瀬音の森日記 126


山採り苗の植え替え



2000. 4. 29


4月29日(土)快晴。今日は先週秩父演習林で山採りして仮植しておいた苗を畑に植
え替える日だ。集合は西武秩父駅前に9時半予定だ。車にこねこさん関本さんを乗せて
新緑の道を走る。予定よりも20分ほど早く到着した。すでにテールウォークさんが到
着していて、二人のお子さんと一緒に迎えてくれた。               

しゃあさんはバイクで来た。澤田さんはレッドアロー(特急)でやって来た。安谷さん
は車でやってきて、この作業が終わったら自分の畑仕事に行くのだと言っている。最後
にJICKYさんがやってきて勢揃い。4台の車と1台のバイクは秩父市内の演習林苗畑を
目指して移動した。演習林苗畑は西武秩父駅から歩いても15分くらいで行ける近さな
のだが、武甲山を目の前に仰ぎ見るなかなかのロケーションだ。kazuyaさんはすでに
畑に出ていて、我々の車を見るとニコニコ笑いながら近づいてきた。        

「おはようございます。良い天気ですね。」とkazuyaさん             
「そうですね。ほんとに気持ちいい天気ですね。」と参加者。           

それぞれが挨拶をして、野良仕事の身支度をする。長靴を履いている人、キャラバンシ
ューズの人もいる。私は相変わらず地下足袋姿。慣れてしまうと、この地下足袋が一番
しっくりくる。三々五々に準備運動をする。作業前の準備運動は怪我の防止に欠かせな
い。それはどんな作業の前でも同じ事。作業前にkazuyaさんが苗畑を案内してくれる。
ぐるっと一回りする間にいろいろな苗木の姿を見る事が出来た。ヒノキ、カツラ、ミズ
ナラ、ブナ、コナラ、シオジ、ケヤキ、サワグルミ、ハンノキ、じつに様々な苗木が育
っているものだ。                               

kazuyaさんから今日の作業の説明がある。仮植してある苗を4畝の苗床に植え替えるの
だ。仮植の苗床から苗木を引き抜きバケツに入れる。そこに水を入れて苗の根が乾かな
いようにする。そのバケツといろいろな道具を持って畑に行く。畑にはすでに耕耘機で
苗床が畝ってあって、そこに目印のロープが張ってある。そのロープには30センチ毎
に赤いリボンが巻き付けてあって、それが植え付けの目印になっている。      

まずはシオジ、4列20段、3列20段、4列20段、3列20段と植えていく。機械
的にテンポよく棒で穴を作り、そこにシオジ苗を植え込んでいく。植え終わったら、シ
ャワーで水を蒔く。「乾燥しているからたっぷり水をやって下さい。」とkazuyaさんが
言う。そして、水をやった畝に鉄パイプのアームを1.5メートルおきに立てていく。
その上に寒冷紗ネットを2重にしてかける。これはシオジがすでに芽吹いているため、
植え替えたあと落ち着くまで日光や霜から守るためのものだ。           

あっという間に一畝が終わり、11時休み。秩父地方ではこの休憩を「こじゅうはん」
という、と安谷さんが教えてくれた。ござを持ち出して広げ、その上で思い思いにくつ
ろぐ。風が渡るのが気持ちいい。お茶とお菓子が出て、話が弾む。         

午前中にもう1畝のシオジを植えた。参加者が10人と多かったので、作業が順調に進
み、あっという間に作業が終わってしまった。慣れてくるとさすがに皆さん手早い。と
いう事で昼食の時間となり、庭のござの上でお弁当を広げた。快晴の空の下で食べるお
弁当はじつにおいしい。                            

午後はケヤキを植え替えた。耕耘機やトラクターで畝るのは本当に早い。あれよあれよ
と言う間に苗床が出来上がっていく。ケヤキは寒冷紗をしないので作業は早い。2畝を
ケヤキで作った。そして、いよいよポット苗作り。2種類の土を作り、2種類のポット
に20本ずつのカツラとシオジを植えていく。これは昔やった園芸の部活のような作業
でとても楽しかった。子供達も立派な戦力で、大人顔負けの働きをしてくれる。出来上
がったポットを並べて散水する。カツラの小さい葉が風にそよぐ様がたまらなくかわい
い。                                     

今度はそのポットを種類別に苗床に埋めていく。鹿沼土の苗床を掘り、ポットを5個づ
つ並べてポットが隠れるところまで埋める。こうしておくと乾燥しないで生長させる事
が出来るのだ。ここも寒冷紗で覆って完了だ。午後4時すべての作業が終わった。今日
、移植した苗はシオジ−907本、ケヤキ−424本、カツラ−20本、サワグルミ−
30本、トチノキ−3本、ハンノキ−15本。ポット苗が、カツラ−80本、シオジ−
40本だった。(kazuyaさんの計算より)なんと、合わせて、1519本もの苗木を移
植したのだ。                                 

この1519本の苗木がぐんぐん育って、いつの日か山に帰る事を考えるとじつに楽し
い。渓畔林再生というのは、この苗達が200年・300年育った時に成し遂げられる
ものなのかもしれない。参加された皆さんお疲れさまでした。           

風にそよぐ苗木の小さい葉が力強い・・・あとはまた明日から。