瀬音の森ニュース 248


玉淀ダムシンポジウム



2010. 11. 13



玉淀ダムの環境への影響を考えるシンポジウム


11月13日(土)午後6時より秩父市の歴史文化伝承館にて表題のシンポジウムが
開催された。国内のダム撤去にまつわる情報収集し、データベースの作成に尽力して
いる溝口隼平氏を講師に招き、玉淀ダム撤去を視野に入れての話し合いが行われた。

 溝口氏の講演で印象に残ったのは「行政はダム撤去などという事はまったく考えて
いない」ということ、そして「ダムを撤去するには、ダムを作る時よりもはるかに大
きなパワーと長い時間が必要で、費用も膨大なものになる」ということ。また、大き
なダムの撤去例がないということ。たまたま、ダム湖に沈むことになったダムとか、
台風の大雨で底が抜けた堰堤とかが対象になっているだけで、評価検討の資料がない
状態で、ダム撤去の運動だけが続いてる状態だということ。           

いろいろ考えさせられるシンポジウムだったが、最後にアピール文の決議が行われ、
拍手で承認された。以下、アピール文を掲載し、これから長くなるであろう運動の始
まりを伝えることとする。                          
______________________________________

玉淀ダムの環境への影響を考えるシンポジウム  アピール           

 先月10月名古屋において国連の生物多様性条約検討会議(COP10)が世界の
殆どの国の代表を結集して行われました。前回の会議において決定した、今回の会議
までに世界の絶滅種の数を漸減させるという約束は達成することができませんでした
。そればかりか、世界中では1年間に約4万種もの生物が絶滅しているという報告が
されました。このことは日本においても例外ではありません。          
 COP10を契機にして、私たち市民は生物多様性を守っていくことが、人間の生
存にもかかわる重要なことであることを以前にも増して認識することができました。
 ひるがえって、私たちにとっての母なる川、荒川をみたときにかつての豊かな川の
姿を見ることはできません。荒川は、いま瀕死の重症となりつつあります。私たちは
生活の「豊かさ」と引き換えに、生物多様性をはじめとして多くの「もの」を失って
しまいました。なかでも、秩父地方にある4つの大きなダムや玉淀ダムをはじめとし
た東京湾に至る数々のダムや堰堤などの構築物は、生き物にとって大きな障害となっ
ています。                                 
 私たちは、本日のシンポジウムを通して林系(森)と水系(海)をつなぐ荒川とそ
の流域を一体のものとしてみる流域管理の重要性を認識することができました。  
 もとより、玉淀ダムは戦後の復興期と経済の発展に大きく寄与してきました。しか
しながら、いま私たちには新しい価値観が求められています。経済の発展も生物多様
性なくしてあり得ないという価値観です。とりわけ地球温暖化防止と生物多様性の保
全は、いま待ったなしの課題となりました。                  
 現在、埼玉県政は「みどりと川の再生」をスローガンにして取り組んでいます。川
の再生を論ずる場合に、玉淀ダムの問題を抜きにして考えることはできません。玉淀
ダムは灌漑用水と発電の機能を持っています。私たちは、発電は他の方法で代償でき
ると考えます。また、灌漑用水は別の方法で維持していけると考えています。そして
、玉淀ダムの撤去を視野に入れた「検討委員会」等の組織を立ち上げていくことだと
考えます。                                 
 持続可能な社会の構築、安心して住める豊かな自然環境を、次の世代に引き継ぐた
めに、私たちは学習し、行動し、実践していくことを誓いここに宣言します。   

                 2010年11月13日          
                 玉淀ダムの環境への影響を考えるシンポジウム