瀬音の森日記 274


2月の所沢コナラ林再生ボランティア



2003. 2. 2


2月2日(日)久しぶりに所沢のコナラ林再生ボランティアに参加した。瀬音の森の活
動が多くなり、なかなか参加出来なかったのだがやっと時間が取れたので参加した。私
にとってこの活動は森林インストラクターの原点とも言える活動なので、久しぶりに身
の引き締まる思いだった。同時期に森林インストラクター資格試験を受験した塚本、平
川の両インストラクターがいて、常に刺激を与えてくれるのも有り難い。大森先生も神
座先生も久しぶりで、恐縮しながら、おそるおそるという気分で会場に入っていった。

参加者がだいぶ増えていて、新しく森林インストラクターの資格を取った方も何名かい
て、和気藹々の中にも緊張感を持ちながら朝の挨拶をした。朝から寒い日だったが集合
時間には22名もの参加者が集まった。そのうち森林インストラクターが8名という中
身の濃いメンバーだ。三々五々集まってくる参加者と挨拶を交わし、焚き火を熾し、作
業の準備をする。大森先生の話を聞いて準備体操をはじめる。今日のように寒い日は特
に準備体操が重要だと思う。1日の体調を測るのもこの時だ。           

体操中に遙か上空でオオタカとカラスが追いかけっこをしているのが見えた。悠然と舞
うオオタカの周りをカラスがヒラヒラと追いかけている。そういえばこの森にはオオタ
カが棲んでいるという看板を見たことがある。体操を終えてチェーンソーを肩に作業地
再奥のアカマツを目指す。電線に倒れそうな枯れたアカマツを倒すのが今日最初の仕事
になる。                                   

平川さんがモンキーラダーでアカマツの木に登り、高い場所にロープをかける。そのロ
ープを滑車で角度を変えて倒す方向に吉田さんがチルホールで引く。倒す方向に大きく
栗の枝が伸びていて邪魔しており、このままでは掛かり木になってしまう。そこで、私
が、モンキーラダーで栗の木に登り、安全帯で体を木に固定させ、チェーンソーで栗の
大枝を切り落とした。上空でのチェーンソー操作は危険を伴うので慎重にしなければな
らない。要諦は体のどこかで固定して、腕だけで振り回さないこと。上手く切れたので
ほっとした。下でみんなが見ているので変に緊張した。              

塚本さんがこの危険なアカマツの伐採を担当した。もうベテランなので伐倒には慣れて
いるが、これだけ傾いているアカマツを逆方向に倒すのは大変だ。チルホールを担当し
ている吉田さんとの呼吸が難しい。塚本さんのチェーンソーがうなりを上げ、ロープを
引く我々の手にも力が入る。アカマツの頂上が動き始めた時に全員で声を上げて、力い
っぱいロープを引いた。吉田さんもフル回転でチルホールの棒を動かす。アカマツは予
定通り、安全な場所に地響きを立てて倒れた。                  

その後、同じ場所でアカマツを倒し、午前中の作業は終了した。昼食のために集合場所
に戻りながら、2週間前に焚き火をして土をかけて消火したはずの場所から煙がでてい
る現場を見た。この周辺は深い褐色森林土で土壌中に炭素が多く含まれており、土をか
けて消したはずの火が土中の炭素に燃えついて消えなかったものだ。空気に触れればす
ぐに燃えだす。これが山火事の原因となる現象だ。山仕事中の焚き火には充分注意しな
ければならないと言われているし、気をつけてもいるのだが、本当に危険と隣り合わせ
なんだと思う。焚き火は決められた場所で行い、大量の水をかけて消火しなければなら
ないと感じた。冬の焚き火は土では消えない。                  

昼食は各自持参したもので済ますのだが、今日は北海道の北村さんから鹿肉が送られて
来たのを焼き肉で食べた。また、たくさんの焼き芋や野菜炒めなどが昼食の主役になっ
た。準備してくれた緑川さんと吉田さんに感謝。冬の作業時には注意するのだが、こう
した休憩時に体が冷えるので1枚上着を着込まないと風邪を引くことがある。昼食の時
には上着を着るよう指導する必要があると思う。                 

午後も枯れたアカマツの伐採と周辺のリョウブやエゴノキの伐採をした。枯れたアカマ
ツが非常に多く、早急に処理をしなければならないのだが、とにかく太い木ばかりなの
で周辺を整理してからでなければ切れない。掛かり木になったりすると手に負えなくな
ってしまうのだ。そんな訳でアカマツが倒れる場所を予測して、その周辺の雑木を切り
倒して整理する事が重要な仕事になる。そして、ロープをかけ、チルホールで伐倒する
方向に引くのが基本だ。それぞれが時間のかかる作業なので、枯れたアカマツの数はな
かなか減らない。                               

太いアカマツを倒して処理をして、今日の作業は終了となった。三々五々集合場所まで
戻り、道具の後かたづけをして体操をする。大森先生のまとめの話を聞き、改めて森林
インストラクターの実技の大切さを思う。理論ではアカマツを倒せないし、森の再生も
出来ない。だからこそこうして大勢の人が遠くまで足を運んで林業実技の勉強している
のだと思う。インストラクター試験に実技の項目がないのは何としても不自然だ。  

久しぶりに基本を見直す1日・・・あとはまた明日から。