瀬音の森日記 110


進化するブリ縄



2000. 2. 13


2月13日(日)森林インスラクター講座の一環になっている、所沢下富のコナラ林整
備の日だ。二日間道志の森で枝打ちと間伐をやった後なので体中が痛くて、本当なら休
みたかったのだが、この講座を休む訳にもいかず、痛い体を車に乗せて会場に行った。

今回は参加者がとても多くて(12人くらい)にぎやかな作業になった。体操の後、胸
高直径45センチくらいのスギの木をチェーンソーで伐採した。私は見ているだけだっ
たが、倒れる時の迫力といったらない。我々は20センチくらいの木と格闘するだけだ
が、本職の木こりさん達はこのくらいの木と格闘している訳で、その技には素直に頭が
下がる。                                   

伐採の勉強のあとは個々の作業に入る。私は今日はブリ縄を使った枝打ちを課題にして
いた。手頃なヒノキが何本もあるので、実験には困らない。昨日丹沢でやったやり方で
何本か枝打ちした。横で見ていた先生から「あぶみ」の作り方を教えてもらう。   

考えてみると、始めてこの教室で「ブリ縄」の存在を知り、自分なりに使ってきたのだ
が、ずいぶん形が変わってきた。失敗と反省の繰り返しを整理してみるとブリ縄が進化
しているのが良く分かる。ブリ縄とは12〜5メートルの綿ロープの両端に40センチ
くらいの棒を結びつけただけのもの。この棒を幹にロープでしばり、そこをステップに
して木に登る。綿ロープはねじり巻きしたんものではダメで金剛編みというよれの出に
くい編み方をしているものでなければならない。                 

最初に自作したブリ縄は、昨年の炭焼き体験教室で使ってみたのだが、ロープが8メー
トルと短くて失敗。ロープが短いと1段目のステップを作っても2段目のステップが作
れない、という簡単なミスで使い物にならなかった。               

次に作ったのは15メートルのロープを使って小菅の森で作ったもの。棒にロープを巻
き込みすぎて(なんと5メートル分も巻いてしまった。)使い物ならず、作り直し。 
すぐに作り直して、今度は使い方の問題に挑戦。小菅で試した時は靴の問題が出た。長
靴で試したのだが、これは滑って危険だと分かった。地下足袋を履いているときにやら
ないとどうも具合が悪そうだ。足元が滑るようでは怖くて使えない。        

次に挑戦したのは、瀬音の森日記108に書いた道志の森。ヒノキ林の枝打ちという願っ
てもない作業に自作のブリ縄を持っていく。ここでは背の低い尾根すじのヒノキで試し
てみた。1段目を組み、その上に立ち、2段目を組む。2段目に登り、1段目のロープ
をほどいて3段目を組む。3段目に登り枝打ちをする。降りるときは2段目まで降りて
上の3段目を解体し、そのロープを持ってするすると降りる。この方法で枝下5メート
ルから6メートルまでの枝打ちが出来る。もう1段登れれば7メートルまで枝打ち出来
るのだが、今度は降りる方法に危険が伴うようになってしまう。安全性を考えると、こ
の方法がベターのようだ。道志の森ではブリ縄で10本のヒノキの枝打ちをした。  

そして今日、「あぶみ」の作り方を教わって作業性がぐんとアップした。あぶみとは足
をかけるステップをロープで作る方法。この方法を使うと1段目の棒ステップを胸の高
さに組む事が出来る。今まで3段作ったステップの高さまで2段で登れてしまうのだ。
ただし、あぶみ分だけロープを余計に使うので、太い木には登れなくなってしまう。胸
高直径25センチくらいまでの木なら十分に使用可能だ。             

枝打ちが必要な20年生〜30年生のヒノキや杉の林はだいたいそのくらいの太さだと
いうことを考えれば、この方法で十分だという事になる。降り方を会得出来れば、枝下
8メートルも夢ではない。または柄の長い鋸を使うなど、方法は何通りも考えられる。

この日は試行錯誤しながら6本のヒノキを枝打ちした。他の作業もしながらなので、そ
れだけに専念出来ないのは致し方ない。3日間ブリ縄を使ってみて感じたことは、1に
体重を減らすこと。2、腕力(懸垂力)をつけること。3、柔軟性を身につけること。
の3点だった。これは他の作業にも言える事だが、山の作業は体力が重要な要素を占め
る事は間違いない。敏捷性や柔軟性、持久力や瞬発力を考えた体力作りを日頃からしな
くてはいけないということだ。                         

山仕事の健康的なこと。これはもうスポーツと行っても過言ではない。山に登り、木に
登り、木を切り、枝を打つ。楽しみながら体を鍛えられれば健康な人生を送れることは
間違いない。                                 

山仕事は楽しい・・・・あとはまた明日から。