瀬音の森日記 124


秩父イワナ保護の申し入れ



2000. 4. 17


4月17日(月)今日は大滝村に行く日だ。朝5時に目が覚めてしまい、着替えて車に
乗る。ちょっと早すぎるが気が張っているので、このまま行ってしまう。関越から29
9号に回ると桜が満開だ。家の周りでは桜はもう終わってしまっているので、何だか得
をしたような気分になる。待ち合わせ場所は「道の駅大滝温泉」の駐車場。40分も早
く着いてしまったので買ってきた新聞を読む。                  

そうこうするうちに安谷さんの車が来た。外で寒さに震えながら農作物談義をする。今
日は遅霜が降りたのだそうだ。山の上は雪で白くなっている。そのうちに大村さんと新
井さんもやってきて全員が揃った。「じゃあ行きましょうか。」大村さんの一言で雑談
を中断して車に乗り込む。                           

4人で大滝村産業観光課に千島課長補佐を訪ねた。この大滝村産業観光課は秩父漁協大
滝支部の事務局を兼ねている。千島さんは快く迎えてくれた。そして、山口支部長(秩
父漁協大滝支部)が忙しい中時間を割いて同席して下さった。大村さんの事前の根回し
が素晴らしい話し合い環境を作ってくれていた。                 

我々の自己紹介と申し入れの内容、「真の沢と股の沢の禁漁」と、なぜそういう対応が
必要なのかを話した。秩父イワナの生息環境が年々狭くなっていること。釣り人の釣獲
圧で魚が激減していること。漁協の別水域のイワナ放流により在来イワナとの交配が進
んでいること。140号トンネルの開通により、保護が急を要すること。などなど  

大滝村として秩父イワナを守る事の意味、それは村としてのアンデンティティーに関わ
る重大事。山村の歴史の生き証人としてのイワナ。荒川源流の象徴としてのイワナ。水
を守る、山を守る、生き物を守る象徴としての秩父イワナ。源流の村として誇りをもっ
て21世紀を生き抜く大滝村で、原種のイワナを保護する事がいかに村人のプライドを
高めるか。                                  

千島さんと山口支部長は静かに聞いてくれた。「村としてもそういう活動は援助してい
きたい。漁協にも大滝支部として禁漁の申し入れをしていきたい。」という言葉をもら
い本当に嬉しかった。柳小屋でのアンケートにも村や支部の名前で取り組んで構わない
という事にもなった。                             

地図を広げて場所の確認をした山口支部長から「善は急げだ。これから秩父漁協へ行こ
う!」という声が出た。千島さんがすかさず漁協に連絡を入れて組合長の在籍を確認す
る。時間がもったいないという支部長の言葉に全員が反応し、すぐに秩父市内に向かう
事になった。こういう展開はわくわくさせてくれる。               

4台の車は140号を秩父市内に向かって走り、漁協に向かう。我々は近くに車を停め
て、歩いて漁協に行く。応接で対応してくれたのが塚田組合長と黒沢漁場管理委員会委
員長と原島参事さんの3人。図らずも漁協3首脳の前でプランを公表する事となった。
名刺交換するのにちょっと緊張する。                      

大村さんが計画の概要を説明する。そして、山口支部長がそれをフォローしてくれた。
組合長は「支部の方でまとめてもらって提案してもらえれば、こちらの理事会に諮って
今年はもう無理なんで、来年からという事で何とか考えましょう。」という返事をもら
った。禁漁という事になると県の方とも調整しなければならないようで、正式に漁協の
理事会で決定しなければいけないのだ。しかし、秩父イワナ保護の動きとしては大きな
収穫だった。                                 

黒沢委員長のイワナの話を聞きながら、これからの事を考えていた。さて、これからど
うすれば良いのか。まずは大滝支部の内部から異論が出ないようにする事。そして、支
部の総意として、出来れば「永年禁漁」を決定する事。我々に何が出来るのか、何が出
来ないのか・・・・                              

漁協を辞し、車の所に戻る。ちょうど昼時だったので目の前のMOS-BAGERに入る。安
谷さんはこういう店に入るのは初めてだそうで珍しそうにしている。ハンバーガーをか
じりながら、今後の事を打ち合わせする。まだまだ決まったわけではないので安心は出
来ない。これからやるべき事が重要で、慎重さが求められるという点で一致する。  

新井さんの話では、まだまだ予断を許さないだろうとのこと。秩父独特の動きというも
のがあるので、次の手次の手と打っていく必要があるだろうと言う。漁協に一番近い新
井さんが言うのだから、そういう事もあるのだろう。逆転が無いように一手一手を確実
に進めようという事で確認した。とりあえず2年間の禁漁を勝ち取り、その間に内部を
固める方法が良いだろう。まずは大滝支部の意見を固める事だ、という点で一致した。

政治的な駆け引きも必要になるかもしれないが、秩父イワナの保護に向けて大きな一歩
を踏み出したことは間違いない。問題は山積みだが、一つ一つ解決していくしかない。

大きな一歩は不安がつきまとうもの・・・あとはまた明日から。