瀬音の森日記 127


小菅の森で樹木同定作業をする



2000. 5. 7


5月7日(日)ゴールデンウイーク最終日、今日は小菅の森で樹木同定作業を行う日だ
。待ち合わせの約束は朝5時だったが、30分前に水の館駐車場についた。kazuyaさん
もすぐにやってきたので、そのまま舩木山荘に向かった。車を山荘前に停めて身支度を
する。夜が明けた山は朝もやがかかっていて幻想的な景色を見せている。どうやら今日
も良い天気になりそうだ。                           

森を目指して山道を歩く。尾根を登りながら色々な木についての話を聞いていた。そこ
へ下からわたるさんが追いついてきた。聞くと5時に水の館駐車場に居たのだそうだ。
勝手に先に登ってきてしまったので申し訳のない事をした。森の近くで今度はしゃあさ
んが追いついてきた。二人とも30分くらいで登ってきたようで、その健脚ぶりに驚い
てしまった。                                 

小菅の森は新緑が始まったばかりという感じだ。薄い緑色が雲のように上空を覆ってい
る。今まで、緑色のない森を見ていたので、まるで別世界のようだ。じつにきれいな空
間になっている。しばらく見とれてしまった。                  

シンボルツリーに決めたアカマツの根本に荷物を置き、その周辺から樹木同定の作業を
始める。kazuyaさんが木の名前を言い、しゃあさんと私がマジックで布ガムテープに
名前を書いたものを幹に貼り付けていく。マップ作りの時に困らないように、なるべく
同じ高さに揃えて貼る。kazuyaさんの口から次々に木の名前が出てくる。植生が秩父
と似ているので分かりやすいと話していたが、どの木の名前を聞いても即座に答えが返
ってくるのに驚いた。                             

クリ、コナラ、ミズナラの見分けが難しい。新芽が開いていないので幹だけで判断しな
ければならないのだ。カエデの種類が多いのも秩父と同じだ。思ったよりもツツジが少
ない、というよりも見あたらない。林辺でないと生えないのか??このままではツツジ
が丘は夢と消えそうだ。コシアブラがあった。クロモジもあった。サクラも多い。10
時休みの時までには、ほぼ小菅の森の樹木は同定出来るようになっていた。     

休憩中は野鳥の声に耳を傾ける。シジュウカラのにぎやかな鳴き声。「シュウチュウイ
ッパイ グィー・・」と鳴くのはセンダイムシクイ。梢の上でチィーチッチッチイーと
鳴いているのはコガラかヒガラか。しゃあさんの解説と鳥の声に耳を傾ける。他には何
の音もしない。                                

休憩後はしゃあさんと私で樹木同定作業を、わたるさんとkazuyaさんが測量を行った。
測量機材はkazuyaさんが持参してくれたのだ。この測量で初めて小菅の森の実態が明ら
かにされるはずだ。シンボルツリーを起点に東西南北に距離を測っていく。樹木の同定
作業はスムーズになってきた。時折分からない木があると、枝をちぎってkazuyaさんに
聞きに行く。                                 

昼休みに野村さんがやってきた。測量の人手が足りなかったので助かった。午後は野村
さんに測量の手伝いをしてもらう。その後延々と4時まで作業が続いた。測量結果は起
点のアカマツから東に130m、西に430m、南に170m、北に24mという数字
になった。思っていたよりもだいぶ広い。この結果すべての面積を樹木同定するのは無
理と判断。起点を中心として2ヘクタールくらいを対象にすることにした。     

この日同定した樹木は次の通り。主要な高木はコナラ、ミズナラ、クリ、アカマツ、シ
ラカンバ、ホオノキ、アカシデ、クマシデ、オオヤマザクラ、など。        
稀少な高木はヤエガワカンバ、コシアブラ、オニグルミ、オオモミジ、ハリギリ、ミズ
キなど。                                   
主要な亜高木はアオダモ、アオハダ、リョウブ、エゴノキ、ダンコウバイ、コハウチワ
カエデ、ハウチワカエデ、ウワミズザクラ、チョウジザクラ、エンコウカエデ、イロハ
カエデ、ヤマナシ、ヤマウルシなど。                      
稀少な亜高木はメグスリノキ、ハクウンボク、アズキナシ、オオウラジロノキ、ヤマボ
ウシ、サワフタギなど。                            
主要な低木はイボタ、ガマズミ、ミヤマガマズミ、コバノガマズミ、ノリウツギ、アブ
ラチャン、ツノハシバミ、マユミ、コバノマユミ、マメザクラ、ニシキギなど。   
稀少な低木はクロモジ、バラなど。                       
ツル植物はフジ、サルナシ、クマヤナギ、ミツバアケビなど。           
他に名前の分からない樹木が何種類か。(稀少というのはここで数が少ないという事)

アカマツ以外に針葉樹が見えないことが驚きだった。こうしてみると、高木から低木ま
で実の生る樹木が多く、秋には動物や野鳥の天国になっているのだろうと思う。事実大
きなミズナラの3本に熊棚が出来ていて、熊がどんぐりを食べた様子がうかがえる。秋
に紅葉が素晴らしい事もこの樹種で分かるが、人が入り込む時期を制限するなどの必要
があるかもしれない。実際に調べてみて初めて分かることがじつに多いものだ。来週も
同じ作業をする予定。                             

来週はどんな姿を見せてくれるのか楽しみだ・・・あとはまた明日から。