小林先生を想う



9月2日、小林先生が逝かれた。8月28日に入院されて、わずか五日の事
だった。あっという間の出来事で、まだ頭の中は整理出来ていない。先生に
は「山里の記憶」を企画した当初からアドバイスを頂き、すべての作品を見
て頂いていた。私の中の大きな何かが無くなってしまったような気がしてい
る。先日、家内と二人で弔問に伺い、遺影に挨拶をさせていただいた。奥様
の「急すぎて涙も出ない」という言葉が実感として伝わってきた。    
 奥様から「畑のアケビなんだけど、絵に描いてくれない?供えるから」と
一房のアケビを渡された。まだ口の開いていないアケビだった。家で口が開
くまで保存し、やっと絵に描くことができた。お世話になった万分の一にも
ならないが、せめて私の絵が小林先生の前に置かれれば嬉しい。合掌   

小林 茂(こばやししげる:元県文化財保護審議会委員、埼玉民俗の会会長)
専攻は考古学、民具学、民俗学。日本考古学協会会員。         
県文化財保護審議会委員、県埋蔵文化財事業団理事などを歴任した。   
武甲山総合調査、合角ダムと滝沢ダムの水没地域の総合調査で、それぞれ団
長を務めた。国指定重要有形民俗文化財の「荒川水系の漁撈(ぎょろう)用
具」と「秩父の山村生産用具」の所有者。考古学的方法を駆使して民俗や民
具の研究に力を注いだ。著書に「内水面漁撈の民具学」など。      
2007年に旭日双光章を受賞している。               





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