またしても痛恨のニジ!


北海道OLM2日目
悔しいことにまたしても西別川のニジに返り討ちにあってしまった。



北海道OLM2日目


02年北海道OLM2日目

「3時ですよ〜!行きますよ〜」というひろしさんの声が聞こえた。コテージの2階
で飛び起きた。「置いてきますよ!」という声に、二日酔いのもうろうとした頭を必
死で回転させながら、忘れ物がないように釣り道具の準備をする。ここで忘れ物をす
ると釣り場を前に痛い思いをすることになる。今日はひろしさん、坂本さんと一緒に
行動することになっているのだ。                       

両手に荷物を持ち、霧雨の降る中をキャンプ場の入り口に向かって歩く。足元がおぼ
つかないし、目が回る。いやはや困ったことだ。このキャンプ場は夜の間ゲートを閉
めてしまうので、ゲートの外に全ての車を止めてあるのだ。もう必死だった。ここで
リタイアしては何の為に西別川まできたのか分からなくなってしまうではないか。 

ひろしさんの車に乗り込みコンビニに向かう。食料の調達だったのだが、午前3時半
のコンビニにはおにぎりもお弁当も何もなかった。聞けば釣り人らしき数人が全て買
い占めて行ったのだそうだ。まあ、我々も似たようなものだから非難は出来ない。昨
日夜食用に買って置いたおにぎりがあるので助かった。             

中春別町の上の橋から入渓し、その下の橋までやろうということになり橋まで走る。
橋のたもとに車を止め、身支度をする。ラフティングジャケットを着ると首周りのゴ
ムが頸動脈を圧迫して気持ちが悪くなる。ふらつく足元に気を配りながら、吐きそう
になるのを我慢して入渓した。川に立ち込んでみると、ここは中流域なのに濁りがず
いぶんひどい。しばらく釣り下るが、ひろしさんが「この濁りでは釣りにならないか
ら上流に行こう」と言い、その場で岸に上がり踏み跡を頼りに元の橋まで戻った。 

観山橋の上をやろうという事になり車を走らせる。私は窓の外を見ながら必死で気持
ち悪いのを我慢していた。毎度の事ながら自業自得だ。橋の先の牧場に車を止めて身
支度を整えて入渓する。ここは上流なので水が澄んでいて綺麗だ。いたるところで梅
花藻が緑の絨毯をゆらめかせている。瀬と淵が交互に続き、魚は倒木の陰に潜んでい
る。3人で交互に先頭に立ちながらゆっくり釣り下っていく。ケヤマハンノキや化粧
柳やハルニレの河畔林が見事だ。林床は巨大なフキ、イラクサ、トクサ、クマザサに
びっしりと覆われている。野生がそのまま残された河畔林に守られてアメマス、ニジ
マス、ヤマメが育つ。河畔林の豊かさが魚の豊かさにつながっているのだ。    

30センチを頭に20尾くらいのアメマスが出た。初参加の坂本さんもルアーを投げ
る姿はぎごちないものの着実にアメマスを釣っている。上流部はほとんどアメマスで
、たまにヤマメが混じる状態だった。ここで私は24センチの丸々太ったヤマメを釣
った。体高のある立派なヤマメをひろしさんに写真に撮ってもらって思わず頬がゆる
んだ。良型ヤマメは引きが強いので面白い。                  

観山橋まで釣り下ってから国道を上の橋までてくてく歩く。ラフティングジャケット
はこういうときは大変だ。密封状態で汗をかくのだから熱くて苦しくてたまらない。
約3キロ、30分の歩きだった。坂本さんは日頃の一ヶ月分くらいは歩いた、と言っ
ていた。昼集合の「かつら」に向かう途中、国道を歩いていたハミさんとかわらひわ
さんをピックアップして車の所まで送っていった。               

いつもOLM時の昼食会場になっている「かつら」は中春別の町中にある洋食屋さんだ
。メニューが豊富で量が多く、安くて美味い。到着してすぐに奥のいつもの席に陣取
り、カツカレーの大盛りを注文する。参加者は朝4時から川に入り歩き通しで昼まで
飲まず食わずだから腹はぺこぺこになっている。大盛りの注文が多いのもうなずける
。この日の注文ベストスリーはエスカロップ(根室地方の名物料理:大量のバターラ
イスの上にトンカツが乗りデミグラスソースがかかっているもの。野菜サラダ添え)
の大盛り、カツカレーの大盛り、スペシャルランチの順だった。         

ここで食事しながら各釣り場の状況と釣果を報告しあい、午後の釣り場をどこにする
かを決めるのだ。下流に入った人が大型を上げているので我々も午後は下流の大草原
コースに入ることにした。今のところ鵜住居さんの45センチアメマスがトップで、
目指すは45アップのアメマスか40アップのニジ!今日はどこも釣れているようで
会話が弾んでいる。夕方の宴会時にはなんとかその中に加わりたいものだ。    

大草原コースは最近出来上がった立体交差の近くにある。「まったく意味のない立体
交差だ!」とひろしさんがぶつぶつ言いながら近くの採草地に入っていく。道の行き
止まりに車を止め、身支度をする。この採草地の上手で入渓し、下手で脱渓する。蛇
行しているのでこれだけでも約4時間の釣りになる。              

ゆったりとした流れに体を任せながら釣り下る。上流よりも魚は少ないが大物狙いな
ので致し方ないところだ。ぽつぽつと25センチクラスのアメマスが釣れる。1時間
ほどしたころひろしさんに大きなアタリ、バシャバシャと派手に水しぶきを上げて寄
ってきたのは42センチのアメマス。うん、やはりでかいのはいい。坂本さんも35
センチのアメマスをかけた。次は俺の番だぞ、と内心期待が強まる。       

先頭に出て何度目かのキャストにいきなり大きな衝撃が来た!ゴン!というアタリ!
巨大なレインボウバンドがラインの先で8の字を描いている!とっさに竿先を下げる
。ラインはまったく巻けない。その瞬間、5メートル先で巨大なレインボウバンドが
空に舞った。ドボンという音と派手な水しぶき・・そして静寂。手がふるえている。
ゆっくりとリールを巻く。手応えは無い。ラインが切れてラパラのパールホワイトが
消えていた。振り返るとひろしさんが笑っている「大きかったねえ〜惜しい惜しい」
膝の力が抜けていく・・・「やっちまった・・・ああ・・」手応えがまだ残っている
のに頭の中は真っ白だった。手のふるえが止まらない。             

その後の釣りは良く覚えていない。何本かアメマスを釣ったが、楽にリールを巻ける
だけで胸の空白を埋めるには至らなかった。ひたすら大きなため息が出続けた。  

大草原コースを脱渓し、キャンプ場に帰る。どこで話を聞いたんだか、みんなが待っ
ていたように「またやったんだって?」「駄目だよちゃんとラインは結んでおかなく
ちゃ」「いやあ、凄かったんだって?」etc・・・いちいち応えちゃいられない。人
の不幸は密の味とは良く言ったもんで、参加者を幸せにするのが毎回の私の役割のよ
うだ。何だって毎回毎回こんな目に遭わなきゃいけないんだろう。        

気分を変えよう。バーベキューだ!今日は岩田トーシローさんのステーキバーベキュ
ーなのだ。ひろしさんが炭火を熾し、金網を乗せる。大きな肉がお皿に盛られて回さ
れる。上質のステーキ肉を焼きながら塩コショーしてむしゃぶりつく。野菜も焼いて
食べる。今日は赤ワインが出てきた。ビールも美味い。話はどうもバラした魚の話に
なってしまうのだが、まだ明日がある。明日こそ見てろよ!ってなもんである。酔う
毎にハイテンションになるのはいつものことで、まあこのOLMの楽しいところでもあ
る。釣れた人、釣れなかった人、賞賛と反省と、全てを流すアルコール(^_^)    


 
●釣りのトップへ戻る