瀬音の森日記 10


東京営林局へ行く



1998.8.26


東京営林局へ行った。目的は平塚営林署、秩父営林署、甲府営林署の施業管理図を買う事
と、緑のオーナー制度、分収造林、分収育林などについて聞くためである。木場の駅から
歩いて10分、東京営林局は思ったよりずっと小さい建物だった。ガラスのドアを手で押
して中に入ると「木のアナトリユーム」と呼ばれている吹き抜けの空間になる。全て国産
の木材で作られた地上5階まである吹き抜けの空間は素晴らしいものだったが、いかんせ
ん静かだ。人っ子一人いない空間に私の靴音だけが響いている。           
                                        
入り口横の「広報室」にいたおっちゃんに聞く。「施業管理図を買いたいのですが・・」
おっちゃん、よほど客が珍しいのか、あわててメガネをかけ、「え〜〜〜と、あれは確か
・・・3階だったかな、4階だったかな・・たしか計画課の方で売っていると思います。
行って聞いてみて下さい。」と何だか頼りない。それにしても行って聞いてみて下さいと
言うのは一体何なんだろうか?仮にも広報室となっているのに分からないなんて・・・。
                                        
4階に行こうと思ったら、エレベーターの場所が分からない。見渡す限りエレベーターら
しき物が見えない。仕方なく階段で4階に登った。 こら! 東京営林局!エレベーター
くらい見える所に作らんかい! 一体何を考えているんじゃい! と怒りがこみ上げてく
る。エレベーターは何と、木のアナトリューム正面の裏側に作られているため正面からは
見えない。おまけに入り口から一番遠い場所だ。何を考えてそんな場所にエレベーターを
付けたのか?? 分からない。初めての人はエレベーターを使うな・・・という事かな?
                                        
4階の計画課で施業管理図を買う前に申請書を書かされた。使用目的という項目があった
ので「首都圏の水源に瀬音の森を作るため」と書いておいた。1枚3000円なり、合計
9000円を払って手に入れた施業管理図。この地図は国有林、県有林、観光農園などが
色分けされたなかなか優れ物の地図なのだ。この地図を見ながら瀬音の森の候補地を探そ
うという訳だ。                                 
                                        
地図を抱え、廊下をぐるりと回って森林活用課へ行く。入り口のドア横にベタベタと緑の
オーナー制度のポスターが貼ってあるのですぐに分かった。ドアを開けて案内をこうたが
中の人間が反応しない。仕事している風でもなく隣の人と話している。少し大きな声で 
「すみません! 緑のオーナー制度の事で伺いたい事があるんですが!・・」     
と怒鳴ったら、その担当らしき男の人がピョンと飛び上がり、あわてて応接の方へ案内し
てくれた。その男の人はおまけに名刺を切らしていると言う。そんなのあり?・・ええ?
                                        
別の人が出てきた。企画官の瀬島さんという方が様々な制度について話してくれた。緑の
オーナー制度、分収造林、分収育林、企業のオーナー制度・法人の森などの話を詳しくし
てくれた。その中で我々の活動内容に最も合っているのは分収造林制度という事も分かっ
た。約1ヘクタール程の広さの国有林の皆伐跡地に地揃え、植林、下刈りなどの営林作業
を契約者が行うというもの。樹種は広葉樹を選べる。契約期間は最長80年だが、伐採し
ない前提で森を作ることも可能だ。森林組合に作業を委託する事も出来るがその場合はお
金がかかる。                                  
                                        
瀬音の森をどういう形で現実のものにするか?国有林で作る事も可能だという事が分かっ
ただけでも収穫はあった。選択肢の一つとしてこれからも勉強を続けたい。      
                                        
それにしても東京営林局は活気のない所だった。局員の顔は一様に暗いし、覇気がない。
リストラの対象なのだから仕方ないと言えば仕方ないのだが・・・緑を守らなければなら
ない官庁として、もう少し何かやり方があったのではなかろうか?          
                                        
                                        
とりあえず、あとはまた明日から。