瀬音の森日記 306


西木村交流植樹会



2003. 10. 4


10月4日(土)秋田県西木村大覚野牧場にて交流植樹会が開かれ、瀬音の森も参加し
た。参加者は藪沢賢治さん、健さん、渡部英二さん、原渓さん、ハミングウェイさん、
岡田さん、加藤さん、猫ミュウさん、old-beanさん、田辺さん、琥珀さん、吉田さん、
安田さん、たまくらさん、kurooの15名だった。                

当日の天気予報は悪かったのだが、朝から晴れて植樹会日和となった。会場の大覚野牧
場に着いたのは7時半だったが、すでに器材や苗木は運び込まれており、作業するだけ
になっていた。役場や地元の関係者の皆さんの努力が晴れることで報われようとしてい
るのが嬉しかった。こうした事前の準備がじつに大変で、それが雨で流れるときなど本
当に悲しくなるのだが、西木村でのイベントは今までに流れた事がない。参加者の日頃
の行いがよほど良いのだろう。                         

しばらく待つうちに参加者が集まってきた。瀬音の森からの参加者はバスで宿舎の山鳩
館に到着し、着替えてからここにやってくることになっている。私は道具の運搬がある
ので車での参加だったが、何度も往復するうちに慣れて、秋田までをそれほど遠く感じ
なくなっていた。集落の人々が集まり、テントを設営する。その頃には瀬音の森の参加
者も揃い、久しぶりの挨拶を交わしたり、近況報告をしたりしている。       

私も布谷会長との再会を喜んでいたら、そこにテレビ局の取材がやってきた。CS放送の
GREEN-CHANNELアグリネット(スカパー)の取材だった。瀬音の森と西木村の出会い
から今に至る経過を取材してくれた。今日一日同行して取材するとのこと。どんな番組
になるのか興味深い。出来れば放送を見てみたいものだが、残念ながら我が家はスカパ
ーに加入していないので見られない。                      

本部前に集合して作業の進め方と安全についての講習があった。円滑に作業を進めるた
めとは思うが、午後の育天作業(天然林育成の為の作業)の安全対策を今やることの意
味は少ないように思う。午後の安全対策は午後にやらないと意味は無いのではないか?

そこに上桧内小学校の生徒と父兄が登ってきた。遠足を兼ね、麓から歩いてきたらしい
。これから我々と合流して植樹作業を行うとのこと。小学生との作業は楽しいから大歓
迎だ。ところが、それから始まった開会式が長かった。挨拶が長く、延々と続く式典に
小学生が一人倒れてしまった。村の公式行事とはいえ、あまりにお堅い式の進め方はど
ういうものかと思う。小学生は麓から歩いてきた訳で、そのままずっと立たされたので
は倒れもするだろう。式の簡素化を望みたいものだ。特に、来賓の挨拶などは参加者に
は何の意味もないもので、参加者が主役の植樹会なのだから本末転倒と言える。   

植樹はポット苗を植えるもので、さほど難しいものではなく、予定された場所はすぐに
終わってしまった。大量に揃えた腐葉土はほとんど使われることもなく山積みになった
ままだった。いったいこれで根づくのだろうか・・・冬は積雪3メートルになるという
場所で、何とか根づいて大きく育って欲しいものだ。植樹の後は藤棚の製作をした。間
伐丸太を組み上げて6本の足をユンボで掘った穴に埋め込む。こちらは力仕事で、これ
までの作業にいささか物足りなく感じていた参加者が大喜びで参加していた。    

昼食は広場でブルーシートを広げ、地元集落のお母さん達が作ってくれた豚汁やおにぎ
りに舌鼓を打った。青空が狭まり、黒い雲が出てきて午後の作業を前に空模様が怪しく
なってきた。小学生達とはここで別れ、午後の作業は場所を移動して行われた。天然林
を育成するための除伐作業で、パラパラと雨が降る中での作業となった。いずれ枯れる
藪を刈り払い、ツルや笹を取り除くことで健康な森を作る。こういった天然林での作業
は明るい森作りという点や足場が良いなどという点でやりやすいのだが、個人的には隣
の真っ暗な杉林の枝打ちや間伐の方が先ではないか?と思ったりもしていた。    

ヤマブドウやアケビを採ったり、熊の爪痕を発見したり、スズメバチの巣を発見したり
と、なかなか楽しい作業だった。終了時には大きな虹が出て、参加者の目を楽しませて
くれた。閉会式の後、宿舎の山鳩館に戻り、着替えて温泉に出かけた。村の温泉クリオ
ンに行く人と、田沢湖畔のハーブ園の温泉に行く人に別れた。どちらも1時間後の懇親
会に間に合うよう、忙しい入浴だった。                     

5時半から集落の人や役場の関係者を交えて交流会が開催された。田代村長の挨拶から
始まり、乾杯の音頭の後は宴会となった。大根のヤマブドウ漬け、ミズのコブ漬け、ヤ
マイモの揚げ団子などなど、おいしい料理がたくさん出てお腹一杯になってしまった。
集落の人と会話するのはにぎやかで楽しい時間だった。みなさん陽気でお酒が強く、寝
不足の我々はたじたじとなってしまうくらいだった。               

山鳩館は廃校になった中学校を再生し、デイサービスの拠点や幼稚園、また今回のよう
に村外からの人を収容することができる施設になっている。廃校になった学校の利用方
法での成功例として全国から見学者が来るらしい。宴会は元体育館だった場所で行われ
たので広く、多少飛び回ったくらいでは気にもならない。我々が宿泊したのは、元理科
室だった教室で、カーペットが敷き詰められた広い部屋だった。部屋いっぱいに布団を
敷き詰めた状態は、まるで修学旅行の部屋のようだった。マクラ投げでもしたい気分に
なってしまった。                               

多少のイビキに悩まされながらも翌朝までぐっすり眠り、爽やかな朝を迎えた。体育館
で朝食を食べ、荷物の整理をしてバスを待つ。東京に帰る人はそのままバスに乗り、そ
の他の車参加者もここで解散となった。天気に恵まれ、事故もなく、楽しい時間を過ご
すことが出来た。西木村での活動も回を重ねるにつれ顔なじみが増え、再会する楽しさ
が増してきている。このまま続けられれば希有の関係が築けるのではないか・・と将来
が楽しみになる。                               

テレビ番組の出来上がりが楽しみ・・・あとはまた明日から。