瀬音の森日記 208


ログハウスの基礎工事 その2



2001. 9. 16


9月16日(日)6時、飲み過ぎた頭がボーっとしている。ごそごそと定位置の寝袋
から起き出して外に出て川に行く。山口さんと猫ミュウさんがもう起きていた。挨拶
をして顔を洗う。何だか気持ち悪い。このままボーっとしていても時間がもったいな
いので、すぐに着替えて山を登る。猫ミュウさんが「お茶でも飲んでからにすれば」
と声をかけてくれたが、汗を流せばスッキリするだろうからと、そのまま山に入った

鳥の声がうるさいほどに響いている。ゆっくりと自分のペースで登り、道具を引っぱ
り出して作業に入る。木立の間を朝の斜光が差し込んで、幻想的な朝の山にノミを打
つ音がコーン、コーンと響き渡る。やっと気持ちがスッキリしてきた。毎回飲み過ぎ
に注意しなくてはと思うのだが、なかなか難しい。               

猫ミュウさんと山口さんが登って来て作業が始まった。他の人達も続々と登ってきて
二日目の作業が本格的に動き出した。筋交いに釘を打つ音が響き、柱にトタンを打つ
音がそれに加わる。にぎやかになってきた。午前中に大引き、土台の加工は全て終わ
った。基礎柱の水平切りが難しいのでなかなか進まない。これは予想以上の難しさだ
った。ここをきちんとやらないと大引きも土台も納まらないので、慎重にやらなけれ
ばならず、当然の事ながら時間がかかる。                   

一列の柱が出来上がったので大引きを乗せる。微調整しながら、どうしても合わない
ところは鋸で切る。3ミリだけ切ったらピタリと納まった。そこですかさず筋交いを
柱の両側に打ちつける。トンカントンカンとトンカチの音が響き渡る。出来上がった
大引きを見ると、基礎を作ったんだという実感が湧いてくる。みんなニコニコで大引
きにまたがり記念写真を撮った。ここまでで午前中の仕事は終わり。       

私は昼食を早めに済ませて、来月の作業用の柱を切り出すためにチェーンソーを持っ
て山に入った。倒して葉枯らししてあったヒノキの太いものから順番に8本を2・5
メートルで切り出す。一本一本細引きでログサイトまで引っ張っていく。このヒノキ
の皮を剥いて乾燥させなくてはならないのだ。                 

1時から午後の作業が始まった。二本目の大引きが組まれ、同じように筋交いで固定
された。土台の丸太が四方に置かれ、微調整と直角の確認のあとカスガイと筋交いで
固定された。これで建物の輪郭が完成したことになる。パラパラと雨が降ってきた時
はどうなることかと思ったが、すぐに上がったのでホッとした。         

土台を固定し終わったら次は根太をはめ込む。土台にノミで刻んだ根太受けのほぞ穴
に寸法を合わせて切った角材を落とし込む。きちんと納まるかどうか心配だったのだ
が、全てピタリと納まったのには感動した。すべて計算通りだった。次は大引きの上
に根太と直角にころび止めを入れる。そして、床板を実際に乗せてころび止めの位置
を修正し、釘で大引きに打ちつける。ここまで来ればもうあとは床板を張るだけ。時
間はすでに4時を回っている。                        

中央の列から床板を張る。全員で釘を打つものだからすぐに終わる。続いて2枚目、
3枚目と次々に床板が張られ、長南さんが「いっちば〜〜ん」と叫んで張った床板の
上に飛び乗って作業を始めた。みんなすぐにそれに続いた。それからしばらくの間は
トンカチで釘を打つ音だけが山にこだましていた。               

全てが終わって、集合写真を撮ろうとしたらバッテリー切れで肝心の写真が撮れなか
ったのは残念だったが、とにかく床張りまで終わった。完璧な出来上がりだ。一人一
人から思い思いに感想が出る。山の中に突然出現した舞台のような平面に座り、本当
に自分たちでこれを作ったのだと考えると、何とも言えない達成感が湧いてくる。 

電気もない、工具も限られたものだけ、床板は自分たちで運んできた。      
いやあ・・・人間というのは素晴らしいものだ。                
今回は本当に人間力の凄さを実感した。                    

さあ、12月までに屋根を張るぞ・・・あとはまた明日から。