北の大地にて 2


北海道OLM初日。この日は絶好調の釣りが出来た。



北の大地にて 2

7月6日朝3時起床、すぐに着替えて出発する。私はひろしさんの車に同乗させて
もらう。コンビニで食べ物と飲み物を買い、集合場所へとひた走る。集合場所は送
電線ポイント手前の駐車場。先日の雨で濡れた道路が走りにくいとしきりにひろし
さんは言う。わだちが深いところは特に慎重に運転している。         

集合場所には釧路から駆けつけたsinnyaさんが来ていた。全員揃ったので、ここで
沢割り会議。私はひろしさんとこの近くのポイントに入ることになった。ひろしさ
んが以前から気になっていたポイントらしい。さあ、午前中の釣りの始まりだ。 

西春別の町はずれの橋に車を停めて入渓する。この下の橋までが釣り区間だ。入渓
してしばらくは当たりがない。やはり橋近くは人が沢山入っていて魚は少ないよう
だ。朝4時だというのにすでに明るい。鳥の声がうるさいほどだ。両岸の巨大なフ
キが北海道に来たことを実感させてくれる。相変わらずウエーディングには神経を
使う。チェストハイウエーダーにラフティングジャケットの組み合わせは防水・防
寒に思った通りの実力を示してくれている。今日は良い釣りが出来そうだ。   

500メートルほど橋から離れたあたりから魚が出てきた。ポイントから絵に描い
たように出てくれるとじつに嬉しい。ラピッドが糸を引いて倒木の影に吸い込まれ
る。リールを2度巻くと手元まで伝わるゴン!という手応え。グングンと竿先を絞
る魚の手応え。水面でバシャバシャと暴れるのを引き寄せてルアーをつかむ。  
「どのくらい?」とひろしさん。                      
「25センチ、アメ!」と叫んで魚をリリース。これの繰り返し。じつに充実した
時間が過ぎていく。時折二人同時にヒットしたりして驚く。ここは魚が濃い。途中
夕立のような大雨にも逢ったが気温は下がらず、むしろ暖かくなってきた。   

倒木でプールのようになった場所に出た。手前のポイントでは魚が出なかった。ウ
エーディングして腰まで流れに浸かりながら、倒木の向こう側にラピッドを投げた
とき、いきなりガン!!と当たりが手元に来た。反射的に合わせるとガンガンとも
のすごい引き。ひろしさんが「上げろ!巻け!潜られる」と叫ぶ。必死にリールを
巻くがなかなか姿を見せない。                       

やっと魚の姿が見えたので強引に巻き、倒木のこちら側に引きずった。魚はあちこ
ちに走り回りなかなか寄ってこない。大物だから慎重にと自分に言い聞かせる。姿
を見たひろしさんが「ニジだ!ニジだ!」と叫ぶ。しばらくして、やっとおとなし
くなった魚を引き寄せると、まさしくニジマス、それも大きい。        

抜き上げて記念写真を撮り、メジャーで体長を測定したひろしさんが「30だね」
というもっと大きいかと思ったが尺ニジなら仕方ない。片手で持てない太さのニジ
にはきれいなレインボウバンドが入っていた。西別川のニジマスは本当に美しい。
ズシリと重い魚体をリリースしてポイントの写真を撮る。手がまだ震えている。 

それからもコンスタントに釣れ続き、二人で6〜70くらい釣っただろうか。数え
る事も忘れて釣りまくった。次の橋が見えて、このポイントでの釣りが終わり、道
に上がって車を置いた場所に歩いて戻る。歩いて30分くらいの距離だったが、満
足いく釣りが出来たので二人ともニッコニコだった。             

「かつら」で他の人を待つ。藪の高橋さんとnaruseさんがやってきた。少し遅れて
sinnyaさんが戻ってきた。sinnyaさんがデポした車のキーを乗っていた車に忘れて
きたそうで、ひと騒動あったらしい。sinnyaさんはしきりに反省していた。そこに
西別川さんからの電話が入る。なんとホテルに戻っているとのこと。西別川さんが
珍しく沈し、続いて山男魚さんも沈して鵜住居さん含めて3人で撤退したらしい。

昼食はエスカロップの大盛り。体力が必要なこの川の釣りはそれに見合うカロリー
を要求するので、しっかり食べなければならない。30センチのニジ祝いにビール
を飲む。午後はどうしようかと相談しながら飲むビールの旨いこと。      

午後はひろしさんの提案で虹別のさらに上流、渓流といえるような上流部で釣りを
することになった。ここは流れが浅くウエーディングは楽だ。その代わり水がきれ
いで澄んでいるのでキャストの正確性が求められる。入渓してすぐにアメマスが釣
れた。それからも飽きない程度に釣れ続くが、いかんせん型が小さい。上流部なの
で仕方ないのだが、先ほどの大物の引きが忘れられないので、少々物足りない。で
もこれだけ釣れて文句を言ってはバチが当たるというものだ。         

ある場所で、やけに鳥が騒がしく鳴いていた。そのうちその鳴き声が何か変なこと
に気づいた。良く観察していたら、何と倒木の上に動物がいる。その動物の鳴き声
だったのだ。イタチかミンクかカワウソか??それがなんとぞろぞろ付いてくる。
ギャアツクギャアツク鳴きながら5頭の30センチくらいの黒く光る毛皮の可愛い
動物が付いてくるのだが、うるさくてたまらないので竿を振って追い払った。  

ケッケッという鳴き声が聞こえて川の上を白い大きな鳥が飛んでいる。近くの木に
止まったその姿は「ヤマセミだあ!!」1羽、2羽、3羽前後しながら飛び交って
いる。テリトリーに進入した人間を威嚇しているのだろうか、我々の前後を飛んで
帰ってを繰り返している。ヤマセミを見たのは初めてだったので感激した。カワセ
ミよりもずっと大きいその白い飛び姿は見に焼き付いて離れない。       

5時まで釣りをして納竿し、宿に戻る。すぐに温泉に入り、体を温める。ゆっくり
くつろいでいるうちに夕食の時間になってしまった。今日の竿頭は藪の高橋さん、
39センチのアメマスだった。sinnyaさんもnaruseさんもそのテクニックを誉め
ていた。藪の高橋さんは謙遜するばかり。西別川さんチームは別の川に行って釣り
をしたらしい。山男魚さんがまったく動かずにアメマスを釣り続けた淵があるそう
で、餌釣りのものすごさを思いしらされた。                 

さあ、明日はどうなる。                          


 
●釣りのトップへ戻る