        

一段落したところで上の養魚場に移動する。荒川水系渓流保存会で飼育している秩父イ
ワナを水槽に入れて観察する。28センチ程に育った秩父イワナを前にして安谷さんが
秩父イワナの話をしてくれた。子ども達も興味深かそうに水槽をのぞき込んでいた。
そして小屋の中の秩父ヤマメの稚魚を観察。稚魚はまだすいのうを付けている状態で、
まだ1センチくらいの大きさだ。懸命に小さいヒレを動かしている。こういう姿を見る
と魚が本当にいとおしくなってくる。参加者も歓声をあげて見入っていた。     

渡部さんが中心になって昼食の準備が始まった。キャンプ仲間の道具はすごい。パスタ
鍋なども出てくる!こりゃ本格的な食事の準備だ・・・本当にその手際の良さに驚かさ
れた。メニューは鉄板焼きパスタ・炭火焼きおにぎり・溶き卵入りうどん鍋・ホットコ
ーヒーと豪華なものだった。感謝感謝の満腹ご飯だった。             

山の中での勉強会は無事に終わった。天気に恵まれ、参加者に恵まれ、事故やケガもな
く終わることが出来て本当に良かったと思う。最後に守屋さんが焼いた炭をお土産にも
らって、参加者は大喜び。次回開催時には窯明けが出来るように願って勉強会を修了し
た。守屋さん本当にありがとうございました。                  

澄んだ山の空気を味わいながら・・・あとはまた明日から。