瀬音の森日記 201


下刈りとツル切り



2001. 8. 12


8月12日(日)所沢下富のコナラ林再生ボランティアに参加した。お盆休みで朝の
うちに雨が降ったこともあり、参加者が4人という少なさだった。しかも、全員森林
インストラクターということもあり、落ち着いた作業になった。         

朝のうちの雨ですっかり濡れているので、伐採ではなくて下刈りをやる事になった。
下刈りは草が濡れている方が草が良く切れて作業がはかどる。日が昇る前の朝にやっ
てしまうのが良いというのは、暑さ対策だけでなくそういう面もあるのだ。幸い今日
は小雨日和なので暑さの心配をしなくて済むので助かる。            

草刈り機が2台、草刈り鎌が2丁。私は鎌を使って手刈りにする。広い敷地の中のコ
ナラを見分け、それを残しながら下刈りするのは大変だ。大きいものは背丈ほどもあ
るのだが、小さいものは10センチくらいなので、うっかりするとコナラを刈り払っ
てしまう。じつは、小さいのを何本か刈り払ってしまった。           

下刈りを始めてすぐ目に付いたのがツル性植物の多さだった。日本は温帯モンスーン
気候帯に属しており、この気候帯の特徴の一つはツル性植物の多いことだ。植林した
苗も放っておけばツルに覆われて枯れてしまう。都市近郊の雑木林が一面にクズなど
のツル性植物に覆われて藪化している光景は珍しいものではない。        

日本の風土は林業に必ずしも適していないのではないか、と言われる理由の一つはこ
のツル性植物の多さにある。下刈りも大事だが、ツル取りはもっと大切なのではない
かと思う。取りあえず今日の仕事は、ツルに埋もれたコナラを救出することだ。ツル
取りはていねいにやらないとコナラの成長枝を傷つけてしまう。強引に引っ張ると柔
らかいコナラの成長枝はプツリと切れてしまう。そうなっては元も子もない。   

ツルの元を切り、クルクル回してツルを上から抜き取るとスッキリしたコナラの姿が
出てくる。                                 
「ふぅ〜、やれやれ、軽くなったし明るくなった。ツルを取ってくれてありがとう」
コナラのそんな声が聞こえてきそうな瞬間だ。こちらも何だか嬉しくなる。    

ツル取りに時間を取られながらも下刈りは順調だ。林床にはたくさんの昆虫がいる。
バッタ、コオロギ、カマキリほか無数の小さい昆虫が飛び交っている。鎌の先が動く
たびに右へ左へと飛び出していく。昆虫採集にはうってつけの場所になっているよう
だ。手を入れ始めてから5年たっているこの林には、里山二次林の生態系が復活して
きているようだ。あと10年もすれば立派なコナラ林になるだろう。       

最後に半分枯れたアカマツを伐採した。松食い虫にやられたアカマツは早く処理をし
ないと他のマツまで枯れてしまう。伐採したマツは冬の間に焼却する。マツノザイセ
ンチュウを宿したマツノマダラカミキリをさなぎの状態で焼却しないとあっという間
に転移する。枯れた松は薪にして燃やすことだ。                

ロープをかけ、チェーンソーで受け口を切り、追い口を切る。くさびを打ち込み、ロ
ープを引く。アカマツは大きな風を巻き起こしてズウゥンと倒れた。倒れたアカマツ
の年輪を数えたら75本あった。年輪を見ながらこのアカマツが生きてきた70年を
考えることができる。しばしの時間年輪の読み方についての講義が先生からあった。

前回切り倒したアカマツと年輪を比べてみると、同じ75年生なのにまったく違う年
輪に驚く。今日倒したアカマツは細く年輪が一部ものすごく密になっている。前回倒
したアカマツは平均して成長している良材だ。ほんの10メートルの場所の違いでこ
れほど年輪が違っている。植物の生長が一律でない事がはっきり分かる資料だった。

アカマツを玉切りし、枝の処理をして今日の作業は終了。久しぶりに一日鎌を振った
ので腕と背中が痛い。明日からの筋肉痛が心配だ。               

一日涼しかったので助かった・・・あとはまた明日から。