営林署物語


秋田の元営林署長 山の管理を語る

10月10日 秋田県比内町で元営林署長 虻川氏と山の管理について話した。  

虻川さんは現在山の豊富な知識と経験を生かして、林道工事などの環境アセスメン
トの仕事をしている。現職当時には、常陸の宮様や羽田元首相などを案内した経験
も持つ本当の山のプロである。                       

現在、秋田県の営林署で働く人は事務職と現場の作業員併せて約1500人、一営林
署あたり約80人の職員がいる。これだけの人数であの広大な国有林を管理している
のだ。営林署は元々は、いわば山の警察であり、法を破る人に対しては逮捕権が発
動される。昔は腰に短剣を下げ山を巡回していたと言う。山の保全、運営、管理が
主な仕事である。                             

例えば、林道を作るとなった時、その道すじに重要な木があったとする。営林署の
内部でも林道を作る担当の人々と、木を育てる担当の人々とがおり、そのニ派の間
で大論争になると言う。署長だった虻川さんはそんな時、最後は「 営林署は木を
育てる役所だ!」と断を下したそうだ。こういった論争は下界の我々には届くべく
もない、惜しいと思う。営林署がいかに真剣に林道そのものを考えているのか知ら
ない人が多すぎると思う、私もその一人だった。               

営林署で山を管理する為に使う山の地図を見せてもらった。それは山の番地がビッ
シリ書き込まれた白神山地の地図だった。虻川さんが言うには「 この地図にある
それぞれのエリアを現場で、ハッキリ今ここにいてあそこが境界だと分からなけれ
ばいけないんだ 」とのこと。無論、山の肌に線を引いてある訳もなく、見通しも
悪い国有林内で!である。これは山を管理するプロの言葉として実感のこもった、
重みのある言葉だった。白神山地については、手つかずで残っていたことが世界遺
産に指定された大きな要素だったのだろうと言う。              

虻川さんは言う、山は民間での管理は難しい。現時点で国有林と民間の山を比べて
見れば分かる。営林署は木を育て、それを保全するプロなのだ、民営化の対象にす
るべきでないことはハッキリしている。国有林の民営化がどんなに山の荒廃を招く
か実例として示してくれたのが青秋林道の周辺の話だった。青秋林道の周辺は、某
企業の持ち山で、林道終点から奥が国有林だから、その違いをよく見ておくといい
と言われた。                               

翌日にその現実を目に焼き付けることになる・・・・             

山のプロがいる。もっともっといろいろな場でプロとしての声を聞かせて欲しい。
この国の自然をこれ以上荒廃させない為に。