瀬音の森日記 284


木起し作業は大雪で撤退



2003. 4. 5


4月5日(土)朝から大雨だった。今日は東大演習林の豆焼沢で植栽木の木起こし作業
が行われる日だ。関越道を北上しながらラジオの天気予報を聞くが、ひどい天気予報だ
った。このまま1日中雨が降り、山沿いは雪になるかもしれないと言っている。一抹の
不安を感じながらも、ワイパーを早回しさせながら視界の悪い高速道路を走り、秩父に
向かっていた。多少の雨ならkazuyaさんのことだから決行だろう。        

正丸峠のトンネルを越えたとたんに叫んだ。「雪だぁー!」路面にはまだ少ししか積も
っていないが、そこには真っ白な雪景色が広がっていた。「げぇえ〜〜雪かよ〜・・」
コンビニで買い物をして、再び走り出し、市内を抜け大滝に向かって走る間も大きなボ
タン雪は止むことなく降り続いていた。藤原ダム工事現場周辺から路面に積もる雪の量
が増え、さすがに心配になってくる。まあ、車は何台も走っているようだし、何とかな
るだろうと思っていたが、さすがに今日の作業は難しいのではと考えていた。    

トンネルを抜け、学生宿舎の横を通り抜け、カーブが連続する場所に最初の車が止まっ
ていた。雪の中で真っ白になりながらチェーンを付けている人の横をゆっくりと迂回し
て更に上に進むが、その先にも、その先にも車が止まっている。大きなタンクローリー
がハザードを付けて止まっていたり、観光バスが止まっていたり、そこを通り抜けられ
ずに乗用車が渋滞していた。これはもうどうしようもないので、携帯でkazuyaさんに
連絡する。kazuyaさんはまだ影森にいた。                   

連絡して演習林学生宿舎駐車場前で待ち合わせることにして、車をそこでUターンさせ
た。下っていくと止まっている車の数がさっきより増えていた。杉が雪の重みで倒れ、
道路をふさいでいた。車を停め、帽子をかぶり後部室から鋸を出して杉を切り離した。
切り離した杉を抱えてガードレールの外側に落としたのだが、その杉の重かったこと。
春の雪の重さを身をもって感じた。竹も道路に覆い被さるように倒れかかっている。こ
んな道路は走った事もない。ボタン雪はますます激しくなってきた。        

学生宿舎の駐車場でkazuyaさんと落ち合い、もう一人の参加者安谷さんの様子が気に
なった。もしかしたら出会いの丘に行っているかもしれないという事になりもう一度峠
に向かって登り始めた。先ほどのタンクローリーはまだ止まっていた。やはり同じとこ
ころで渋滞になった。そこに気にしていた安谷さんから携帯に電話が入った。この雪で
途中で引き返したとのこと。すぐに前の車のkazuyaさんに伝え、そのままUターンして
大雪の山から引き返してきた。                         

近くのkazuyaさんの実家に寄り、薪ストーブのある暖かい部屋で休みながらいろいろな
話をした。その間もボタン雪は降り続き、すぐ裏の山からは時折「パーン」「パーン」
という音が響いており、その度に「あっ、また折れた」とつぶやくkazuyaさんの声が生
々しく耳に残った。この時期にこれほどの大雪が降ることは珍しいとのこと。雪害とい
う言葉が頭に浮かぶ。線香のように細い杉やヒノキはこのような雪に弱い。ひどい時は
将棋倒しのように次々と倒れ、大きな被害を出すことがある。先ほど雪の重さを実感し
たばかりなので、雪害のイメージもよく分かる。大きな被害が出なければいいが。  

薪ストーブで焼いた栃餅や草餅の旨かったこと。砂糖醤油の甘いタレも懐かしく、堪能
した。春の節句で突いたばかりの餅だそうで、ちょっと役得の味だった。kazuyaさんと
「もう少し早めに中止にすれば良かったね・・」などと話していた。でもおかげで日頃
見られない景色を見られたので、物見高い私としては満足の1日だった。なんといって
も栃餅が絶品の旨さだった。                          

春の大雪には勝てない・・・あとはまた明日から。