瀬音の森日記 223


荷揚げ、上棟式、屋根張り



2001. 12. 1


12月1日(土)いよいよ山小屋の屋根を張る日が来た。天気は快晴、雨が降ったら
大変な事になるところだったのでまずは一安心というところ。奥多摩駅で斉藤さん、
長南さんと待ち合わせる。斉藤さんの車には今日荷揚げする資材が満杯に詰まってい
る。電車から降りてきた長南さんもそれを見て息を呑む。            

9時舩木山荘前、すでに吉川さん、ハミングウェイさん、猫ミュウさん、山口さん、
岸良さん、野村さん、わたるさん、しゃあさん、kazuyaさんが来ていた。加藤さん
と稲垣さんは遅れているようだ。さすがに今日は皆さん出足が早い。斉藤さんの車か
ら荷揚げする資材が下ろされるたびに歓声が上がる。垂木、合板、防水シート、屋根
材、糊の一斗缶、大小のサッシ窓、大量のビスと釘・・・これを荷揚げするのだ。 

工事進行の関係で垂木から運ぶことにしてもらう。すぐに手分けして荷揚げに入る。
あっという間に全員が垂木を担いで山登りだ。kazuyaさんなどは20数本もの垂木
を軽々と担いで山に登りはじめた。その逞しさに目が点になってしまう。私は斉藤さ
んと荷物を整理していて遅れを取り、合板を荷揚げする事になってしまった。合板は
12ミリのラワン合板で、これを2枚重ねて釘で止め、打ち込んだカスガイを握り、
ロープをかけて肩で担ぎ上げる。これは重かった。やっとの思いで山小屋に到着した
が、大汗をかいてしまった。                         

山小屋ではすぐに棟木をポストに打ち込んで止め、レベルで垂直を計って垂木を左右
から固定した。西側と東側を1組づつ固定したところで、上棟式となる。斉藤さんに
買ってきてもらった「上棟式セット」のお飾りを組み立てる。これを棟木に止めて、
いよいよ神主ハミングウェイさんの登場である。仮神主さんは型どおり塩とお酒でお
清めをし、お茶の葉とカンナの削り屑で作った語弊でお祓いを行った。      

続いて祝詞(のりと)を読み上げる。浪々と高らかに祝詞が読み上げられる。ハミン
グウェイさんの声はじつに良く通り山々に響き渡っていた。参加者は全員頭を垂れて
聞き入り、厳粛で神聖な気分になった。まあ、関係ない人が見ると笑ってしまう場面
かもしれないが、関係者にしてみれば真剣そのものなのである。祝詞のあと、本来な
ら餅を撒くところだが、今回は紅白の紙吹雪を撒いてもらった。風に舞う紅白の紙吹
雪はじつにきれいだった。御神酒をグラスに注ぎ、全員で乾杯し上棟式は終わった。

すぐ屋根工事をする人と荷揚げする人に分かれて作業開始。私はハミングウェイさん
と山口さんの3人で屋根の垂木止めにかかる。ここで問題発覚!垂木の長さが短い。
もう仕方ないのでそのまま使う。鼻隠しが取り付けられないので、そこは垂木で固定
してごまかす。釘打ちの音が山にこだまする。垂木を止め終わったらすぐに合板を上
から止める。ここでも問題発覚!合板の直角が微妙に狂っている。これも仕方ないの
で水平基準に固定して、ノコギリで切断して直角を出すようにした。垂木の上に継ぎ
目がこないと固定が出来ないのだ。足場の上での微妙な作業は筋肉に負担が大きい。

あっという間に午前中の作業が終わった。荷揚げのグループは肩で息をしている。担
ぎ上げた合板をテーブルにして昼食の輪が出来た。めいめいにストーブを出し、お湯
を湧かす。山小屋はその全貌を表し、屋根が形になってきた。荷揚げの大変さや窓の
大きさの話などで盛り上がりながらラーメンを食べた。             

午後も屋根張り作業の継続。谷側斜面の合板を張り終わり、水切り板を取り付ける。
鼻隠し側は簡単に止められたが破風側(斜面沿い)の水切り板を止めるのが大変だっ
た。足場の重要性を実感した。そしていよいよ防水シート張りに入る。防水シートは
あらかじめ4.6メートルに切ってもらってあるのだが、これがじつに重いのだ。お
まけに裏が総シールになっていて貼り方が難しい。端から少しずつシールを剥がしな
がら貼っていくのだが、張り直しが出来ないので最初を慎重にやらないととんでもな
い事になってしまうのだ。                          

最初の10センチ幅にカッターで切れ目を入れて垂直に固定し、そこから少しずつ回
転させながら貼っていく。慎重にやったつもりだったがそれでも最後が5センチくら
いずれた。90センチ幅なので重ねて4枚片面に必要なのだ。この作業を4回繰り返
すことになる。下から2段目までは足場から作業出来るが、その上は手が届かない。
ここでザイル使いの登場となる。長南さん、わたるさん、吉川さんが山側のスギの木
からザイルを伸ばして作業するのだ。他の人にはもう手伝えない。谷側に落ちれば無
事では済まない高さだ。屋根の角度は45度!                 

3人が並んで、重い防水シートを貼っていく。祈るような気持ちでそれを見ていた。
もう多少のズレは気にしない。4枚目が貼れた時には思わず拍手してしまった。いや
じつに素晴らしい。特に長南さんの安定したポジション取りはさすがの一言に尽き、
安心して見ていることが出来た。本当に3人には感謝したい。          

続いて、屋根の最終仕上げとなるアスファルトシングルの取り付けに入る。一斗缶の
糊を裏側に塗り、それを防水シートの上に並べてアルミの釘で止める。これを淡々と
繰り返す。最初の一列は二枚貼り。それも千鳥重ねに重ね貼りする。次の段からは、
半分ずつ下の屋根材に重ねて、さらに千鳥貼りする。これが屋根の仕上げとなるので
雨漏りなどしないようにしっかり止める。                   

谷側のアスファルトシングルを3分の2くらい貼ったところでタイムリミット、真っ
暗になってしまった。ヘッドランプの明かりを頼りに後かたづけをして山小屋を後に
した。全ては明日だ。                            

今日はてきぱきと思い通りに進んだ・・・あとはまた明日から。