瀬音の森日記 161


小菅の森、間伐教室開催



2000. 12. 9.10


12月9日・10日の二日間、小菅の森で間伐教室を開催した。二日間とも天候に恵ま
れ、季節はずれの暖かい日差しの中での作業となった。二日間通して参加したのが、わ
たるさん、JICKYさん、中川さん、kurooの4人。二日目だけ参加したのがハミングウ
ェイさんと加藤さんだった。慣れない力仕事に大変だったと思うが、事故が無かったの
が何よりだった。                               

初日、霜で真っ白な舩木山荘の前で焚き火を囲んで準備体操するところから始まった。
今回、間伐教室を開催するに当たって「間伐・伐木の手引き」を作成しておいたので、
全員に配って、説明する。内容は「伐木作業者安全衛生必携」からの抜粋。伐木に関す
る部分だけをコンパクトにまとめたもの。表紙には伐木の作業手順と切る原則を図解に
してある。表紙だけでも分かるようにしてある。とにかく事故の無いようにと話した。

山主の舩木さんも一緒に、一列になって山を登る。私はチェーンソーを持って登る。こ
れが何とも重い。背負うようにしないと大変だ。何度か折り返し、一汗かくと、そこは
もう作業地だった。小屋の前に荷物を置き、身軽になって登山道に整列する。    

新米だが、一応森林インストラクターとして、伐木の講義と実演をする。受け口の切り
方、安全確認、追い口の切り方、木の倒し方。狙った方向にヒノキが倒れる。間伐教室
第1号の伐木だった。そして、4mの玉切りと枝払いの実演。枝払いは安全を考えて鋸
を使う。落とした枝は表を下に伏せて揃えて重ねる。こうすると綺麗にまとまる。  

各自が伐木作業に入る。まずは、細い木、曲がり木、二股の木を切り倒す。これだけで
も、かなりの数がある。上下にならないように、近づかないように気を配りながら作業
を行う。この日、伐木作業をやって感じたことをまとめると次のようになる。    

●慣れるまでの時間が必要:この作業には慣れが必要だと感じた。急がず焦らずゆっく
 りとやる事が必要だと感じた。安全第一。                   
●斜面が急だった。:思った以上に斜面での作業はきつかった。約30度の斜面は上り
 下りだけでかなりの重労働。チェーンソーを使うよりも、身軽に動ける鋸の方が楽だ
 った。太い木の場合はチェーンソーの方が楽かもしれないが、そのケースは少ない。
●木が倒れない!:密生しているので、ほとんどの木がかかり木になってしまう。その
 処理に時間がかかり、どうやって倒すかが大問題だった。ケースバイケースなのだが
 、このノウハウを確立しておかないと事故につながる可能性がある。       
●4mの細引きは必携:玉切りの寸法を測る。かかり木になった木を引き倒す。倒す方
 向を変える。山から玉切りした材を引き下ろす等とても便利だった。       
●真下に倒すと処理が大変。:伐倒方向が真下しか無い場合、どうしても真下に倒す事
 になるのだが、その後の処理が大変なことになる。やはり斜め横方向に倒すのがベス
 トだった。                                 
●体力勝負:木は重い。切る、倒す、動かす、運ぶ、引きずる、見た目は細くても、け
 っこう重い。斜面を利用して下へ下へと動かすのがコツ。            
●土留めが必要。:切った木を横にして、その上に枝を敷き詰め土留めにする。これを
 一定間隔で平行に作る事が必要だと感じた。斜面の土が崩れている場所が多い。  
●焚き火番:昼休みに焚き火をした。準備から火消しまでの時間がどうしても長くなる
 ので、焚き火当番を決めてやってもらう事が必要かもしれない。焚き火当番は水当番
 も兼ねておくと、昼食などがスムーズに行く。料理当番がいてもいいかも知れない。

3時半には作業終了。日頃使わない筋肉をたっぷり使ったので、まだ余力あるうちに終
了とした。まだ明日もある。小屋の周辺がだいぶ明るくなった。拠点となる場所の整備
から始まるのは致し方ないところか。他の場所は、一日くらいの作業ではそれほど変わ
らないようだ。暖かな午後の日差しを浴びて、下山する足取りも軽い。       

下山して温泉に行く。湯に浸かり、筋肉の疲労を取る。湯上がりには生ビールを飲み、
山荘に戻って夕食を食べる。わたるさんが焼き鳥とおでんを準備してくれていた。これ
が絶品でじつに旨い。これまたわたるさん持参の、八海山純米吟醸酒が乾いた喉を潤し
てくれた。薪ストーブの火を見ながら、ほんわかとした酔いに身をまかせていた。  

翌朝、加藤さんとハミングウェイさんが来た。二日目は6人での作業となる。作業は前
日の続き。加藤さんにはJICKYさんが、ハミングウェイさんには中川さんが指導に当た
る。加藤さんはやけに勢いが良い。皆、だいぶ慣れてきてテンポよく切り倒す事が出来
るようになってきた。でも、まだまだ沢山の木を倒さなければならないようだ。   

横に倒して土留めを作る。なるべく横につながるように伸ばして行き、丸太の上に枝を
重ねて行く。斜面はガラガラと崩れ、土留めの必要性を痛感させてくれる。この日の作
業は午後1時までで終了とした。じっくりと作業に慣れながら進める事が必要だと感じ
たからだ。下山するときに丸太を1本引きずり下ろす。乾いていて軽いのを選ぶ。これ
を下まで運べば、今日の作業は終わりだ。                    

初日に舩木さんが言った。                           
「俺はマーキングできねっ・・人んちの山なら理想的な間伐が冷静に出来るんだが、自
分ちの山はダメだ。植えた時の事を考えると、どうも切るのが可哀想で・・・」   
この言葉を肝に銘じてきちんとした間伐をやり遂げなければ・・と思う。      

本格的な森林ボランティア活動が始まった・・・あとはまた明日から。