瀬音の森日記 17


秩父で拠点となる候補地を探す



1998.11. 9

瀬音の森、拠点の候補地の一つとして秩父を上げてある。荒川の水源という事、渓流がある
事、私の出身地だという事、ある程度地元の情報に詳しい事などから、有力な候補地の一つ
だと思っている。                                 

今回はその秩父の両神村(りょうかみむら)を中心に現地を見ることにした。両神村は最奥
に名山両神山を仰ぎ、小森川と薄(すすき)川の2本の川が村を縦断して流れている自然が
多く残された西秩父の村である。候補となり得るとしたら、小森川の奥か薄川の奥になるだ
ろう。飯田の実家を7時半に出て車を走らせるながら、ちょうど紅葉のシーズンだった事を
思いだした。紅葉を見ながらのドライブも楽しいものだ。               

小森川の流れに沿って上流へ車を走らせる。途中に大きな採石場があって、ひっきりなしに
ダンプカーが走り回っていて運転しにくい道が続く。走りにくさはマイナスポイントになり
そうだ。                                     

採石場の上流は本当に自然が残された良い景色が続く。渓谷を利用した民間のキャンプ場や
村営のキャンプ場が造成されていてなかなか良い雰囲気が漂っている。まだ朝の冷気が残る
河原に立つと紅葉が川の流れに映え、秋が深まっているのを実感させてくれる。この最奥が
白井差(しらいざす)、両神山への登山口だ。                    

白井差で折り返し、来た道を戻る。両側の山の斜面は急峻で、わずかな平地は家が建ち、畑
が作られ、キャンプ場になっている。そして、杉林は多く暗い道が続く。果たしてここで思
う森が作れるのか?・・・・                            

車は役場前まで戻り、もう1本の薄川に沿って再び上流に向かう。この最奥は日向大谷(ひ
なたおおや)、薄川渓流釣場がある。その看板がいたるところに設置されていて、あと奥ま
で何キロかが分かりやすい。下流の薄川は道路から離れていて、直接流れを見られないのだ
が上流へ行くと道と併行して流れるので良く見えるようになる。            

水量は小森川の3分の2くらいだろうか?変化と魅力に乏しい渓相である。何本もの支流が
あり、それを覗くように狭い道を奥に入ると、こんな所にまで・・! と驚くような山奥に
人家があって、びっくりする。                           

何カ所か「いいなあ・・」という場所があったが、そこで山や土地を手に入れられるかどう
かは別の話だ。どの集落に行っても日当たりの良い高台に必ずお墓が建っていて、こちらを
見おろしている。まるで集落を先祖の影が守っているかのようだ。           

瀬音の森などと言うが、我々は集落への侵入者になる訳だから、その風土の中で果たして受
け入れられるだろうか? ある程度地元に縁のある私ですらそう思うのだから、困難さが分
かると思う。                                   

果たして、瀬音の森を作る事が出来るのか?その集落の住民の協力なしに何も出来ないだろ
うし、事業活動など思いもよらない事だ。こうして現地に足を運んで見るとよく分かる。 

この壁は以外と厚そうだ。                             

役場近くの「薬師の湯」に浸かりながら、問題点を考えてみるが、取り合えず今日は見るだ
けで止めておくのが良さそうだ。もっと何度も足を運ぶ必要があるし、まだまだ沢山見なけ
ればならない場所がある。                             


ひとっ風呂浴びて、あとはまた明日から。