いわき山女魚に会う

福島県いわきで仕事の前にちょっと釣りをした。


いわき山女魚に会う

4月7日、いわきに出張。あるレンタルビデオ店に看板を付ける仕事を受け、現場で打
ち合わせすることになった。時間は午後の4時。                 

さて、朝一で出掛ければ6時間くらい釣りが出来る計算になるではないか、しかも平日
である。こんな「おいしい仕事」はない!っとばかり二つ返事で引き受けた。    

7日朝、東京は大雨だった。出発を遅らせるが様子は変わらない、7時の天気予報を見
てから出発した。午前中はどうやら雨らしい・・・・残念。            

外環から常磐道へ・・・雨の中車を走らせる。80キロの速度規制が出ているが、後ろか
らビュンビュン追い抜かれる。「危ないなあ・・・」とつぶやきながら慎重に運転して
いると、案の定2件も事故が起きていた。ペシャンコになった車を見ると、運転はさら
に慎重になる。                                

日立を過ぎるころから小雨に変わり、いわき勿来(なこそ)で雨は完全に上がり、絶好
の釣り日和になってきたではないか。日頃の行いの良さ(?)がこういう時に効いてく
る。いわき中央で高速を降り、話に聞いていた夏井川方面に向かう。始めての川に期待
が高まってくる。                               

夏井川本流。サクラマスが放流されているそうだ。 両岸が護岸になっている小玉川の静かな流れ。


小さい橋を渡って、コンビニでひと休み。オニギリを買って車に戻るが、妙に横を流れ
る川が気になる。地図を見ると「小玉川」とある。本流も気になるのだが、取り合えず
この川で竿を出してみることにする。                      

土手の下に車を止め、土手に登って川を眺める。枯れアシの林立する広い河床の中央に
澄んだ流れが見える。低い堰堤が続いているが全てに魚道が付けられていて、魚に対す
る配慮がなされているようだ。                         

釣り仕度を手早く済ませ、足早に川に降りる。低い堰のような堰堤の左側が魚道になっ
ていて、その魚道を落ちた水が深いプールを作っている。何度もアシにフライを絡ませ
て苦戦する。相変わらず後方への配慮が足りないキャスティングである。      

きれいな流れが枯れた芦の間を流れる。 いわきの流れにパーマークの鮮やかな色が泳ぐ。

二つの流れが重なって水がもみ合うように流れるスジにフライが乗った、パシャっと大
きな音と同時に魚の影が飛び出した。反射的に合わせるとグングンという心地よい手応
え。ラインをたぐりネットに納めたのはパーマークの鮮やかな18センチ程のいわき山
女魚。測線の朱色が鮮やかなヒレもピンと張ったべっぴん山女魚である。      

最初のライズを取ることが出来て大満足だ。記念写真を撮った後もしげしげと眺めてし
まって、リリースが遅くなってしまった。                    

同じプールで次々とフライにアタックがあるのだが全てオイカワだったので上流へ行く
ことにした。枯れアシの間をかき分けるように歩くが、手に持ったラインがあちこちに
引っかかる。                                 

ちょっと水が溜まったプール状のところではオイカワが盛んにフライに飛びかかる。そ
うかと瀬を流しても反応がない。アシの背が高いので竿を振る方向も制限されてなかな
か難しい。橋の下流に大きな石を配したポイントがあった。何気なくフライを投げる、
エルクヘアカディス16番は石の間を何事もなく通り過ぎる・・・「いないか・・」と
つぶやきながらピックアップしようとした瞬間大きな飛沫が上がる。反射的なアワセに
ラインはピンと張り、水に突き刺さる。                     

堰堤には魚道が設置されていて魚の往来が出来る。 手応え充分な引きを味わわせてくれた良型ヤマメ。


「大きい!」慎重にラインをたぐる。なかなか寄ってこない。ネットを構えるが、スン
ナリとは入らない。慎重に竿を操作してやっと取り込み、ネットを覗き込む。「ウン、
良い型だ・・」久しぶりに20センチを超える良型である。丸々と太っていて鮮やかな
パーマークが綺麗ないわき山女魚である。測ったら22センチであった。      

その上にも良ポイント、ここでは15センチのちび山女魚がフライをくわえてくれた。

これは小ぶりなヤマメ。パーマークが鮮やかだ。 この堰堤にも魚道が設置されている、この配慮が嬉しい。


橋の上流、民家の竹薮の横にある大きなプールフライにはまったく反応が無かったので
護岸の上に登り上からそのプールを眺めながら昼食にする。オニギリをベストの背から
引っぱり出し、紙パックのお茶を飲みながらそのプールを眺める。         

30分くらいその場所にいただろうか?2メートルくらいの深さがありそうなプールで
底の方で時々ギラリと光る大きな魚体が見える。浅い場所ではオイカワが群れていて、
時折キラキラ光りながら、まるで遊んでいるかのように見える。オニギリを食べながら
このプールを見ているのがとても豊かな時間に思えてきて、釣りをするんだという気持
ちが徐々に薄れてきてしまった。                        

平日の為か、人影のない川にはゆったりとした時間が流れていて、そのまま一眠りした
くなるような気分になってしまった。何だかこれ以上続けるのも気持ちが乗らないので
納竿することにした。時折陽射しも差す天気になって風がとても気持ちよかった。  

のんびり土手を歩きながら先程までの自分の釣りを回想する。ウン、なかなかいい釣り
だった。                                   

いわきがグンと近くなったような気がした。