大川フライフィールドクラブ


私がいつも行っている栃木県の大川には、道路と川の間にキャンプに最適な
空き地がたくさんある。そして、そこには必ず板の看板が付いていて、ゴミ
を持ち帰ること、タバコの吸い殻は捨てないこと、木や草を切らないで下さ
い、などのマナーについて書いてあり、最後に「大川フライフィールドクラ
ブ 03-5***-3386 中澤」と書いてある。             
今回 その大川フライフィールドクラブ会長の中澤 博氏にお会いし、看板を
付けたいきさつなどをお伺いした。                  

東京 練馬の会社に伺ったのは午後6時、30分の予定でインタビューは始ま
った。                               

----きょうは大川の看板のことについてお伺いしたいと思いまして…   
・ああ、あの看板ね、弱ったなあ あれホントはいけないんだよね国有林 
 だし 個人で付けるなんてね。                   
----えっ そうなんですか?                     
・本当はああいうもの無いほうがいいってことは分かっているんだけどね、
 あなた 大川ご覧になったでしょ?                 
----はい、時々釣りに行ってますので…                
・きれいでしょ あの川。でも昔は結構ゴミが多くてね、仲間と何とかなら
 ないかなあ なんて話していたんですよ。キャンプ出来る場所がいっぱい
 あるし、川はきれいだけどゴミが気になって、ビニール袋かついでゴミ拾
 いやったりしてね…。                       
----あの大きいビニール袋ですか?                  
・そうそれにいっぱいゴミが集まる状態だったんですよ。これじゃいけない
 と思って…私、思うと行動しちゃうタチなもんで、看板作っちゃおう…と
----その看板について具体的に教えて戴けますか?           
・とにかく、どうせ作るならしっかりした物を作ろうと…作った看板がゴミ
 に見えるような物じゃシャレになんないですからね(笑)       
 大きさは確かB2版だったかな、10ミリ厚の3枚合板で、文字は長持ちする
 シルク印刷にしたんです。 全部で60枚作って2年前の11月に仲間4人で
 全部取り付けました。木を傷つけないようにカバー付きの針金で付けたん
 ですが、けっこう大変でしたね…                  
 (1994年11月のことです)                    
----県の方とか漁協とか、何か言ってきませんでしたか?        
.あそこは那珂川北部漁協の管轄になるんですが、何も言ってきてません。
 まあ、書いてあることは最低限のマナーだし、撤去しろ!と言われたら、
 すぐ撤去するつもりでこちらの連絡先を入れておいたんですけど…何も 
 なかったですね。                         
 もっとも、事前に漁協に打診したら、たぶんダメと言われたでしょうね…
----費用はどのくらいかかったんですか?               
・そうですね、だいたい25〜6万かかったんじゃないですか。人件費はなし
 で、 ええ、もちろん自費です。                  
----大変な金額ですね                        
・でも誰かがやらないと状況が変わんない訳だから、仕方ないんじゃないで
 すか。 手をこまねいて、イライラしてるよりいいですよ。あの看板見て
 何人かでもゴミを持ち帰ってくれたら、やった甲斐はある訳だから。  
----看板の効果の程は?                       
・う〜〜ん、私が見てる限りでは効果あったと思うんだけど、まだ、やっぱ
 り捨ててく人多いんだよね。仲間と相変わらずゴミ拾いやってますよ(笑)
 何枚か壊されたり、燃やされたり、落書きされたりしたけど、概ね残って
 いるんじゃないですか。                      
 せっかくきれいな川なんだから、せめてこれ以上汚したくないですよね 
 あなたも そう思うでしょ                     

    ●大川を取り巻く環境について、猿の話、熊の話、さまざまな  
     話題が次々に出てくる。本当に大川を思う気持ちが伝わり、  
     こちらも話に熱が入る。                  

・このあいだね、女房と釣りに行ったら「お父さん見て!鳥が溺れてる!」
 て叫ぶんですよ。何だと思って見たら、何とこれがコウモリなんですよ!
 目印のついたテグスにからまって水面でバチャバチャやってたんですね。
 針をはずして逃がしてやりましてけど、何であんな長いテグスが、しかも
 針付きで木に引っかかってるんですかね……いやになっちゃいますよ。

    ●釣り人として最低限のマナーすら守られなくなっていると氏は
     嘆く。餌釣りからフライに転向した氏は餌釣りの人の気持ちも
     よく分かると言う。でもこのままでは将来魚影の無い川になる
     のでは?と思いキャッチ&リリース専門の川にしたいと、漁協
     と交渉もしたが、現実は厳しいと言う。          

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国有の天然林に守られた川、雨が降っても増水することのない澄んだ流れ
都心から2時間ちょっとで行けるところに、あんなきれいな川がある。  
これを何とか次の世代に残したい!やり方は多少問題あるかも知れないが
あの川を次の世代へ…と熱っぽく語る氏の言葉には強い説得力があった。
「このままじゃいけない。誰かがやらなくちゃ!行動しなくちゃいけない
んだよ。お互いにね… 」                     
大好きな大川の話に時を忘れた。充実したインタビューだった。改めて氏
にエールを送りたい。                       

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昨年の堰堤と護岸の工事で、スーパーハッチを経験したすばらしい淵が  
真っ平らな瀬になってしまった。 行政が川を壊し始めた。       

この川はこのまま残したいと 本当に思う。              


資料  看板全文
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釣.キャンプ・バーベキューをする人にお願い。
         大川の自然を殺さないで              
●自分たちで出したゴミは、すべて持ち帰って下さい。(釣人は、テグス・
 えさ箱・たばこ等を忘れずに)                   
●木・草等は、切らない、折らない、抜かないで下さい。        
●洗剤は、川で絶対使用しないで下さい。(いわな・やまめ・水生昆虫・鳥
 ・動物が死に最後は人間までも死に絶えます)            
●大便は、必ず穴に埋めて下さい。(ティッシュも一緒に)       
●釣人は、15cm以下のいわな・やまめは、すべてリリースして下さい。 
    あなたの「自分だけはいい」自然は見ています。    
    自然の中で人として親として何が大切かを次の     
    世代に身をもって語り実践し啓蒙していこう。     
              1994年10月 大川フライフィールドクラブ
                     03-5***-3386   中澤
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