瀬音の森日記 149


西木村植樹祭に参加する その2



2000. 10. 8


植樹祭の受付をする。瀬音の森参加者の名前を確認し、木に掛ける名札を受け取る。寝
ている会員のところに戻り、記念品と名札を配る。寝ている人を起こして、全員で歩い
て植樹祭の会場に向かう。本当に好天で暑く、汗が流れてくる。10月の秋田にしては
異常な暑さだそうだ。                             

会場には大きな看板が立っていて、参加者が続々と集まってくる。受付で聞いた参加者
の数は190人を超えるとのことだった。植樹祭は村長の挨拶で始まった。村長は「多
くの人の今後も続く森作りをお願いしたい。」と結んだ。数人の挨拶のあと作業が始ま
った。すでに昨日までのうちに森林組合の人達の手でユンボで穴を掘り、そこにヤマザ
クラやクヌギの大苗が入っていた。土と粉炭を混ぜたものが傍らに山になっていて、そ
れをスコップや唐鍬で穴の中に埋めるだけという作業だった。           

植樹というよりも土木作業のような感じだったが、大苗を植えるという事はこういう事
なのだと勉強になった。我々は「川に近いところを・・」という事で、最下部の植樹を
した。2人または3人が組になって、端から穴埋め作業に没頭した。汗が噴き出してく
るのを拭いながら唐鍬を振るう。植え終わったヤマザクラに名札を下げる。こうして自
分達が植えたヤマザクラが20年後にどんな森になっているのだろうか。回りを見渡し
ながら、そんな事を考えていた。                        

作業は1時間ほどで終わった。さすがに190人以上の人がいると作業は早い。パウチ
された名札があちこちで風に揺れている。作業終了後に缶ジュースが支給された。汗を
かいた後の冷たいジュースは旨い。これがビールだったら言うことは無いのだがとバカ
な事を考えて苦笑する。                            

森の散策の時間になった。我々は鈴木さんの案内でキノコ狩りに向かった。最近雨が少
なかった事もあり、あいにくキノコは出ていなかった。でも、しばらく森の中を歩き回
って気持ちよかった。大汗をかいてしまったので、その後の森の音楽祭は欠席して、コ
テージでシャワーを浴びて着替えた。岩手組の人達とコテージで話し込んでいた。  

夕食は管理棟の土間にゴザを敷き詰めて、4〜50人が車座になって始まった。村長の
挨拶、布谷会長の挨拶に続いて私が乾杯の発声をした。升酒で乾杯し、夕食会が始まっ
た。村のJA婦人部の皆さんの手作りの料理が次々に出されて、ゴザの上は足の踏み場 
も無いほどだ。肉野菜炒め、味噌たんぽ、漬け物盛り合わせ、餃子、栗おこわ、おにぎ
り、小鮎・小ヤマメ・カジカの炭焼き、と次々に出てくる。話の輪があちこちに広がり
、騒然としてきた。升酒、日本酒、生ビール、焼酎、ワインなどが次々と回ってくる。
いや、満腹になってしまった。                         

8時、一旦中締め。元林業係長の高橋さんの挨拶と万歳三唱で盛り上がった。このあと
コテージへの布団運びを分担して行う。会場では片づけをする。一旦きれいに片づけて
夜のシンポジウムをする事になった。私はすでに酔っぱらっていたので、よろよろとふ
らつく足で布団を運んでいた。相変わらず酒が弱いのにも困ったものだ。      

シンポジウムは秋田森の会・佐藤さんの話を中心に、鈴木さん、ふるさと会から桜田さ
ん、瀬音の森から私、MORIMORIネットワークの代表の人、生け花の先生、農家代表で
斉藤さんなどが一言ずつ話し、あとはまた酒を囲んでの騒然とした議論の場となった。
私はすでにもうろうとしていたが、門脇さんや野中課長や石塚課長といろいろな話をし
た。さすがに前夜寝ていない体では10時までが限界だった。最後まで残ったのは猫ミ
ュウさん。午前2時まで頑張ったとのこと、すごいものだ。            


9日朝。午前2時まで飲んでいた猫ミュウさんは、朝6時に起きて栗拾いに行ったらし
い。どこからそんなパワーが湧いてくるのかと驚かされる。私は「朝食ですよ〜」とい
う声を聞いても、なかなかベッドから起きあがれなかった。JICKYさんと朝の挨拶を交
わしながら、声がかすれて出ない事に気が付いた。昨夜の飲み過ぎとしゃべりすぎが祟
ったようだ。かすれた切れ切れの声は、まるで自分の声ではないようだ。      

朝食は、展望台の広場に敷いたブルーシートの上で食べる。炊き立てのご飯ときのこの
みそ汁が出た。みそ汁の旨いこと、旨いこと。飲んだ翌日はこれに限る。野菜いためと
鮭、ウインナーなども美味しかった。朝食を食べながら森の会の佐藤さんといろいろな
話をした。今後の活動や現状の問題点などを話し合い、とても良い勉強になった。  

朝食後、コテージを片づけて荷物の整理。管理棟の前で人が集まり、朝刊の切り抜きが
回されている。見せてもらうと、昨日の植樹祭の記事、その写真はカラーでわたるさん
一家が木を植えている写真だった。これは嬉しいおみやげだった。記事に瀬音の森の名
前は無いが、一つの記録になる。わたるさんにはバスの手配や会計やいろいろな点でお
世話になったので、これで少し救われたような気がした。             

バスを待つ間に解散式。布谷会長の挨拶を聞きながら、来年ここに来るのはいつ頃にな
るのだろうか・・と考えていた。ともあれ、無事に植樹祭は終わったが、21世紀の森
作りはこれから始まるところだ。                        

ナナカマドの赤い実を見ながら・・・あとはまた明日から。