瀬音の森日記 173


「脱ダム」宣言を応援する



2001. 2. 22


2001年2月20日、長野県の田中知事が「脱ダム」宣言をした。詳しい内容は次
のページで見る事が出来る。                         
http://www.pref.nagano.jp/soumu/hisyo/governor/dam.htm

田中知事はこの「脱ダム」宣言の中で次のように言っている。          

「 縦(よ)しんば、河川改修費用がダム建設より多額になろうとも、100年、200
年先の我々の子孫に残す資産としての河川・湖沼の価値を重視したい。長期的な視点
に立てば、日本の背骨に位置し、数多(あまた)の水源を擁する長野県に於いては出
来得る限り、コンクリートのダムを造るべきではない。」            

まさに至言である。長い間、ダムに代わる総合治水の方法を叫び続けてきた人達にと
って、涙が出るほど嬉しい宣言だったに違いない。自治体の首長、それも県知事がダ
ムをいらないと言う時代がやってきたのだ。川は流れていてこそ川である。せき止め
ることは人間の自殺行為だ。我々の声が初めて実現しようとしている。      

瀬音の森は豊かな川を守り未来に伝えることを目的としてボランティア活動をしてい
る。この、瀬音の森の目指す方向と「脱ダム」宣言の目指す方向は完全に一致してい
るではないか。この「脱ダム」宣言が長野モデルとして確立され、全国に波及するこ
とができれば、瀬音の森の目的も実現に近づく。我々は「脱ダム」宣言を応援する。

「脱ダム」宣言が出た背景は分からないが、時代の風は確実に変わってきている。政
治に参加していない無言の有権者の意識が徐々に表面に出始めていると言っていいの
ではないだろうか。自分たちの未来を託する政治が、本当に今のままでいいのか。一
人一人が考えはじめているのではないだろうか。                

知事は県民が直接選んで選出された。その知事が行う施政に、県議会が「相談もなし
に」と言うのはおかしい。あらかじめ相談しなければならないことなど無いはずで、
議会で堂々と質問すれば良いだけの話だ。議会での質問や回答はマスコミを通じてつ
まびらかにされ、次回の県議会議員選挙の重要な判断材料となる。        

今まで、「オレは関係ないよ、ダレかがやってくれるだろ。」と言っていた人達が、
「このままじゃ、ヤバイんじゃないか??」と思い出したのではないだろうか。そん
な空気が「脱ダム」宣言を後押ししているように感じている。全てにおいて、今まで
と同じでは駄目なのではないか、そんな気分がこの国に出てきたように感じる。  

環境問題に関わっていると、政治の壁に泣かされることが多い。空しい思いを抱くこ
とも多い。こんなに胸がすくような話は初めてかもしれない。川で遊び続けて何十年
にもなるが、ダムや堰堤で駄目になる川ばかり見てきた。こんな場所に本当にダムが
必要なのか?工事現場を見るたびにそんな思いが胸にくすぶってきた。      

ダム建設のおかげで良渓をいくつ駄目にされたことか。この悔しさがダム反対運動へ
と駆り立ててきた原動力になっている。釣り人が現在計画されているダムの配置図を
見たら愕然とするに違いない。あの川もこの川も、どこもかしこもダム、ダム、ダム
である。そのうち渓流釣りをする場所など、探す方が大変になるに違いない。   

豊かな渓流を未来に残すためには、ダムに代わる総合治水の方法を確立しなければな
らない。緑のダムと言われる森林の造成、山の手入れ、間伐、いわゆる治山が重要な
手段となる。瀬音の森はここでも森林ボランティアとして重要になってくる。水を作
る土壌を守る為の森林ボランティアは、今後の総合治水の重要な担い手になるに違い
ない。「脱ダム」宣言の長野県を応援する森林ボランティアとして、瀬音の森は手を
挙げたい。渓流を守る為、清流を守るために我々にも出来ることがあるはずだ。  

ガンバレ長野!日本中が応援してるぞ・・・あとはまた明日から。