雨の気仙川にて

岩手の名川「気仙川」で釣りをした

5月24日・25日  雨の気仙川にて                     

東北道の一関インターを降りたのは24日朝3時ころだった。ガソリンが残り少ない
のを気にしながら気仙沼方面へと車を走らせた。国道だし、そのうちに一軒くらい
開いているだろうと思ったのが甘かった。行けども行けども開いているガソリンス
タンドは無い。                              

気仙沼から陸前高田と海沿いの国道を走るが一軒も開いていない。とうとう大船渡
まで来てしまった。結局ここで車を止めスタンドが開くのを待つことにした。眠い
眼をこすりながら川沿いの道に出て川を見ていると散歩のおじさんがやってきた。

「おはようございます」  「 ! おはようさん」             
「おじさん、この川は魚がいますか?」 「いっぱいいるよ、ヤマメもアユも」 
「ところであのガソリンスタンドは何時ころ開きますかねえ?」 「さあねえ8時
ころじゃないかねえ・・・」                        

鵜住居さんと私は顔を見合わせた。このまま待っているのも意味が無い、ヤマメが
いるとなったらやる事は一つ。「釣りでもしながら待とうかあ」        

その川は盛川(さかりかわ)という川で、中流に長安寺というお寺があり、その上
流が良いとのこと。見ると釣人も何人が入っている。時間つぶしとはいえ、釣りは
釣り。鵜住居さんはテンカラで下流へ、私はフライで上流へと分かれて川へ入る。
最初のポイントでいきなりバシャッとアタックがあるが、フッキングには到らず悔
しい思いをする。その上のプールはあちこちで小さいライズがある。慎重にキャス
ティングした16番エルクヘアカディスにバシャッと出たのは何とかわいい「ウ」、
あらら…                                 

その後も何尾か「ウ」君を追加するが本命のヤマメは出ない。しばらくフライを変
えたりしながら釣り上がるがアタックは「ウ」ばっかり。プールで悠々と泳いでい
た尺オーバーと思われる魚影も、もしかしたら…「ウ」だったのか…???   

10:00 車に戻ると鵜住居さんはすでに戻っていた。釣果を聞くと小さいがヤマ
メが出たとのこと。うらやましい。もうガソリンスタンドも開いているだろうと川
を見ながら走る。やっと開いていたガソリンスタンドでガソリンを入れ車は気仙川
を目指す。盛街道を走り白石トンネルを越えれば、もう気仙川だ。       


小坪橋のOLM集合地点に着いたのは11時。誰のものかタープが張ってある。とりあ
えず車を止め川面を見ていると目の前の大淵でライズが!あちらこちらで波紋を作
る。もうジッとしていられない。早速したくしてフライをキャストする。    

フライにかまわずライズがくり返される。雨が降ったり止んだりしている。淵のラ
イズはあい変わらずフライを無視して続いている。上手な人はこれを釣るのだろう
なぁ…くやしい・・・                           

地元の釣師がやってきた。手に持っているのは「盛岡毛針」。話には聞いていたが
実物を見るのは初めてだ。お願いして実際に振ってもらう。この毛針はテンカラの
ウェットタイプを5〜6本枝バリとしてチチワで取り付け、その先にウキそしてウ
キの下に30cmくらいハリスをつけた本命毛針がついているもの。これを流れに対
して横に振り込み下流へ扇形に流し小刻みに誘いをかける。竿は5.4mの硬調渓流
竿を使っていた。そして肝心なことは下流に釣り下る事。そしてチャラ瀬、ザラ瀬
で使うことだそうだ。そう言えばここではテンカラの釣り人を見ない。地元の人は
この「盛岡毛針」一辺当なのだそうだ。                   

気仙川は6月1日から30日迄全面禁漁(川止めとなる)。7月1日から解禁の鮎の
育成の為だが、7月に入っての夕方イブニングライズの時、この毛針は爆発的な威
力を発揮するのだそうだ。そんな機会に巡り会ったら、是非一度使ってみたいもの
だ。                                   
その地元の釣師の忠告通りに、瀬を釣り下ってみる。エルクヘアカディスをダウン
クロスで投げながら川を下る。川の中央に立ち込み、両側の瀬を狙ってフライを流
す。30分くらいたったがアタリはない。大分下流まで来たので戻ろうかと思って、
フライをピックアップしようとした瞬間バシャッとフライにアタック。すかさず合
わせると手に心地良い。振動が伝わってくる。慎重に寄せると、きれいな魚体の20
cmくらいの気仙山女魚がやっと顔を見せてくれた。頭が小さく、体高が高い。エサ
の多い川の特長的なスタイルだ。                       

雨が降り続いている中しばし陶然とビニール袋に入れた山女魚に見入ってしまった。
その後大きなアタリが一度あり、手応え充分だったがフックがはずれてバラシ…悔し
い事をしたが、何はともあれ1尾は釣ってオデコは免れた。           


OLM会場集合時間となったので、川から上がる。大淵では、たまくらさんがロッドを
振ってライズを狙っている。NOBEさん、FUMIさんは雨の中でそれを見ている。安谷
さんと岩手のひらり〜さんはエサ釣り。岳勝(がくまさ)さんのタープの下でいろん
な事を話す。見ているところで安谷さんが良型のヤマメを掛ける。22〜23cmか… 
写真を撮ってリリース。                           



雨を避けタープの下で皆で話をする。やっとOLMらしくなってきた。釣りはもうここ
まで。結局この淵であのライズを釣れた人はいなかった。OLMは場所を陸前高田市内
に移して行なわれた。そちらの紹介はまた別の機会にしたい。          

翌日はザンザン降りの雨。川は増水していて釣りどころではない。一関インター手前
「ペコ&ペコ」で冷麺を食べたのと、「盛岡毛針¥850」を買ったのが収穫だった。
どうも今シーズンは雨にたたられている。ドライフライでの雨対策はどうすれば良い
のだろうか?分からないことばかりだ。