瀬音の森日記 209


チェーンソー受難の日



2001. 9. 23.24


9月23日(日)快晴。小菅のログハウス建築現場に行く。同行してくれるのは山口
さん。すっかり小屋作りにハマッてしまった二人である。今日は柱の加工をしようと
いうことになっている。いつものように準備をして山に登り、作業を始めた。   

まずは床張りが終わった土台のブルーシートをはがして陽に当てる。そして材木置き
場のブルーシートもはがす。作業台に丸太をセットし、墨付けに入る。順調に墨付け
を終え、カンナで太鼓の両面を削り取る。午前中に1本終わり、二本目に入った時だ
った。それまでやけにテンション高い音を出していたチェーンソーが突然止まってし
まった。どうやらエンジンが焼き付いたようだ。スターターロープを引こうとしても
びくともしない。                              

数日前に分解清掃したときから調子が悪く、アイドリング状態でも高速回転する状態
が続いていて、その時に取扱説明書を読めば良かったのだが、そのまま作業していた
のがいけなかったようだ。完全に不注意なミスである。とにかくチェーンソーが使え
なくなった。さあ、残りの丸太加工を手作業でやらなければならない。      

両面を太鼓にすることはカンナで出来るが、30ミリの角欠きはノミだけでやらなけ
ればならない。これがつらかった。中腰でノミを使い続けていると、腰が張ってきて
体がきしむようになってくる。午後にそれでも一本の柱を加工した。カンナ屑は大量
に足下に積み重なっている。結局3時半に終了するまでに2本目が終わらなかった。

山を降りて山荘に行くと舩木さんがいたので、チェーンソーを借りることにした。舩
木さんのチェーンソーは小型で取りまわしが楽なので、明日はこれで作業が出来ると
喜んでいたのだが・・・                           


翌朝、小屋からチェーンソーを持ち出してエンジンを掛けようとしたがかからない。
寒い朝だったので、上に持っていってもう一度挑戦することにして山に担ぎ上げた。
建築現場で再度挑戦したのだが、どうやってもエンジンがかからない。プラグを抜き
だして清掃し、再チャレンジするが、やはりエンジンは掛からない。二人の顔に落胆
の色が浮かぶ。仕方ないのでノミを使ってコンコンと昨日の続きを始めた。    

午前中に1本目を終え、2本目に入った時だった。山から舩木さんが降りてきた。き
のこ採りに行っていたらしい。地獄に仏とはこのこと。そこでチェーンソーのエンジ
ンが掛からないことを告げ、舩木さんにやってもらうことになった。舩木さんも何度
もスターターロープを引き、始動に挑戦するが上手くいかない。         

プラグを抜いて再度清掃をして挑戦したら一瞬だけエンジンがかかった。喜こび勇ん
で再挑戦したら「バッ!」と音がして、思い切り引っ張ったスターターロープが切れ
てしまった。これにはショックだった。                    
まさかスターターロープが切れるとは・・・もう我々二人は「今日チェーンソーを使
うと何かあるんだよ、きっと」「そうだね、仕方ないから手でやろうか」とすっかり
諦めムードだった。                             

ところが舩木さん、ボディを分解し始めた。工具がたまたま揃っていたので、その場
分解し、切れたロープを短くしてセットし直して、再度組み立てた。そのまま短くな
ったロープを引き続けているうちに、ついにエンジンがかかったのだ。この時のエン
ジン音は素晴らしいものだった。二人は大喜びでお礼を言ってエンジンを掛けたまま
のチェーンソーを使って角欠きの作業をした。                 

今回の件で、チェーンソーを使いながら、その構造やメンテナンス方法を知らない事
の間抜けさに気が付いた。舩木さんのリカバリー力にも驚かされた。山で作業すると
いうことは、こういったリカバリー力も身につけなければいけないのだ。まだまだ勉
強しなければならない事が多い。                       

修理から帰ってきたら大事に使おう・・・あとはまた明日から。