瀬音の森日記 90


コナラ林再生ボランティア



1999. 11. 7


森林インストラクター大森 孟さんが主催する、所沢市下富のコナラ林再生のボランテ
ィア活動に参加した。この作業は森林インストラクターを目指す人々が集まり、大森さ
んから指導してもらいながら作業するというもので、森林ボランティア活動の中でも質
の高いものだ。                                

参加者は7人。10時に集合してヘルメットを着用し、準備運動から始める。大森さん
の指導はここから始まる。「いいですか、準備運動というのは、心臓から遠いところか
ら始めるようにして下さいね。」準備運動の意味や効果などについて体を動かしながら
教えてくれる。                                

続いて、今日使う道具の使い方。道具はそれを伸ばした2倍の長さ以内に人を入れない
こと。近づく時は必ず声をかける事、等々。基本的な事だが、全員で確認する事に意味
がある。そして、いよいよ作業に入る。整理された林内は明るく、あちこちに竹の棒が
立っている。聞くと、「ここにコナラがあるので注意!」という目印なのだ。整理され
て日差しが入るようになった林床にはリンドウが薄紫色の可憐な花を咲かせている。 

今日の作業は不用木の伐倒と処理。大森さんがまずリョウブの株で切り方を実演してく
れる。まず、倒す方向を決める。山のような斜面の場合、谷に向かって90°は伐倒し
てはならない。その左右60°も出来れば倒さない方が良い。これは木が倒れる時の跳
ね上がりが大きく、大けがをする事があるからだ。ロープを掛けてでも、山側に倒すよ
うにする。                                  

まず、足場を確認して、逃げ場所を確保する。立木の後ろは比較的安全だ。倒す木の受
け口を切る。そして追い口を切る。ツルを残しておいて、ヤを打つか倒す方向に押す。
木が動き出したら、すぐに逃げる。あらかじめロープをかけておいて、倒す方向に引っ
張る事もある。この時も動き出したら、すぐに逃げる。そのロープかけの実演もしてく
れた。同じ事をやって見るのだが、なかなか思うように出来ない。慣れるには何度もや
る事だ。麻の10ミリロープ、40〜50メートルの長さが欲しい。        

大森さんが「あの木とその木、それからあれとあれも切っていいです。」と指示を出し
て、我々は一人一人離れた場所で、それぞれの木と格闘する。チェーンソーは使えない
ので、手のこでの作業だ。腕が疲れそう・・・・                 
私は40年生のヒノキ2本を伐倒した。枝を落とし、幹は4メートルと90センチに玉
切りする。ノコギリが良く切れる。枝は元を左にして90センチの長さに揃える。向き
は上になっていた枝を下向きに伏せるように置く。こうする事で、見た目もきれいにな
り、後のまとめの作業もやりやすくなる。                    

途中、かかり木になっていた松の大木に、ロープを掛けて引き倒す作業をした。長い竹
の棒でロープを高い枝にかけ、長くつないだロープを全員で持って引っ張る。かけ声は
「いちにーのーサン!」で引っ張る。「せーの!」では揃わないので注意する。5回繰
り返したところでやっと松の木が動いた。「くるぞ〜、逃げろ〜!」という声。我々は
サッと左右に走る。そこへズズウウウン!と大音響を立てて、松の大木が倒れてきた。
すごい迫力に少々ビックリ・・・(汗)                     

昼は焚き火を囲んで食事をとる。全員、草の実が体中に張り付いていて、それをむしり
ながら話が弾む。食後、大森さんがブリ縄を出してきて実演してくれた。ブリ縄には興
味があったので、早速借りて使ってみた。意外と簡単な使い方で木に登れた。ただし、
問題は降り方だ。大森さんは下で笑っている。さあ、困った、降りられない・・(汗)
下で教えてくれるのだが、体が思うように動かない。結局、木に抱きついて降りてきた
のだが、ブリ縄の降り方は難しい。木に登ったまま降りられないなんて、まるでバカな
猫みたいだと反省する。でも、覚えられたら面白そうだ。             

午後はリョウブの太い木を伐倒する。これは堅い木で腕が疲れた。ツルが上手く切れな
いうちに木が倒れそうになり、隣で作業していたHさんに手伝ってもらい、幹にロープ
を掛けてかかり木にならないように引き倒した。とにかく、狙った方向に倒れてくれな
いと後が大変なのだ。慎重に受け口、追い口を切らなければいけない。       

その後は延々と枝の処理が続く。単調な作業だが、大森さんが絶えず話しかけてくれる
ので緊張は持続する。「ノコギリは一気に引くのではなく、一回一回一拍置くように引
くと疲れない」とか「鉈は一旦止めるように振り下ろす」とか勉強になる話が多い。 

午後3時、私は用事があって皆さんよりも先に作業を終えさせてもらったが、本当に勉
強になったボランティア作業だった。これからも是非参加したいと思う。      

手入れされた林は気持ちいい・・・あとはまた明日から。